妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】

小平ニコ

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第14話(シャノーラ視点)

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「お世辞なんかじゃないってば。国全体をカバーするような結界が張れるのは、少なくとも私が知る限りじゃ、私と、あなただけよ。それって、けっこう凄い才能ってことじゃない?」

「それはまあ……そうかもしれないけど……」

「それにシャノーラは、私より責任感あるし、やっぱり、真の聖女はあなたの方だと思うわ。だいたい私、こんな国、別にどうなってもかまわないし」

「ま、またそういうこと言う……一応は自分の生まれ故郷なのに、そこまで愛国心がないのは、逆に凄いわ……」

「あっ、それよそれ、愛国心! 愛国心のない私が、国を守る『聖女』だったのが、そもそもおかしいのよ。で、あなたには、その愛国心がある。そんなふうに、ゲッソリ痩せちゃうまで、必死に結界を張ってたくらいだもんね。私なら、絶対適当なところで逃げちゃうわ。あなたのそういうところ、嫌味じゃなくて、本当に凄いと思うわよ」

「それはどうも。でも私の能力じゃ、聖女として、ずっと役目を果たしていくことはできそうにないわ……私、これから、国王陛下のところに行って、正式に辞意を……」

「ちょい待ち。諦めるのは、まだ早いわよ。シャノーラ、ちょっと、手を出してくれる?」

「えっ?」

 お姉様に言われるがまま、私は手を差し出した。
 その手を、お姉様はそっと握り、軽く魔力を込める。

「私ね、聖女に選ばれた時から、ちょっと考えてたことがあるの。……今こうして、あなたの手――そして、あなたの魔力に直接触れて、その考えは、ほぼほぼ確信に変わったわ。私とあなた、二人の力を合わせれば、もしかしたら、結界を『固定化』できるかもしれない」

「固定化? それって、どういうこと?」

「あのね、魔力には、人それぞれの個性があって、私の魔力とあなたの魔力は、正反対の性質を持ってるのよ。ほら、魔力そのものの色が全然違うでしょ?」

 そんなこと言われても、私にはさっぱりわからない。

 魔力を具現化した『結界の色』ならともかく、『魔力そのもの』に色があるなんて、考えたこともなかった。やはり、天才の見ている世界は、凡人とは全く違うのだろう。

 しかし、お姉様の言う『結界の固定化』には興味がある。
 私は、よくわからないながらも頷き、話の続きを促した。

 お姉様は、軽やかに説明を続行する。

「で、性質の違う魔力を混ぜ合わせれば、通常とは違う、特殊な反応を引き起こすことができるの。私の予想では、私とあなたの、正反対の魔力をミックスすることで、これまでは、ずっと魔力を流して張り続けるしかなかった結界を、ドームみたいに物質化し、固定できるはずなのよね」

「そ、そんな凄いこと、できるの!?」
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