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第53話
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「でも私は駄目です。もうそれなりの期間役所で働いているのに、いまだに上手く馴染めなんですから。兄はあっという間に才覚を示して、一部隊の隊長にまでなったのに」
「まあ、お兄さんと比べても仕方ないわよ。あなたはあなたで、マイペースにやって行けばいいと思うわ。……それにしても、今日は随分素直に自分のことを話してくれるのね」
そう言われて、自分の饒舌に気が付いたのか、メリンダは少し頬を赤らめる。しかし機嫌を壊すようなことはなく、小さく微笑して話し続ける。
「私、いつもそっけない態度をとってますけど、本当は誰かに自分の胸の内を聞いてもらいたかったのかもしれません。マリヤさんに話すことができて、色々と心が落ち着きました」
「あなたのためになったのなら、何よりだわ」
「ところでさっきも聞きましたが、どうして屋台で食事をしていたんですか? 王宮で、未確認危険能力の調査に協力しているのではなかったのですか?」
「私も、丸一日がかりで調査に協力するつもりだったんだけどね。実はこういうことがあって……」
私はかいつまんで、午前中にあったことを説明した。
話が終わると、メリンダはゆっくりと頷く。
「そうですか……魔人を一瞬で消し去ってしまうなんて、やっぱりあなたの力は、凄いものだったんですね。使えもしない秘術をできると言い張り続けた私の両親とは大違いです」
「いやぁ、そんな……私の力って言っても、なんでこんな力が使えるのか分からない、偶然の産物みたいなものだから……」
「偶然でも何でも、使いこなせているのなら、それはもうあなたの力ですよ。王太子様の命を救い、人々に害をなしていた魔人を倒したとなれば、間違いなく一級市民の資格が与えられるでしょう。これからは、マリヤ様とお呼びしなければいけませんね」
「やめてよ。この先私がどうなったとしても、今まで通りでいいってば」
そんなこんなで、メリンダと私は、少し打ち解けることができた。その日からしばらくの間、特に王宮から連絡が来なかったので、私はメリンダの家でのんびりと過ごした。
メリンダがツンツンしていたのは、結局のところ最初だけで、普通に接するようになってからの彼女は、実に素直だった。きっとこれが、メリンダ本来の性格なのだろう。両親が起こした騒動のせいで、友達からも付き合いを断たれ、辛い思いをし、それが原因で他人との間に精神的な壁を作っていたに違いない。
「まあ、お兄さんと比べても仕方ないわよ。あなたはあなたで、マイペースにやって行けばいいと思うわ。……それにしても、今日は随分素直に自分のことを話してくれるのね」
そう言われて、自分の饒舌に気が付いたのか、メリンダは少し頬を赤らめる。しかし機嫌を壊すようなことはなく、小さく微笑して話し続ける。
「私、いつもそっけない態度をとってますけど、本当は誰かに自分の胸の内を聞いてもらいたかったのかもしれません。マリヤさんに話すことができて、色々と心が落ち着きました」
「あなたのためになったのなら、何よりだわ」
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「私も、丸一日がかりで調査に協力するつもりだったんだけどね。実はこういうことがあって……」
私はかいつまんで、午前中にあったことを説明した。
話が終わると、メリンダはゆっくりと頷く。
「そうですか……魔人を一瞬で消し去ってしまうなんて、やっぱりあなたの力は、凄いものだったんですね。使えもしない秘術をできると言い張り続けた私の両親とは大違いです」
「いやぁ、そんな……私の力って言っても、なんでこんな力が使えるのか分からない、偶然の産物みたいなものだから……」
「偶然でも何でも、使いこなせているのなら、それはもうあなたの力ですよ。王太子様の命を救い、人々に害をなしていた魔人を倒したとなれば、間違いなく一級市民の資格が与えられるでしょう。これからは、マリヤ様とお呼びしなければいけませんね」
「やめてよ。この先私がどうなったとしても、今まで通りでいいってば」
そんなこんなで、メリンダと私は、少し打ち解けることができた。その日からしばらくの間、特に王宮から連絡が来なかったので、私はメリンダの家でのんびりと過ごした。
メリンダがツンツンしていたのは、結局のところ最初だけで、普通に接するようになってからの彼女は、実に素直だった。きっとこれが、メリンダ本来の性格なのだろう。両親が起こした騒動のせいで、友達からも付き合いを断たれ、辛い思いをし、それが原因で他人との間に精神的な壁を作っていたに違いない。
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