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第13話(シャノーラ視点)
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「えぇ~、たったの58点? 私的には、75点くらいは行ってると思うんだけど」
「いや、悪くはないんですよ~? ただ、あまりにも表現が直接的すぎるので、そこらへんはもうちょっとぼかした方が、詩としては美しくなるんです~」
「はぁ~、なるほどね~。さすが、高度な教育を受けた侍女ね。勉強になるわ~」
駄目だ。
この二人、いかれてる。
私はふらつきながらも、懸命に抗議する。
「駄目よ、お姉様! 駄目駄目駄目! 確かにこの国は、問題が多いけど、それでも、魔物が攻めてきたら、たくさんの人が死んじゃうのよ! それを、見て見ぬふりなんてできないわ!」
「わかってるわよ~、ちょっとした冗談じゃないの~」
「こんなときに冗談なんて言わないで! ほら、早く結界を張って!」
「は~い」
そしてお姉様は、結界を展開した。
お姉様が広範囲の結界を張る瞬間を見るのは初めてだが、その美しさに、私は目を奪われた。まるで、七色のオーロラが広がっていくかのように、柔らかく、そして、強固な結界が、一瞬で国全体を包み込んでいく。
それはまるで、ダイヤモンドでできたカーテンだ。
とてつもなく硬く、それなのに、柔軟に姿を変え、広範囲をカバーする。
二つの相反する要素を、いともたやすく織り込んだ、完璧な結界。
限られた人間にしか作りだすことのできない、天才の結界。
もう身にしみてわかってはいたつもりだったが、やはり、ここまで自分との才能の違いを見せつけられると、なんだか切ないような、寂しいような思いが、胸の中で、消えたり浮かんだりした。
しかし、前にも述べたように、私はもう、お姉様と張り合う気はない。
素直に自分の負けを認め、微笑さえ浮かべて、私は言う。
「やっぱり、お姉様は凄いわね……私の完敗だわ……お姉様と比べたら、私の結界なんて、穴だらけのボロぞうきんみたいなものね」
「ど、どうしたの、シャノーラ。あなたがそんな、卑屈なこと言うなんて。なんか、いつもの散歩道で、毎回私が通るたびにギャンギャン吠えてきた犬が急に大人しくなったみたいで、心配だわ」
「失礼な例えだけど、まあ、聞かなかったことにするわ……。卑屈って言うか、私、自分の身の程を思い知ったのよ。心の底からね。私程度の才能で、天才のお姉様を追い出して、真の聖女を名乗ってただなんて、今となっては、恥ずかしいわ……」
「そうかしら? あなたの才能も、充分凄いと思うけど」
「やめてよ、お世辞なんて。もっとみじめになるじゃない」
「いや、悪くはないんですよ~? ただ、あまりにも表現が直接的すぎるので、そこらへんはもうちょっとぼかした方が、詩としては美しくなるんです~」
「はぁ~、なるほどね~。さすが、高度な教育を受けた侍女ね。勉強になるわ~」
駄目だ。
この二人、いかれてる。
私はふらつきながらも、懸命に抗議する。
「駄目よ、お姉様! 駄目駄目駄目! 確かにこの国は、問題が多いけど、それでも、魔物が攻めてきたら、たくさんの人が死んじゃうのよ! それを、見て見ぬふりなんてできないわ!」
「わかってるわよ~、ちょっとした冗談じゃないの~」
「こんなときに冗談なんて言わないで! ほら、早く結界を張って!」
「は~い」
そしてお姉様は、結界を展開した。
お姉様が広範囲の結界を張る瞬間を見るのは初めてだが、その美しさに、私は目を奪われた。まるで、七色のオーロラが広がっていくかのように、柔らかく、そして、強固な結界が、一瞬で国全体を包み込んでいく。
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とてつもなく硬く、それなのに、柔軟に姿を変え、広範囲をカバーする。
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もう身にしみてわかってはいたつもりだったが、やはり、ここまで自分との才能の違いを見せつけられると、なんだか切ないような、寂しいような思いが、胸の中で、消えたり浮かんだりした。
しかし、前にも述べたように、私はもう、お姉様と張り合う気はない。
素直に自分の負けを認め、微笑さえ浮かべて、私は言う。
「やっぱり、お姉様は凄いわね……私の完敗だわ……お姉様と比べたら、私の結界なんて、穴だらけのボロぞうきんみたいなものね」
「ど、どうしたの、シャノーラ。あなたがそんな、卑屈なこと言うなんて。なんか、いつもの散歩道で、毎回私が通るたびにギャンギャン吠えてきた犬が急に大人しくなったみたいで、心配だわ」
「失礼な例えだけど、まあ、聞かなかったことにするわ……。卑屈って言うか、私、自分の身の程を思い知ったのよ。心の底からね。私程度の才能で、天才のお姉様を追い出して、真の聖女を名乗ってただなんて、今となっては、恥ずかしいわ……」
「そうかしら? あなたの才能も、充分凄いと思うけど」
「やめてよ、お世辞なんて。もっとみじめになるじゃない」
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