秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜

文字の大きさ
上 下
80 / 105
第三章 誰にでも秘密はある

3-20 閑話 その後の三人の会話①

しおりを挟む
 アルヴィンは、キャスティナをコーンフォレス家に送り届けた後に、もう一度グランヴィル公爵家に足を運んだ。

 デズモンドもローレンスも、来ることを予想してたのか既に、アルヴィンの分まで夕食が用意されていた。アルヴィンは、久しぶりにグランヴィル邸で夕食をご馳走になった。アルヴィンは、ローレンスと同級生で子供の頃は、よくお互いの家を行き来していた。

 夕食を食べ終わると、三人は居間に移動した。煙草を嗜んだり、お酒を用意させたり三人各々寛いでいる。最初に言葉を口に出したのは、アルヴィンだった。

「キャスティナが、何処に居たのか聞いてきました」

「そうか·····」

 デズモンドが、頷く。

「私はまだ聞いてないので、父上話して頂けますか?」

 ローレンスが、デズモンドに聞く。

「ああ。秘密じゃったんだがのー。仕方ないのう」

 そう言って、デズモンドは話し出した。キャスティナが居たのは、王都の一番端っこにあるウィードという町だと言うこと。そもそも、何故自分が知っていたかと言うと、偶々自分がその店の常連だったからだと。

 デズモンドは、昔から王都のあらゆる町にお忍びで出掛けていた。町歩きで、自分好みの店を見つけるのが好きなのだと。四、五年前にフラッと立ち寄ったウィードの町で、喫茶店を見つけた。入ってみたら、店の雰囲気が良くて平民の店とは思えないコーヒーの美味しさにびっくりした。それから、時間が出来るとたまにコーヒーを飲みに行っていたと。

「たまに父上が、何処に行くのか告げずにいなくなってたのは、そこに行ってたんですか?公爵が、平民の町の喫茶店の常連って·····」

 ローレンスが驚いている。

「コーヒーが美味しいんじゃよ。それに運が良いと可愛い女の子に会えたんじゃよ」

「それが、キャスティナ嬢だったんですか?」

 ローレンスは、父上は相変わらず突飛な行動をするっと呆れている。

「そう。わしが店に行き始めて一年くらい経った時かのう。女の子が店を手伝う様になったんじゃよ」

 デズモンドが当時を懐かしそうに、笑みを浮かべる。

「キャスティナは、最初からあんな感じで屈託ない子だったんですか?」

 アルヴィンが口を挟む。

「ティナちゃんはなぁー。ああ、キャスティナの事だが·····。初めは、全く表情が無くて、目も前髪で隠していたし笑わない子だったんじゃよ」

 ローレンスもアルヴィンも驚いている。

「今のティナちゃんから、思いもよらないだろう?少しずつ少しずつ、笑顔を引き出したのが、ジーンなんじゃよ。喫茶店のマスターなんじゃが」

 アルヴィンは、それを聞いて納得する。コーンフォレス家でキャスティナが、マスターの事を大切だと言っていた意味が。

「ジーンって男は、どんな奴なんです?」

 アルヴィンが尋ねる。

「ジーンはなぁー、一言で言うと平民にしとくのは勿体ない男だよ。頭がいい。誠実で、なかなかの策略家じゃな」

「あの、聞きづらいですが·····その、ジーンとキャスティナ嬢は恋仲ではないんですか?」

 ローレンスが、アルヴィンの顔を窺いながら言いづらそうに述べる。

「ジーンは、結婚していたし確か子供もいるはずじゃよ。一度も、嫁も子供も見た事ないが。ティナちゃんは、もしかしたら叶わぬ初恋の相手だったとしても不思議ではないだろ。聞いた事ないから、わからんがの」

「そうですか·····」

 ローレンスは、複雑な心境だった。

「今度、コーヒー飲みに行ってみるか?おそらく、エヴァンはキャスティナに内緒で案内しろって言って来るだろ」

 デズモンドが、面白そうにしている。

「全く。父上は。完全に面白がってますね」

 ローレンスが溜め息をつく。

「ホッホッホッ。これが面白くない訳ないじゃろ。長年、成長を見守ってた女の子が、わしの周りの男どもを振り回してるんじゃからな」

「行く時は、私にも一声かけて下さい」

 アルヴィンは、キャスティナを変えたという男に俄然興味が湧いた。
しおりを挟む
script?guid=on
感想 1

あなたにおすすめの小説

(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん
恋愛
双子の姉として生まれたエヴィ。双子の妹のリンディは稀な光の魔力を持って生まれた為、体が病弱だった。両親からは愛されているとは思うものの、両親の関心はいつも妹に向いていた。 妹は、病弱だから─と思う日々が、5歳のとある日から日常が変わっていく事になる。 今迄関わる事のなかった異母姉。 「私が、お姉様を幸せにするわ!」 その思いで、エヴィが斜め上?な我儘令嬢として奮闘しているうちに、思惑とは違う流れに─そんなお話です。 最初の方はシリアスで、恋愛は後程になります。 ❋主人公以外の他視点の話もあります。 ❋独自の設定や、相変わらずのゆるふわ設定なので、ゆるーく読んでいただけると嬉しいです。ゆるーく読んで下さい(笑)。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

王太子殿下が私を諦めない

風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。 今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。 きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。 どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。 ※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係

ayame@コミカライズ決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________

妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。

バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。 瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。 そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。 その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。 そして……。 本編全79話 番外編全34話 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな
恋愛
生まれ変われたら…転生できたら…。 なんて思ったりもしていました…あの頃は。 まさかこんな人生終盤で前世を思い出すなんて!

処理中です...