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第7話
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翌日。私はルディと一緒に、学校への道を歩いている。何故かというと、お母さんが朝一番にこう言ったからだ。
『ルディちゃん。学校には話をつけておいたから、こっちに滞在する間は加奈と同じ教室で勉強できるわよ。担任の先生にも全部説明してあるから、日本の学校生活をのびのび楽しんでね』
つまり、お母さんが昨日のうちに、ルディも学校に通えるようにしたのである。その行動の速さと実行力に、私だけでなくルディも驚いたようで、ただただ感心したという感じで私に言う。
「そなたの母、ただ者ではないな。訓練所――いや、この世界では学校と言うのだったな。その学校に話をつけると言っても、普通なら、一日やそこらでできることではないのではないか?」
「そうだね。私はよくわからないけど、会社でも一目置かれてるみたいだし、ご近所の人たちからも頼りにされてるみたいだから、たぶん凄い人なんだろうね。私、お母さんが悩んだり元気が無くなったりしてるところ、見たことないし」
「うむ。余が魔界の王になったら、部下に欲しいくらいだ。しかし、ルディ"ちゃん"と呼ばれるのだけは慣れないな。魔界の王族の中でも、余は親しみやすい方だとは思っているが、それでも余のことを"ちゃん"づけで呼ぶ者など一人もいなかったぞ」
「ふふっ」
「どうした。何故笑う」
「たぶんお母さん、ルディのこと、女の子だと思ってるんだよ。身長も私とほとんど変わらないし、長い髪で、きれいな顔してるから」
「なんだと。それは心外だな。余の雄々しさがわからぬとは」
「実を言うと、私も最初、ルディが男の子か女の子か、迷ったんだよね」
「そなたまでそのようなことを言うのか。こうなったら、ヒゲでもはやすか。なるべく大げさで、猛々しいやつをな」
私は全力で止めた。それは、可愛い女の子の顔にヒゲをはやすようなものだ。
「やめなよ、絶対に似合わないから。それに、外見でわざとらしく雄々しさをアピールするのって、逆に男らしくないよ。強さや凛々しさは、内面からにじみ出る方がかっこいいって」
「なるほど、一理ある」
すぐに諦めてくれたようで、ホッとする。それからしばらく無言で歩いた後、私は静かに口を開いた。
「ねえ、お母さんはああ言ってたけど、無理して付き合わなくてもいいんだよ?」
「無理? 何が?」
「いや、だって、魔界の王子様が、わざわざ違う世界の学校になんて通いたくないだろうし……」
「そんなことはないぞ。余は、こちらの世界の学校とやらに興味がある。魔界の訓練所と比べて、皆がどれほどの鍛錬を積んでいるのか気になるしな」
意外だった。……いや、私が学校という場所に対して積極的じゃないだけで、案外、他の世界の学校に通えるとなったら、ルディのように好奇心を持つ方が普通なのかもしれない。実際、ルディの言う『魔界の訓練所』に対しては、私もちょっと興味があるし。
そんな気持ちが、そのまま口から出る。
「魔界の訓練所って、どんなことをするの?」
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翌日。私はルディと一緒に、学校への道を歩いている。何故かというと、お母さんが朝一番にこう言ったからだ。
『ルディちゃん。学校には話をつけておいたから、こっちに滞在する間は加奈と同じ教室で勉強できるわよ。担任の先生にも全部説明してあるから、日本の学校生活をのびのび楽しんでね』
つまり、お母さんが昨日のうちに、ルディも学校に通えるようにしたのである。その行動の速さと実行力に、私だけでなくルディも驚いたようで、ただただ感心したという感じで私に言う。
「そなたの母、ただ者ではないな。訓練所――いや、この世界では学校と言うのだったな。その学校に話をつけると言っても、普通なら、一日やそこらでできることではないのではないか?」
「そうだね。私はよくわからないけど、会社でも一目置かれてるみたいだし、ご近所の人たちからも頼りにされてるみたいだから、たぶん凄い人なんだろうね。私、お母さんが悩んだり元気が無くなったりしてるところ、見たことないし」
「うむ。余が魔界の王になったら、部下に欲しいくらいだ。しかし、ルディ"ちゃん"と呼ばれるのだけは慣れないな。魔界の王族の中でも、余は親しみやすい方だとは思っているが、それでも余のことを"ちゃん"づけで呼ぶ者など一人もいなかったぞ」
「ふふっ」
「どうした。何故笑う」
「たぶんお母さん、ルディのこと、女の子だと思ってるんだよ。身長も私とほとんど変わらないし、長い髪で、きれいな顔してるから」
「なんだと。それは心外だな。余の雄々しさがわからぬとは」
「実を言うと、私も最初、ルディが男の子か女の子か、迷ったんだよね」
「そなたまでそのようなことを言うのか。こうなったら、ヒゲでもはやすか。なるべく大げさで、猛々しいやつをな」
私は全力で止めた。それは、可愛い女の子の顔にヒゲをはやすようなものだ。
「やめなよ、絶対に似合わないから。それに、外見でわざとらしく雄々しさをアピールするのって、逆に男らしくないよ。強さや凛々しさは、内面からにじみ出る方がかっこいいって」
「なるほど、一理ある」
すぐに諦めてくれたようで、ホッとする。それからしばらく無言で歩いた後、私は静かに口を開いた。
「ねえ、お母さんはああ言ってたけど、無理して付き合わなくてもいいんだよ?」
「無理? 何が?」
「いや、だって、魔界の王子様が、わざわざ違う世界の学校になんて通いたくないだろうし……」
「そんなことはないぞ。余は、こちらの世界の学校とやらに興味がある。魔界の訓練所と比べて、皆がどれほどの鍛錬を積んでいるのか気になるしな」
意外だった。……いや、私が学校という場所に対して積極的じゃないだけで、案外、他の世界の学校に通えるとなったら、ルディのように好奇心を持つ方が普通なのかもしれない。実際、ルディの言う『魔界の訓練所』に対しては、私もちょっと興味があるし。
そんな気持ちが、そのまま口から出る。
「魔界の訓練所って、どんなことをするの?」
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