幼馴染の公爵令嬢が、私の婚約者を狙っていたので、流れに身を任せてみる事にした。

完菜

文字の大きさ
上 下
7 / 11

007 両親への告白

しおりを挟む
 
 アンジェラは、初めてアレックスとの事を両親に話して聞かせた。聞いた両親は、驚愕していた。全く気づいていなかったと謝罪までされる。
 だけど、両親が気づかなかったのもしょうがないこと。婚約期間は長かったが、両親とアレックスが対面するのはいつも公の場だったし短い時間だった。
 そんな短時間では、アレックスの本当の姿に気づく者なんていなかったから。普段は、完璧な王子を演じていたのだから。

 それよりも、両親がアンジェラの話を信じてくれたことの方が驚いた。

「お父様もお母様も、私が嘘を言っていると思わないの?」

 アンジェラが、不思議そうに訊ねた。

「驚きはしたが、嘘だと思う訳がないだろう。アンジェラが嘘を言って、得することなんてないだろう? 普通なら、王子と婚約解消して喜ぶ娘なんていないんだから」

 父親が、アンジェラに優しく語りかける。

「そうよ。アンジェラが嘘吐くなんて思えないわ。それよりも、そんなにこと気づかなくて本当にごめんなさい。長いこと辛い思いをさせて……」

 母親が、堪え切れずに涙を流している。

「いいえ。お母様。私も言わなかったのがいけないの。もう、何だか私も意地になってしまって……。こちらからの解消なんて不利なこと、言いたくなかったの。何が何でも、アレックス殿下から解消を言わせたくて……」

 アンジェラが、胸の内を告白する。

「全く。変な所で意地っ張りなんだな……。でも、アンジェラが頑張ったから王やエドワーズ公爵から謝罪された。婚約解消に伴う賠償は、それなりに支払うようだ。お金以外でも、何かあれば言いなさいと言われているが、アンジェラは何かあるか?」

 父親が、アンジェラに訊ねる。アンジェラは、もしも許されるならと考えていたことがあった。
 それを、両親に相談する。父親は、余りいい顔をしなかったが母親が説き伏せてくれた。「元はと言えば、貴方が変な婚約を持って来たのがいけないのよ!」と言われてしまえば、父親は何も言えなくなっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました

しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。 自分のことも誰のことも覚えていない。 王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。 聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。 なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

元婚約者に未練タラタラな旦那様、もういらないんだけど?

しゃーりん
恋愛
結婚して3年、今日も旦那様が離婚してほしいと言い、ロザリアは断る。 いつもそれで終わるのに、今日の旦那様は違いました。 どうやら元婚約者と再会したらしく、彼女と再婚したいらしいそうです。 そうなの?でもそれを義両親が認めてくれると思います? 旦那様が出て行ってくれるのであれば離婚しますよ?というお話です。

優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔

しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。 彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。 そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。 なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。 その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。

婚約者を交換しましょう!

しゃーりん
恋愛
公爵令息ランディの婚約者ローズはまだ14歳。 友人たちにローズの幼さを語って貶すところを聞いてしまった。 ならば婚約解消しましょう? 一緒に話を聞いていた姉と姉の婚約者、そして父の協力で婚約解消するお話です。

完結 この手からこぼれ落ちるもの   

ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。 長かった。。 君は、この家の第一夫人として 最高の女性だよ 全て君に任せるよ 僕は、ベリンダの事で忙しいからね? 全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ 僕が君に触れる事は無いけれど この家の跡継ぎは、心配要らないよ? 君の父上の姪であるベリンダが 産んでくれるから 心配しないでね そう、優しく微笑んだオリバー様 今まで優しかったのは?

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~

Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。 そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。 「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」 ※ご都合主義、ふんわり設定です ※小説家になろう様にも掲載しています

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

処理中です...