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003 成長するにつれて
しおりを挟む月日は流れて、学園に通う年齢となる。社交界デビューも果たし、自分の置かれている状況が理解できる年齢となっていた。
その頃には、自分の婚約者であるアレックスが明らかに異質な存在であると理解していた。状況も年々悪くなっていくばかり。それでも、アンジェラはそんな状況に耐えていた。
自分でも、何故耐えられるのかよくわからなくなっていた。それが日常で、それ以外の生き方が分からなくなっていたのかも知れない。
それだけ努力しているのだから、学園に入学したアンジェラは、誰よりも学力が高く礼儀やマナーも優れていて憧れの存在となっていた。
しかし、アレックスからしたらそれも面白くなかったようだ。アンジェラが入学してくるまでは自分が一番で、憧れの存在として君臨していていたのに。流石は、アレックス様の婚約者様ですねとアンジェラを賞賛する声を聞くようになる。
アレックスにとって、アンジェラは自分の添え物で自分よりも評価される存在であってはいけなかった。アンジェラは、ある日アレックスに呼び出される。
「お前は、俺よりも目立つような事をするな! 皆から褒められて調子に乗りやがって! もっと立場を弁えろ!」
アンジェラは、それを聞いて何かがプツンと切れてしまった。努力しても結局は駄目だった。誰よりも優れた女性になれと言ったのは、アレックスなのに……。
アレックスにとってみたら、何をしても気に食わないのだ。何をしても同じなら、もう止めようと思った。アレックスの機嫌を伺うのも、努力をするのも……。
それからは、アンジェラはアレックスに対して笑顔も返さず冷たく接するようになる。そうした所で、罵られるのはいつもと同じだったから。もっと早く気づけば良かったと思うほどに。
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