3 / 51
003 全てが始まった日
しおりを挟む
初めて目にした夢の世界は、想像していたよりもずっと素敵だった。ホールに煌めくシャンデリアは、頭上でキラキラと輝き夜の世界を引き立たせる。
その下で踊る、花のような女性たちは笑顔でとても楽しそう。
今日、社交界デビューを果たしたリリー・フローレスは、足を踏み入れた夜会会場に圧倒されていた。母親や姉たちから話でしか聞いたことのなかった王都の夜会。
真っ白なデビュタントドレスに身を包んだリリーは、頬をほんのり赤く染め興奮に胸躍らせていた。
「リリー、呆けてないでしっかりしなさい。王族の方々に挨拶もするのだからね」
エスコート役の父に、組んでいた腕を優しく叩かれた。リリーは、夢のような世界から現実に引き戻される。
「わかっています。失敗しないうように祈っていて」
リリーは、子供のような無邪気な笑顔を咲かせる。末の娘のその笑顔に、父親は心配しつつも微笑を零す。会場内に入ると、デビュタントの娘に向けて祝福の声が落とされた。
「デビュタントおめでとう」
すれ違う人々に、笑顔でそう声をかけられる。リリーは、会釈をしながら会場の奥へと進んだ。ずっと楽しみにしていたこの瞬間が夢みたいで、心の中はフワフワと踊っている。
父親と一緒に会場内を歩き、自分が主役になったような錯覚を覚える。
緊張しながら王族への挨拶を終えたリリーは、知り合いへの挨拶回りに向かった父親と少しだけ離れた。少し休憩したいと飲物を手に、ホールの壁際に寄って煌びやかなホールの風景を見ていた。
十六歳になったリリーは、ずっとこの日を楽しみにしていた。自分が想像していたよりも素敵なこの風景に、見惚れて浮足立つ。壁際に寄ってホールを見渡していると、会場全体がよくわかる。
リリーと同じように今日デビュタントを迎えた娘たちが、ちらほらダンスに誘われて踊り出している。
その光景を見ながら、素敵だと羨望の眼差しでシャンパングラスを手に立っていた。自分も、王子様のような男性に見初められてダンスに誘われてみたい。
貴族の令嬢なら誰もが一度は憧れる夢。リリーも同じ様に夢見ている。きっと自分にも、素敵な運命の男性が現れるのだと。
この時のリリーは、かなりおっとりしていて王都の令嬢たちと違って世間知らずな夢見る女の子だった。本当の恋が、どういったものなのか知らない。リリーが知っているのは、物語のような輝く恋。だけど実際は、そんな輝く恋なんてできる子はそういるもんじゃない。
この場所にいる男性は、小説のように誠実で格好良い人ばかりではない。でも初心だったリリーは、質の悪い男性と自分が関り合いになるなんて考えもしなかった。
だってリリーは、そう言った世間の負の部分からは縁遠い生活を送っていたのだ。この時は、世界は優しくて暖かいものだと信じて疑っていなかった。
リリーは、少しだけこの夜会会場の雰囲気に慣れてきていた。父親からは、この場を離れないようにと言われていたが、気になる場所を見つけてしまう。
さっきから何人もの令嬢や令息が、ホールの外に繋がる扉を行き来している。あそこには何があるのかしら? と興味が沸いた。
好奇心を抑えられないリリーは、ほんの少しだけとその場所に足を向けた。父親に対する罪悪感を忍ばせながらも、リリーはお目当ての扉から外に出る。
外には、目にしたことがない幻想的な世界が広がっていた。そこは、綺麗にライトアップされた王宮庭園への入口だった。
とても細かい装飾を施されたランプが、柔らかいオレンジの明かりを灯していた。春に彩る花々が、綺麗に配置されて咲き誇る。
花に負けないくらいおめかしをした令嬢が、令息たちにエスコートされながらその風景を楽しんでいる。令嬢同士の楽しそういな話し声も聞こえる。
リリーもその風景に魅せられて、王宮庭園に足を踏み入れる。本当は、令嬢が一人でフラフラして良い所ではない。
普段のリリーだったらわかっていただろうが、その夜の彼女は夜会という非日常の雰囲気に完全に飲まれていた。
そうは言っても一人だったリリーは、人がいないところを見つけてはその方向に向かって歩いていた。流石に、誰かがいる所は入って行きにくい。
そんなことをしていたら、だいぶ奥の方まで歩いて来てしまった。丁度良いところに白いベンチを見つけて、リリーはそこに腰掛ける。
木々の緑に、ランプの光が当たっているのを見るととても落ち着く。一人でこの綺麗な景色を独り占めしているみたいで、心が弾んでいた。
すると、誰かの足音が聞こえ一人の男性が姿を現す。リリーは、驚きながらもその男性の顔を見る。男性の方も誰かがいると思ってなかったようで、驚いた表情をしていた。
リリーは、もう充分この場所を楽しんだので彼にこの場所は譲ろうと、ベンチから立ち上がった。
「失礼します」
そう言って立ち去ろうとしたら、リリーの腕を掴まれた。
「あっ、いや、すまない……。少しだけ話し相手になってくれないか?」
リリーが、驚いた顔をしたのでその男性はすぐに腕を離した。近くでその男性の顔を見たら、余りの格好良さに目を奪われてしまう。
リリーよりも年上で、金色の髪が月明かりに照らされて輝いている。
(こんな王子様みたいな男性って本当にいるんだ……)
だけど、なんだかとても疲れた顔をしている。リリーを驚かせてしまって申し訳ないと思っているのか、顔を俯けてしょげている。その姿を見ていたら、悪い人には思えなかった。
「では、少しだけ」
リリーは、先ほど立ち上がったベンチに座り直す。その男性も、リリーの横に座った。少し話をしようといったのは、彼だったのに一向に話始めない。
不思議に思ったが、さっきの表情からとても疲れているのかも知れないと思った。だからリリーは、何も言わずにただ隣で綺麗な庭を見ていた。
どれくらいそうしていたかわかがらないが、隣に座る男性がポツリと零した。
「君は、何も聞かないんだな……」
リリーは、彼に視線を移動させる。男性の顔は、何かを諦めているような疲れ切ったものだった。
「お疲れのようでしたので……。ここは、静かでいいですね」
リリーは、ライトアップされている庭園に視線を向けた。かなり奥まった所に来てしまったからか、入口のような賑やかさはない。
「ああ。そうだね。ホールの中は、人が一杯で疲れてしまうから……」
彼は、遠くを見るように呟く。心がこの場所にはないようだ。そしてリリーと男性は、ポツリポツリとたわいもない話を始めた。
時間にしたらどれくらいその場所にいたのか、はっきりとは覚えていない。我に戻って気づいたのは、リリーが先だった。
「あのっ私、そろそろ戻らないとお父様に叱られてしまうので……」
リリーは、立ち上がる。
「引き留めてしまって悪かったね……。最後に、名前を聞いても良いだろうか?」
男性は、ベンチに座ったままリリーを見上げて聞いた。
「リリー・フローレスです。今日、社交界デビューをしたばかりなんです」
リリーは、嬉しそうに笑って言った。
「そうか……では、今年の社交界にはあちこち顔を出すのだろうね?」
男性は、尚も質問を投げかける。
「はい。恐らく、そうなると思います。あの、私もお名前を聞いてもよろしいですか?」
リリーは、名乗り出なかった男性に疑問を持ちつつも好奇心に負けて訊ねる。
「ああ。私は、グレンだよ。もし、また会うことがあったらグレンと呼んで」
家名を名乗らないことに不信感はあったが、どうせもう会うこともないだろうと追及はしなかった。
「はい。では、失礼します」
リリーは、ペコリと頭を下げるとその場を後にした。夢のような綺麗な場所で、王子様のような綺麗な男性と話ができたことに満足だった。
もし、今度会うことができたらダンスに誘ってくれるかしら? そんな妄想を抱いてドキドキした。もう会うことはないだろうと、さっきは思ったばかりなのに。自分でも可笑しくて、ふふふと笑ってしまう。
この時のリリーはまだ、格好良い男性と出会ってちょっと舞い上がって喜ぶその程度の感情だった。
その下で踊る、花のような女性たちは笑顔でとても楽しそう。
今日、社交界デビューを果たしたリリー・フローレスは、足を踏み入れた夜会会場に圧倒されていた。母親や姉たちから話でしか聞いたことのなかった王都の夜会。
真っ白なデビュタントドレスに身を包んだリリーは、頬をほんのり赤く染め興奮に胸躍らせていた。
「リリー、呆けてないでしっかりしなさい。王族の方々に挨拶もするのだからね」
エスコート役の父に、組んでいた腕を優しく叩かれた。リリーは、夢のような世界から現実に引き戻される。
「わかっています。失敗しないうように祈っていて」
リリーは、子供のような無邪気な笑顔を咲かせる。末の娘のその笑顔に、父親は心配しつつも微笑を零す。会場内に入ると、デビュタントの娘に向けて祝福の声が落とされた。
「デビュタントおめでとう」
すれ違う人々に、笑顔でそう声をかけられる。リリーは、会釈をしながら会場の奥へと進んだ。ずっと楽しみにしていたこの瞬間が夢みたいで、心の中はフワフワと踊っている。
父親と一緒に会場内を歩き、自分が主役になったような錯覚を覚える。
緊張しながら王族への挨拶を終えたリリーは、知り合いへの挨拶回りに向かった父親と少しだけ離れた。少し休憩したいと飲物を手に、ホールの壁際に寄って煌びやかなホールの風景を見ていた。
十六歳になったリリーは、ずっとこの日を楽しみにしていた。自分が想像していたよりも素敵なこの風景に、見惚れて浮足立つ。壁際に寄ってホールを見渡していると、会場全体がよくわかる。
リリーと同じように今日デビュタントを迎えた娘たちが、ちらほらダンスに誘われて踊り出している。
その光景を見ながら、素敵だと羨望の眼差しでシャンパングラスを手に立っていた。自分も、王子様のような男性に見初められてダンスに誘われてみたい。
貴族の令嬢なら誰もが一度は憧れる夢。リリーも同じ様に夢見ている。きっと自分にも、素敵な運命の男性が現れるのだと。
この時のリリーは、かなりおっとりしていて王都の令嬢たちと違って世間知らずな夢見る女の子だった。本当の恋が、どういったものなのか知らない。リリーが知っているのは、物語のような輝く恋。だけど実際は、そんな輝く恋なんてできる子はそういるもんじゃない。
この場所にいる男性は、小説のように誠実で格好良い人ばかりではない。でも初心だったリリーは、質の悪い男性と自分が関り合いになるなんて考えもしなかった。
だってリリーは、そう言った世間の負の部分からは縁遠い生活を送っていたのだ。この時は、世界は優しくて暖かいものだと信じて疑っていなかった。
リリーは、少しだけこの夜会会場の雰囲気に慣れてきていた。父親からは、この場を離れないようにと言われていたが、気になる場所を見つけてしまう。
さっきから何人もの令嬢や令息が、ホールの外に繋がる扉を行き来している。あそこには何があるのかしら? と興味が沸いた。
好奇心を抑えられないリリーは、ほんの少しだけとその場所に足を向けた。父親に対する罪悪感を忍ばせながらも、リリーはお目当ての扉から外に出る。
外には、目にしたことがない幻想的な世界が広がっていた。そこは、綺麗にライトアップされた王宮庭園への入口だった。
とても細かい装飾を施されたランプが、柔らかいオレンジの明かりを灯していた。春に彩る花々が、綺麗に配置されて咲き誇る。
花に負けないくらいおめかしをした令嬢が、令息たちにエスコートされながらその風景を楽しんでいる。令嬢同士の楽しそういな話し声も聞こえる。
リリーもその風景に魅せられて、王宮庭園に足を踏み入れる。本当は、令嬢が一人でフラフラして良い所ではない。
普段のリリーだったらわかっていただろうが、その夜の彼女は夜会という非日常の雰囲気に完全に飲まれていた。
そうは言っても一人だったリリーは、人がいないところを見つけてはその方向に向かって歩いていた。流石に、誰かがいる所は入って行きにくい。
そんなことをしていたら、だいぶ奥の方まで歩いて来てしまった。丁度良いところに白いベンチを見つけて、リリーはそこに腰掛ける。
木々の緑に、ランプの光が当たっているのを見るととても落ち着く。一人でこの綺麗な景色を独り占めしているみたいで、心が弾んでいた。
すると、誰かの足音が聞こえ一人の男性が姿を現す。リリーは、驚きながらもその男性の顔を見る。男性の方も誰かがいると思ってなかったようで、驚いた表情をしていた。
リリーは、もう充分この場所を楽しんだので彼にこの場所は譲ろうと、ベンチから立ち上がった。
「失礼します」
そう言って立ち去ろうとしたら、リリーの腕を掴まれた。
「あっ、いや、すまない……。少しだけ話し相手になってくれないか?」
リリーが、驚いた顔をしたのでその男性はすぐに腕を離した。近くでその男性の顔を見たら、余りの格好良さに目を奪われてしまう。
リリーよりも年上で、金色の髪が月明かりに照らされて輝いている。
(こんな王子様みたいな男性って本当にいるんだ……)
だけど、なんだかとても疲れた顔をしている。リリーを驚かせてしまって申し訳ないと思っているのか、顔を俯けてしょげている。その姿を見ていたら、悪い人には思えなかった。
「では、少しだけ」
リリーは、先ほど立ち上がったベンチに座り直す。その男性も、リリーの横に座った。少し話をしようといったのは、彼だったのに一向に話始めない。
不思議に思ったが、さっきの表情からとても疲れているのかも知れないと思った。だからリリーは、何も言わずにただ隣で綺麗な庭を見ていた。
どれくらいそうしていたかわかがらないが、隣に座る男性がポツリと零した。
「君は、何も聞かないんだな……」
リリーは、彼に視線を移動させる。男性の顔は、何かを諦めているような疲れ切ったものだった。
「お疲れのようでしたので……。ここは、静かでいいですね」
リリーは、ライトアップされている庭園に視線を向けた。かなり奥まった所に来てしまったからか、入口のような賑やかさはない。
「ああ。そうだね。ホールの中は、人が一杯で疲れてしまうから……」
彼は、遠くを見るように呟く。心がこの場所にはないようだ。そしてリリーと男性は、ポツリポツリとたわいもない話を始めた。
時間にしたらどれくらいその場所にいたのか、はっきりとは覚えていない。我に戻って気づいたのは、リリーが先だった。
「あのっ私、そろそろ戻らないとお父様に叱られてしまうので……」
リリーは、立ち上がる。
「引き留めてしまって悪かったね……。最後に、名前を聞いても良いだろうか?」
男性は、ベンチに座ったままリリーを見上げて聞いた。
「リリー・フローレスです。今日、社交界デビューをしたばかりなんです」
リリーは、嬉しそうに笑って言った。
「そうか……では、今年の社交界にはあちこち顔を出すのだろうね?」
男性は、尚も質問を投げかける。
「はい。恐らく、そうなると思います。あの、私もお名前を聞いてもよろしいですか?」
リリーは、名乗り出なかった男性に疑問を持ちつつも好奇心に負けて訊ねる。
「ああ。私は、グレンだよ。もし、また会うことがあったらグレンと呼んで」
家名を名乗らないことに不信感はあったが、どうせもう会うこともないだろうと追及はしなかった。
「はい。では、失礼します」
リリーは、ペコリと頭を下げるとその場を後にした。夢のような綺麗な場所で、王子様のような綺麗な男性と話ができたことに満足だった。
もし、今度会うことができたらダンスに誘ってくれるかしら? そんな妄想を抱いてドキドキした。もう会うことはないだろうと、さっきは思ったばかりなのに。自分でも可笑しくて、ふふふと笑ってしまう。
この時のリリーはまだ、格好良い男性と出会ってちょっと舞い上がって喜ぶその程度の感情だった。
380
お気に入りに追加
2,030
あなたにおすすめの小説
牢で死ぬはずだった公爵令嬢
鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。
表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。
小説家になろうさんにも投稿しています。

どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

政略結婚の指南書
編端みどり
恋愛
【完結しました。ありがとうございました】
貴族なのだから、政略結婚は当たり前。両親のように愛がなくても仕方ないと諦めて結婚式に臨んだマリア。母が持たせてくれたのは、政略結婚の指南書。夫に愛されなかった母は、指南書を頼りに自分の役目を果たし、マリア達を立派に育ててくれた。
母の背中を見て育ったマリアは、愛されなくても自分の役目を果たそうと覚悟を決めて嫁いだ。お相手は、女嫌いで有名な辺境伯。
愛されなくても良いと思っていたのに、マリアは結婚式で初めて会った夫に一目惚れしてしまう。
屈強な見た目で女性に怖がられる辺境伯も、小動物のようなマリアに一目惚れ。
惹かれ合うふたりを引き裂くように、結婚式直後に辺境伯は出陣する事になってしまう。
戻ってきた辺境伯は、上手く妻と距離を縮められない。みかねた使用人達の手配で、ふたりは視察という名のデートに赴く事に。そこで、事件に巻き込まれてしまい……
※R15は保険です
※別サイトにも掲載しています

王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる