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第2話
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大ハズレ……どうしようもないゴミ……
今までの人生の中で、それなりに、口の悪い人と接することはあった。
それでも、ここまで面と向かって酷いことを言われたのは、初めてだ。
悲しみ以上に、怒りと悔しさで唇がわなわなと震える。
完全に私を見限った王子とは違い、国王は、まだ迷っている様子で、ごにょごにょと口を開く。
「う、うーむ……しかし、聖女召喚の儀は、王太子との婚約の儀も兼ねておるからの……書類も全部できておるし、宣誓も済んでおる……それらを全部破棄するというのもな……教皇のメンツを潰すことになってしまうし……」
「では父上、あなたは愛しい息子である私を、こんな黒髪の汚物と結婚させる気なのですか? ああ……敬愛する父上から、このような惨い仕打ちを受けるなんて……」
「わ、わかったわかった。教皇には、余、自ら謝罪しておく。それで、なんとかなるだろう」
「ありがとうございます父上。では早速、婚約に関する書類を」
「うむ」
運ばれてきた厚みのある書類を、王子はその場で破り捨てた。
何がなんだかよくわからないが、今までの話を総括すると、私は『聖女』とかいうよくわからないものになるために、この奇妙な世界に呼び出され、『聖女』とやらは、国の王太子と婚約関係になる必要があったようだ。
そして、その婚約は、たった今破棄された。
もちろん、好きでもない男との婚約破棄になんて、なんの未練もないが、私という存在が軽く見られ、徹底的にコケにされたという屈辱は、まるで火のような熱となって心身を焼いた。悔しくて、悔しくて、私はただ俯き、床を睨み、唇をかみしめていた。
・
・
・
それから、ものの三十分も経たないうちに、私は本当に国の外に追放された。
持ち物も、お金も、ゼロ。
まさに、着の身着のままである。
高い城壁の外。
目の前にひたすら広がる大平原を前にして、私は小さくため息を吐いた。
「はぁ……これからどうしよう」
誰だってそう思う。
私だってそう思う。
しかし、いつまでも途方に暮れているわけにはいかない。
私は、歩き始めた。少なくとも太陽が沈むまでには、どこか、屋根のあるところで眠りたい。
一応、目的地はある。壁門から出される直前、門番の兵士から嫌味たっぷりに、『お前みたいな黒髪の女でも、隣国のパーミルなら、少しは人間扱いしてもらえるかもな』と言われたので、とりあえずその『隣国のパーミル』とやらを目指すしかない。
地図や方位磁石があれば最高なのだが、当然そんなものはない。門番の兵士が指さしていた東の方角に向かって、とりあえずは歩き続けるしかない。
今までの人生の中で、それなりに、口の悪い人と接することはあった。
それでも、ここまで面と向かって酷いことを言われたのは、初めてだ。
悲しみ以上に、怒りと悔しさで唇がわなわなと震える。
完全に私を見限った王子とは違い、国王は、まだ迷っている様子で、ごにょごにょと口を開く。
「う、うーむ……しかし、聖女召喚の儀は、王太子との婚約の儀も兼ねておるからの……書類も全部できておるし、宣誓も済んでおる……それらを全部破棄するというのもな……教皇のメンツを潰すことになってしまうし……」
「では父上、あなたは愛しい息子である私を、こんな黒髪の汚物と結婚させる気なのですか? ああ……敬愛する父上から、このような惨い仕打ちを受けるなんて……」
「わ、わかったわかった。教皇には、余、自ら謝罪しておく。それで、なんとかなるだろう」
「ありがとうございます父上。では早速、婚約に関する書類を」
「うむ」
運ばれてきた厚みのある書類を、王子はその場で破り捨てた。
何がなんだかよくわからないが、今までの話を総括すると、私は『聖女』とかいうよくわからないものになるために、この奇妙な世界に呼び出され、『聖女』とやらは、国の王太子と婚約関係になる必要があったようだ。
そして、その婚約は、たった今破棄された。
もちろん、好きでもない男との婚約破棄になんて、なんの未練もないが、私という存在が軽く見られ、徹底的にコケにされたという屈辱は、まるで火のような熱となって心身を焼いた。悔しくて、悔しくて、私はただ俯き、床を睨み、唇をかみしめていた。
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それから、ものの三十分も経たないうちに、私は本当に国の外に追放された。
持ち物も、お金も、ゼロ。
まさに、着の身着のままである。
高い城壁の外。
目の前にひたすら広がる大平原を前にして、私は小さくため息を吐いた。
「はぁ……これからどうしよう」
誰だってそう思う。
私だってそう思う。
しかし、いつまでも途方に暮れているわけにはいかない。
私は、歩き始めた。少なくとも太陽が沈むまでには、どこか、屋根のあるところで眠りたい。
一応、目的地はある。壁門から出される直前、門番の兵士から嫌味たっぷりに、『お前みたいな黒髪の女でも、隣国のパーミルなら、少しは人間扱いしてもらえるかもな』と言われたので、とりあえずその『隣国のパーミル』とやらを目指すしかない。
地図や方位磁石があれば最高なのだが、当然そんなものはない。門番の兵士が指さしていた東の方角に向かって、とりあえずは歩き続けるしかない。
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