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第2章
第15話 ふたつなぎの大巨宝
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「やっと着いたァァァァ」
「まじで長かったな。流石に辛すぎる」
「アーシ、この街来たことあるんだよね。久しぶりだ」
「………………………………」
倒ッ! 俺は街の入り口に辿り着くや否や体を倒す。
「魔王の右腕が封印されている街—イトラ。まさか目標より3日も遅い10日もかかるなんてな」
アサは疲労を感じさせながら街の入り口にある特徴的な彫刻を見る。
「まぁどっからどう足掻いてもあのバカのせいね」
とサナは倒れている俺に躊躇なく座る。
「…………おい…………降りろ」
「あらごめんなさいイモムシかと思って座ってしまったわ」
イモムシだったら座るのかよ。
「しかしナリカズに荷物を持たせたのはミステイクだったな。いくらコイツが仕掛けた勝負といっても、それで歩くペースが著しく落ちたからな」
「…………そう思うなら代わってくれよ!」
俺は涙を浮かべながら、こちらを見て呆れているシーナに噛み付く。
「いやいや勝負は勝負だろ? アーシは弱者に声をかけない」
なんて野郎を仲間にしちまったんだ俺たちは。
「まぁアホカズは置いておいて兎にも角にも街にはついた。まずは疲労が溜まった体を癒そうぜ」
L分後
俺たちは街に入るとどこにも寄らずに真っ先に温泉に来た。
異世界なのになぜ温泉が? と思うかもしれないけど、こういうのはお得意だろ?
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ生き返るゥゥ」
俺は湯船に体を沈めて、俺とアサしかいない男湯に大きな声を響かせる。
10日ぶりのお風呂といえばそれがそれがどんなにすごいものか。風呂キャンセル界隈なんのそのだぞコラ。
「声はデカいのにあそこは小さいのな」
「黙れ三下。良い男とあそこの大きさは反比例なんだよ」
というかそんなに大きさ変わんねぇじゃねぇか。
そんなアホみたいな会話をしていた時であった。
『な、なんでアンタはそんなに大きいのよ!! 胸も! ヒップも!!』
口調と内容的に誰が言ってるのか一発でわかる声が聞こえた。
「…………サナがアホみてぇなこといってるな。向こうサイドは他の客いないのか?」
『な、なんでそんなにやらかい?! ま、まるで高級クッション?!!』
「…………こういうのに流されたら負けだぞナリカズ。男は常に冷静さ」
『なははははは! アーシのボディはどうだい? 魔王殺しとはアーシの躰だよ』
「おいアサ」
「なんだ」
「俺が言いたいことは」
「まぁ分かる。俺たちは親友だ」
「だよな。その言葉を聞けて俺は安心した」
「散る時も咲く時も俺たちは一緒だ」
俺とアサは湯船から上がり、忍者より静かに濡れた地面を駆け出す。
人は皆挑戦を躊躇う。
だが飛び立たなければ星は見えない。
ピタリと俺とアサは男湯と女湯が仕切られている壁に密着する。
よくある展開だ? 見飽きた展開だ? うるせぇ。これが俺たちの夢だ。
「(とは言ってもこの壁には隙間は特にないし、何より高さがあるぞ。どうやって乗り越えてのぞく?)」
「(その発想はないぜ。お前は新卒の会社で何を学んでこの世界に来た)」
「(いや……研修期間だったけど)」
「(……そうか。まぁいい。いいか? 壁は越えられない。それならば壁を破壊すれば良い)」
「ばっ! (バカかよお前。何言ってんだ)」
「(そもそもオレたちの目的はなんだ、ナリカズ。向こうにあるふたつなぎの大巨宝を拝むことだろ? その目的の手段の一つとしてあくまでのぞきだよ。目的と手段を取り違えるなよ)」
200人中200人がコイツ何言ってるんだとなるだろう。ただ俺は旅の疲労か、向こうのふたつなぎの大巨宝を見たいからか、なぜか納得してしまった。
「(そうだな。アサ、お前の言う通りだ。のぞきなんて手段でしかない。目的達成が最優先だ。ただどうやってこの壁を破壊する?)」
「(オレを誰だと思ってやがる。この世界の覇者黒髪だぞ)」
彼はそう言うと風呂場になぜか持ってきた刀を構える。
「…………いいかナリカズ。チャンスは一瞬しかねぇ。その一瞬でお前の眼に刻めよ」
抜ッ! 刀ッ!
全裸の刀が2本ある状態で彼は抜刀し、壁を斬る。
壊ッ!
壁が中心から崩れ落ち、巨大な音を立てながら男湯と女湯を繋ぐ。
俺は一瞬足りとも全てを逃さないように集中して、向こう側に広がる景色を見る。
極度の集中状態の俺の目に映ったのは。
「…………なっ?! 男?!」
筋肉質の体格、短い髪の毛、何より何もない胸元
「いや、違うこれは…………サnゲボgsbisbeiznkdobenwkdhbmwlowbnslso!!!!!!!!!!!!!!」
俺の顔面、腹部、あとあそこに強烈な拳が飛んできた。
「まじで長かったな。流石に辛すぎる」
「アーシ、この街来たことあるんだよね。久しぶりだ」
「………………………………」
倒ッ! 俺は街の入り口に辿り着くや否や体を倒す。
「魔王の右腕が封印されている街—イトラ。まさか目標より3日も遅い10日もかかるなんてな」
アサは疲労を感じさせながら街の入り口にある特徴的な彫刻を見る。
「まぁどっからどう足掻いてもあのバカのせいね」
とサナは倒れている俺に躊躇なく座る。
「…………おい…………降りろ」
「あらごめんなさいイモムシかと思って座ってしまったわ」
イモムシだったら座るのかよ。
「しかしナリカズに荷物を持たせたのはミステイクだったな。いくらコイツが仕掛けた勝負といっても、それで歩くペースが著しく落ちたからな」
「…………そう思うなら代わってくれよ!」
俺は涙を浮かべながら、こちらを見て呆れているシーナに噛み付く。
「いやいや勝負は勝負だろ? アーシは弱者に声をかけない」
なんて野郎を仲間にしちまったんだ俺たちは。
「まぁアホカズは置いておいて兎にも角にも街にはついた。まずは疲労が溜まった体を癒そうぜ」
L分後
俺たちは街に入るとどこにも寄らずに真っ先に温泉に来た。
異世界なのになぜ温泉が? と思うかもしれないけど、こういうのはお得意だろ?
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ生き返るゥゥ」
俺は湯船に体を沈めて、俺とアサしかいない男湯に大きな声を響かせる。
10日ぶりのお風呂といえばそれがそれがどんなにすごいものか。風呂キャンセル界隈なんのそのだぞコラ。
「声はデカいのにあそこは小さいのな」
「黙れ三下。良い男とあそこの大きさは反比例なんだよ」
というかそんなに大きさ変わんねぇじゃねぇか。
そんなアホみたいな会話をしていた時であった。
『な、なんでアンタはそんなに大きいのよ!! 胸も! ヒップも!!』
口調と内容的に誰が言ってるのか一発でわかる声が聞こえた。
「…………サナがアホみてぇなこといってるな。向こうサイドは他の客いないのか?」
『な、なんでそんなにやらかい?! ま、まるで高級クッション?!!』
「…………こういうのに流されたら負けだぞナリカズ。男は常に冷静さ」
『なははははは! アーシのボディはどうだい? 魔王殺しとはアーシの躰だよ』
「おいアサ」
「なんだ」
「俺が言いたいことは」
「まぁ分かる。俺たちは親友だ」
「だよな。その言葉を聞けて俺は安心した」
「散る時も咲く時も俺たちは一緒だ」
俺とアサは湯船から上がり、忍者より静かに濡れた地面を駆け出す。
人は皆挑戦を躊躇う。
だが飛び立たなければ星は見えない。
ピタリと俺とアサは男湯と女湯が仕切られている壁に密着する。
よくある展開だ? 見飽きた展開だ? うるせぇ。これが俺たちの夢だ。
「(とは言ってもこの壁には隙間は特にないし、何より高さがあるぞ。どうやって乗り越えてのぞく?)」
「(その発想はないぜ。お前は新卒の会社で何を学んでこの世界に来た)」
「(いや……研修期間だったけど)」
「(……そうか。まぁいい。いいか? 壁は越えられない。それならば壁を破壊すれば良い)」
「ばっ! (バカかよお前。何言ってんだ)」
「(そもそもオレたちの目的はなんだ、ナリカズ。向こうにあるふたつなぎの大巨宝を拝むことだろ? その目的の手段の一つとしてあくまでのぞきだよ。目的と手段を取り違えるなよ)」
200人中200人がコイツ何言ってるんだとなるだろう。ただ俺は旅の疲労か、向こうのふたつなぎの大巨宝を見たいからか、なぜか納得してしまった。
「(そうだな。アサ、お前の言う通りだ。のぞきなんて手段でしかない。目的達成が最優先だ。ただどうやってこの壁を破壊する?)」
「(オレを誰だと思ってやがる。この世界の覇者黒髪だぞ)」
彼はそう言うと風呂場になぜか持ってきた刀を構える。
「…………いいかナリカズ。チャンスは一瞬しかねぇ。その一瞬でお前の眼に刻めよ」
抜ッ! 刀ッ!
全裸の刀が2本ある状態で彼は抜刀し、壁を斬る。
壊ッ!
壁が中心から崩れ落ち、巨大な音を立てながら男湯と女湯を繋ぐ。
俺は一瞬足りとも全てを逃さないように集中して、向こう側に広がる景色を見る。
極度の集中状態の俺の目に映ったのは。
「…………なっ?! 男?!」
筋肉質の体格、短い髪の毛、何より何もない胸元
「いや、違うこれは…………サnゲボgsbisbeiznkdobenwkdhbmwlowbnslso!!!!!!!!!!!!!!」
俺の顔面、腹部、あとあそこに強烈な拳が飛んできた。
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