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第10話(シャノーラ視点)
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私はもう、ボロボロ泣きながら、命がけの覚悟で集中した。
……そしてなんとか、結界を張りなおすことに、成功した。
これぞ、火事場の馬鹿力という奴だろう。
すぐに、伝令がやって来て、魔物の大軍が、復活した結界を前にして、渋々と引き上げていったと報告した。衛兵も、私も、ホッと息を吐く。侍女だけは、状況がよく分かっていなかったのか、相変わらずのほほんとした態度で、言う。
「なんだかよくわからないですけど、良かったですね~、シャノーラ様。お疲れ様……です。一息ついて、また、お菓子でも食べますか~?」
「食べるわけないでしょ! 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿っ! もういいから、あんたたち、全員出て行きなさい! 一人で集中させて!」
「は~い」
そして、侍女と衛兵は、神殿を出て行った。
……はぁ。
これでやっと、一人で集中して、祈りを捧げることができる。
それにしても、お姉様がいなくなって、たった二日で、この騒ぎとは。
そうよ。
二日。
まだ、たったの二日。
その二日で、私はもう、身も心も、ボロボロだ。
疲れた。
家に帰って、ベッドで、ゆっくり休みたい……
でも、休めない。
今だって、一瞬でも集中を切らしたら、またすぐ、結界が消えてしまう。そうなったら、トボトボと引き返してる魔物の大軍が、大喜びでこっちに向かってくるに違いない。
いったいいつまで、この、苦しい日々が続くの?
知ってる。
私は、それを知ってる。
聖女の任期は、十年だ。
……嘘でしょ?
こんな生活が、あと十年も続くの?
お姉様なら、やれる。『天才』のお姉様なら、お昼寝をし、適当に遊んで、おやつを食べたりしながら、のんびりと十年間、役目を果たすことができただろう。
私は?
私に、そんなことが、できるの?
無理だ。
できるはずがない。
しかし、今更投げ出すことはできない。
お姉様がいなくなった今、この国で一番高い魔力の持ち主は私だ。
私以外に、国を守るほどの、広範囲の結界を張れるものなんて、いない。
だから、やめられない。
どんなにやめたくても、やめられない。
絶対に、やめられない……
今になって、やっと悟った。
『特別な役目』を果たすには、『特別な才能』が必要なのだ。
凡人が、分不相応な役目についても、生き地獄を味わうだけ。
偽りの聖女は、私の方。お姉様こそが、真の聖女だった。
……そしてなんとか、結界を張りなおすことに、成功した。
これぞ、火事場の馬鹿力という奴だろう。
すぐに、伝令がやって来て、魔物の大軍が、復活した結界を前にして、渋々と引き上げていったと報告した。衛兵も、私も、ホッと息を吐く。侍女だけは、状況がよく分かっていなかったのか、相変わらずのほほんとした態度で、言う。
「なんだかよくわからないですけど、良かったですね~、シャノーラ様。お疲れ様……です。一息ついて、また、お菓子でも食べますか~?」
「食べるわけないでしょ! 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿っ! もういいから、あんたたち、全員出て行きなさい! 一人で集中させて!」
「は~い」
そして、侍女と衛兵は、神殿を出て行った。
……はぁ。
これでやっと、一人で集中して、祈りを捧げることができる。
それにしても、お姉様がいなくなって、たった二日で、この騒ぎとは。
そうよ。
二日。
まだ、たったの二日。
その二日で、私はもう、身も心も、ボロボロだ。
疲れた。
家に帰って、ベッドで、ゆっくり休みたい……
でも、休めない。
今だって、一瞬でも集中を切らしたら、またすぐ、結界が消えてしまう。そうなったら、トボトボと引き返してる魔物の大軍が、大喜びでこっちに向かってくるに違いない。
いったいいつまで、この、苦しい日々が続くの?
知ってる。
私は、それを知ってる。
聖女の任期は、十年だ。
……嘘でしょ?
こんな生活が、あと十年も続くの?
お姉様なら、やれる。『天才』のお姉様なら、お昼寝をし、適当に遊んで、おやつを食べたりしながら、のんびりと十年間、役目を果たすことができただろう。
私は?
私に、そんなことが、できるの?
無理だ。
できるはずがない。
しかし、今更投げ出すことはできない。
お姉様がいなくなった今、この国で一番高い魔力の持ち主は私だ。
私以外に、国を守るほどの、広範囲の結界を張れるものなんて、いない。
だから、やめられない。
どんなにやめたくても、やめられない。
絶対に、やめられない……
今になって、やっと悟った。
『特別な役目』を果たすには、『特別な才能』が必要なのだ。
凡人が、分不相応な役目についても、生き地獄を味わうだけ。
偽りの聖女は、私の方。お姉様こそが、真の聖女だった。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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