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第16話
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そして、午後の授業も終わり、私はルディと一緒に帰り道を歩いている。ルディの行動にハラハラさせられ、疲れる一日だったと感じる一方、不思議といつもより楽しく、あっという間に時間が過ぎたようにも思える。それはきっと、ルディと話している時間が多かったからだ。
私はいつも、学校では黙っている時間の方が長い。千佳ちゃんだって、私だけにずっと構ってくれているわけではないから、千佳ちゃんが他の子たちと話しているときは、一人で本を読むか、次の授業の予習をしている。
……別に、それほど読書が好きなわけでも、予習復習を完璧にして学年一位の成績を狙っているわけでもなく、この二つの行動をしていると、広瀬さんが声をかけてくることがないので、自然とそうなっただけのことだ。
広瀬さんは、必ずしも私が嫌だと思うことを言うわけではなかったが、私は徹底して彼女とのコミュニケーションを避けていた。何故かというと……
「いやぁ、今日はなかなか面白かった。人間の訓練所は苦しい鍛錬がなくていいな」
となりを歩くルディが朗らかな声を発したことで、私の思考はストップする。ルディは、本当に楽しそうだった。そこまで喜んでもらえたなら、急いで体験入学を手配したお母さんも、やったかいがあったと思うことだろう。
笑顔のルディにつられて、私も笑顔で言う。
「最初はどうなることかと思ったけど、途中から普通にクラスに馴染んでたね。私よりよっぽど上手にみんなと話せてたよ」
「そなたも、余と皆の間に入り、普通に話していたではないか」
「うん。ルディと皆の"間に入ってる"ときだけね。いきなりルディに話しかけていいか迷った子が、私を"つなぎ役"みたいにすれば話しかけやすいから、それで、話す機会が増えただけだよ。私、普段はクラスの子とほとんど喋らないから」
「何故だ? 喋るのが嫌いというわけではないだろう? 余とはこれだけ喋るのだからな。それに、会話が苦手というわけでもないはずだ。そなたの話は理路整然としていてわかりやすく、大人に引けを取らない知性を感じるぞ」
「褒めすぎだよ」
「いやいや、少なくとも『ちゅうがくいちねんせい』の13歳の少女としては、充分に誇ってよいことだ。決して馬鹿にするわけではないが、今日話した子供たちは皆、まだまだ幼い話し方の者が多かったからな」
「馬鹿にするわけではないが、か……」
「どうした?」
「ルディは私の話し方を褒めてくれたけど、聞き取りようによっては、私の話し方って、大人ぶってて、理屈っぽくて、相手のことを馬鹿にしてるっていうか、見下してるように感じるってこと、ない?」
「余はまったくそうは思わぬが……いや、まあ、うーん……感じ方は人それぞれだからな、中にはそういうふうに感じる者も、いないとはいえないかもな」
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そして、午後の授業も終わり、私はルディと一緒に帰り道を歩いている。ルディの行動にハラハラさせられ、疲れる一日だったと感じる一方、不思議といつもより楽しく、あっという間に時間が過ぎたようにも思える。それはきっと、ルディと話している時間が多かったからだ。
私はいつも、学校では黙っている時間の方が長い。千佳ちゃんだって、私だけにずっと構ってくれているわけではないから、千佳ちゃんが他の子たちと話しているときは、一人で本を読むか、次の授業の予習をしている。
……別に、それほど読書が好きなわけでも、予習復習を完璧にして学年一位の成績を狙っているわけでもなく、この二つの行動をしていると、広瀬さんが声をかけてくることがないので、自然とそうなっただけのことだ。
広瀬さんは、必ずしも私が嫌だと思うことを言うわけではなかったが、私は徹底して彼女とのコミュニケーションを避けていた。何故かというと……
「いやぁ、今日はなかなか面白かった。人間の訓練所は苦しい鍛錬がなくていいな」
となりを歩くルディが朗らかな声を発したことで、私の思考はストップする。ルディは、本当に楽しそうだった。そこまで喜んでもらえたなら、急いで体験入学を手配したお母さんも、やったかいがあったと思うことだろう。
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「うん。ルディと皆の"間に入ってる"ときだけね。いきなりルディに話しかけていいか迷った子が、私を"つなぎ役"みたいにすれば話しかけやすいから、それで、話す機会が増えただけだよ。私、普段はクラスの子とほとんど喋らないから」
「何故だ? 喋るのが嫌いというわけではないだろう? 余とはこれだけ喋るのだからな。それに、会話が苦手というわけでもないはずだ。そなたの話は理路整然としていてわかりやすく、大人に引けを取らない知性を感じるぞ」
「褒めすぎだよ」
「いやいや、少なくとも『ちゅうがくいちねんせい』の13歳の少女としては、充分に誇ってよいことだ。決して馬鹿にするわけではないが、今日話した子供たちは皆、まだまだ幼い話し方の者が多かったからな」
「馬鹿にするわけではないが、か……」
「どうした?」
「ルディは私の話し方を褒めてくれたけど、聞き取りようによっては、私の話し方って、大人ぶってて、理屈っぽくて、相手のことを馬鹿にしてるっていうか、見下してるように感じるってこと、ない?」
「余はまったくそうは思わぬが……いや、まあ、うーん……感じ方は人それぞれだからな、中にはそういうふうに感じる者も、いないとはいえないかもな」
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