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第50話
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振り向かずとも、声だけで誰か分かった。
メリンダだ。
私は振り返る。
メリンダは、どこかにお使いに行っていたのか、それともお昼の休憩中なのか、小脇に袋を抱えて、私を不思議そうに見ていた。天の助けとばかりに、私はエリウッドから貰った金貨を見せて現状を説明した。
「……と言うわけで、このお店のご主人さん、この金貨は受け取れないって言うのよ。あなた、なんでか分かる?」
メリンダは小さくため息を漏らし、答える。
「当然でしょう。その金貨は王族や高貴な身分の人々が主に使用する特殊金貨です。たった一枚で、一般市民が使用する通貨の何百倍もの価値があります。たとえこの露店そのものを売り払ったとしても、おつりを返すことはできませんから、店主さんも、さぞ困ったことでしょう」
「そ、そうなの。ごめんなさい、私、別に店の人を困らせようと思ったわけじゃないんだけど。でも、どうしよう。それ以外にお金持ってないから、このままじゃ……」
うろたえる私と反対に、メリンダは平然としており、懐から財布を取りだすと、数枚の貨幣を店主さんに手渡して言った。
「これで足りますか?」
「はイ、まいド。またどうゾ」
……どうやら、私の代わりに支払いを済ませてくれたらしい。
そのままつかつかと歩いて行こうとするメリンダに追いつき、私は礼を言う。
「あの、ありがとう。代わりに払ってくれて。普通のお金を手に入れたら、今の分、ちゃんと返すわね」
メリンダはほとんど表情を変えずに言葉を返す。
「いいんです、これくらい。あなたには色々とご迷惑をおかけしましたから」
淡々とそう言って、メリンダは歩き続ける。
相変わらずそっけない態度だが、別段、私のことを嫌っているわけではなさそうである。……私のことを疎んでいるなら、屋台の支払いに困っている私を助けたりしないはずだからだ。
今だって、ついて来る私を拒絶するそぶりはない。
しばらく無言で歩くと、公園と思しき場所に私たちは到着した。
すべり台と砂場、後はベンチが二つだけの、簡素な公園だった。
メリンダはベンチに腰を下ろすと、先程から抱えていた袋から、携帯食のエネルギースフィアを取り出し、一口で食べてしまう。どうやら、これが彼女の昼食らしい。
メリンダだ。
私は振り返る。
メリンダは、どこかにお使いに行っていたのか、それともお昼の休憩中なのか、小脇に袋を抱えて、私を不思議そうに見ていた。天の助けとばかりに、私はエリウッドから貰った金貨を見せて現状を説明した。
「……と言うわけで、このお店のご主人さん、この金貨は受け取れないって言うのよ。あなた、なんでか分かる?」
メリンダは小さくため息を漏らし、答える。
「当然でしょう。その金貨は王族や高貴な身分の人々が主に使用する特殊金貨です。たった一枚で、一般市民が使用する通貨の何百倍もの価値があります。たとえこの露店そのものを売り払ったとしても、おつりを返すことはできませんから、店主さんも、さぞ困ったことでしょう」
「そ、そうなの。ごめんなさい、私、別に店の人を困らせようと思ったわけじゃないんだけど。でも、どうしよう。それ以外にお金持ってないから、このままじゃ……」
うろたえる私と反対に、メリンダは平然としており、懐から財布を取りだすと、数枚の貨幣を店主さんに手渡して言った。
「これで足りますか?」
「はイ、まいド。またどうゾ」
……どうやら、私の代わりに支払いを済ませてくれたらしい。
そのままつかつかと歩いて行こうとするメリンダに追いつき、私は礼を言う。
「あの、ありがとう。代わりに払ってくれて。普通のお金を手に入れたら、今の分、ちゃんと返すわね」
メリンダはほとんど表情を変えずに言葉を返す。
「いいんです、これくらい。あなたには色々とご迷惑をおかけしましたから」
淡々とそう言って、メリンダは歩き続ける。
相変わらずそっけない態度だが、別段、私のことを嫌っているわけではなさそうである。……私のことを疎んでいるなら、屋台の支払いに困っている私を助けたりしないはずだからだ。
今だって、ついて来る私を拒絶するそぶりはない。
しばらく無言で歩くと、公園と思しき場所に私たちは到着した。
すべり台と砂場、後はベンチが二つだけの、簡素な公園だった。
メリンダはベンチに腰を下ろすと、先程から抱えていた袋から、携帯食のエネルギースフィアを取り出し、一口で食べてしまう。どうやら、これが彼女の昼食らしい。
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