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第一章 人生って何が起こるかわからない

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 居間で話を終えた後は、エヴァンと一緒に夕御飯を食べた。今まで食べた事がない、美味しい食事に驚いた。でも一番は、誰かと一緒に楽しく食事をするのが本当に久しぶりで、嬉しさが溢れてキャスティナは涙ぐんでしまった。

「キャスティナ?どうした?嫌いな物でもあった?」 

 エヴァンが、心配そうにキャスティナを見る。

「ふふふ。嫌いな物なんてないですよ。食べるもの全部が美味しくて。ただ、こんなに楽しい食事は本当に久しぶりで……とにかく大丈夫です。美味しいです」

「そうか。うちに来たら家族が多いから、いつも食卓は賑やかだよ。楽しみにしていてね」

「それは、とっても楽しみです」

 キャスティナは、屈託なく笑った。

 夕飯をご馳走になってから、キャスティナはエヴァンにエジャートン子爵家に馬車で送ってもらった。エヴァンは、本当だったらこのままこの屋敷に住まわせてしまいたいくらいだったが、キャスティナが一度帰りたいと言うので我慢して送り届けた。

「では、キャスティナまた一週間後にね。今度は、本宅で待っているから。荷物は、キャスティナが持ってきたい物だけで大丈夫だからね。必要な物は、全部こちらで用意しておくよ」

「ありがとうございます」

 キャスティナは、自分の屋敷に戻って行った。そして、真っ直ぐ自分の部屋に入る。エーファが、湯浴みの準備をしてくれていた。

「おかえりなさいませ。お嬢様。楽しかったですか?」

「エーファ、ただいま。楽しかったけど、それより疲れた。もうすぐに寝たい。とにかく、ドレス脱ぎたい。エーファ手伝って」

 エーファは、素早くドレスを脱がせる。ベッドに入りたそうなキャスティナを急いで湯浴みさせる。夜着に着替えさせて、髪を乾かした。

「お嬢様。これでお休みになられて大丈夫です」

「エーファありがとう。明日は、早く起きられる自信がないから、いつもの時間に起きていかなくても気にしないで」

「かしこまりました。では、おやすみなさいませ」

 エーファは、キャスティナの部屋を退出する。キャスティナは、とにかく疲れてしまった。ゆっくり寝てから色々考えようと思って目を閉じた。  




 ********************

 

    その頃、自分の屋敷に戻って来たエヴァンは自室で着替えてソファで寛いでいた。ヒューを呼んでワインを持ってきてもらう。

「なぁ、ヒュー。俺はよくキャスティナを見つけたと思うよ。自分を誉めてやりたいよ。本当にたまたまだったんだ」

「エヴァン様。私も誉めて差し上げます。よくキャスティナ様のようなお嬢様を見つけてこられましたね。きっと皆様に、気に入って頂けますよ。足りない点はあります。ですが、あの強さがあれば問題ないと思います」

「そうだな。話を聞いていて、この子は可哀想って思ったらダメなんだろうな。それは失礼だと思ったよ。これから、俺が今までの分も大切にしていけばいいんだって思ったよ」

「キャスティナ様の事は明日、旦那様と奥様に話して来ます。取り合えずお二人に話せば大丈夫かと。必要な物も、奥様と相談して準備を始めます」

「ああ。それで頼む。私は明日からまた仕事でゆっくり父上達と話す時間がないから。来週までには、何とか時間を作って一度は話しに行きたいと伝えてくれ」

「かしこまりました」

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