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第1章
第6話 無能力者と泥酔チーター
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さて目の前には森の覇者ウェポンタイガー。
こちらは無能力者と泥酔チーターの2人。
距離10メートル未満。
先に仕掛けてきたのは5メートル越えの怪物だった。
咆ッッ!! 巨大な口から耳がちぎれそうな高音を叫ぶと、頭上の砲台をこちらに向けて放つ。
勢いよく放たれたエネルギー砲に対して、俺は頭を下げる暇もなかった。
やべぇ…………
斬ッッ!!!!!
俺が涙を浮かべた刹那、目の前の黒髪転生者は目にも止まらぬ速さで抜刀すると、個体ではないはずのエネルギー砲を斬った。
「…………お酒のツマミにもならないわね」
こ、こいつ。カッコいい?!!
「討伐モンスターが目の前に出てきたのはびっくりだけど僥倖ね。ここで討伐してさっさと帰りましょう!」
刀を構え直したサナは一歩、ウェポンタイガーへ近いた。と思ったら膝から崩れ落ちた。
「なっ? お、おい大丈夫かサナ!」
俺が声を上げて彼女に近づくと、サナの額には汗があり、彼女は口元を押さえてこちらを涙目で見てきた。
「うっ……るい」
「は? 大丈夫k」
「気持ち悪い…………今にも吐きそう…………」
「………………………………」
「の、飲み過ぎた。それなのに急な運動をしたから……吐き……そう」
「サナ……お前って粗大ゴミだっけ?」
本気で呆れた。というかこの落とし方しか知らないのかこの作者は。
忘れてはならないのは現在が戦場であり、目の前には再び攻撃体制に入っているモンスターがいることだ。
ちくしょう! 実際問題このアルコール野郎が起きないと対応できねぇ。
もしくは瀕死の攻撃を受ければ、俺の真の能力が呼び覚まされる展開とか? いやそれはねぇな。主人公にすげぇパワーあげない方針のはずだ。
俺が1人でうじうじしてる間にもウェポンタイガーの砲台はこちらをロックオンし、発射砲にはエネルギーが貯められていた。
万事休すか……?
エネルギー砲が放たれるその一瞬前。
斬ッッ!! とウェポンタイガーの体に垂直の線が走った。
赤い血飛沫を上げながらウェポンタイガーは半分に分かれた。
「…………なっ、なんだ」
俺が驚嘆の声を上げると、血の奥側つまり俺の真正面から男が1人現れた。
「…………ったく黒髪2人もいて何この怪物に苦戦してんだよアホか」
右手に刀を持ち青色の袴を着たその男はゆっくりと俺たちに近づく。
男は一振り刀についた血を飛ばすと、俺と今にも吐きそうなサナの目の前に立つ。
「…………黒髪だと……」
目の前の男に俺は思わずそう呟いた。
「別に珍しいもんじゃねぇだろ。それよかそこで倒れてるのは魔王討伐にも参加したと噂の酒カスじゃねぇか。コイツまだ飲み癖治っていないのかよ」
「知り合いなのか? サナと」
「いや面識はない。ただコイツは冒険者界隈じゃ有名人だよ…………。しかしコイツ何カッコつけてまだ刀なんて使ってんだ」
「? それはどういう意味だ。確かサナは超パワーをもらったと言っていたから刀がメインじゃないかもしれないけど」
目の前の男は血を払った刀を自分の鞘に入れながら話す。
「…………この女はな、全く刀が使えねぇんだ。それなのに刀を振り続けている。そこがバカすぎて有名なのさ」
「はい?」
「コイツの剣術はそこら辺の子供以下だよ。刀じゃ雑魚モンスター1匹も狩ることはできやしねぇ」
そうなの? と俺は目の前で酔い潰れている黒髪短髪を見ると、彼女の髪の隙間から見える耳が真っ赤になっていた。
「…………なぁサナ。お前、剣術のセンス子供に負けるほどないの……?」
俺が笑いを堪えながら彼女に問いかけると、
「うっさいわね! 何? 剣を振れるのがそんなに偉いの? それで歌にでも刻まれるの? 賞でも作れるの? あーもこれだから男って性別hゲボボボボボボボ」
立ち上がり声を荒げた彼女の威勢とは反対に、情けない音とともにモザイクが虹を描いた。
そんな悲しいモンスターをよそに俺は尋ねる。
「それでアンタは誰だ」
こちらは無能力者と泥酔チーターの2人。
距離10メートル未満。
先に仕掛けてきたのは5メートル越えの怪物だった。
咆ッッ!! 巨大な口から耳がちぎれそうな高音を叫ぶと、頭上の砲台をこちらに向けて放つ。
勢いよく放たれたエネルギー砲に対して、俺は頭を下げる暇もなかった。
やべぇ…………
斬ッッ!!!!!
俺が涙を浮かべた刹那、目の前の黒髪転生者は目にも止まらぬ速さで抜刀すると、個体ではないはずのエネルギー砲を斬った。
「…………お酒のツマミにもならないわね」
こ、こいつ。カッコいい?!!
「討伐モンスターが目の前に出てきたのはびっくりだけど僥倖ね。ここで討伐してさっさと帰りましょう!」
刀を構え直したサナは一歩、ウェポンタイガーへ近いた。と思ったら膝から崩れ落ちた。
「なっ? お、おい大丈夫かサナ!」
俺が声を上げて彼女に近づくと、サナの額には汗があり、彼女は口元を押さえてこちらを涙目で見てきた。
「うっ……るい」
「は? 大丈夫k」
「気持ち悪い…………今にも吐きそう…………」
「………………………………」
「の、飲み過ぎた。それなのに急な運動をしたから……吐き……そう」
「サナ……お前って粗大ゴミだっけ?」
本気で呆れた。というかこの落とし方しか知らないのかこの作者は。
忘れてはならないのは現在が戦場であり、目の前には再び攻撃体制に入っているモンスターがいることだ。
ちくしょう! 実際問題このアルコール野郎が起きないと対応できねぇ。
もしくは瀕死の攻撃を受ければ、俺の真の能力が呼び覚まされる展開とか? いやそれはねぇな。主人公にすげぇパワーあげない方針のはずだ。
俺が1人でうじうじしてる間にもウェポンタイガーの砲台はこちらをロックオンし、発射砲にはエネルギーが貯められていた。
万事休すか……?
エネルギー砲が放たれるその一瞬前。
斬ッッ!! とウェポンタイガーの体に垂直の線が走った。
赤い血飛沫を上げながらウェポンタイガーは半分に分かれた。
「…………なっ、なんだ」
俺が驚嘆の声を上げると、血の奥側つまり俺の真正面から男が1人現れた。
「…………ったく黒髪2人もいて何この怪物に苦戦してんだよアホか」
右手に刀を持ち青色の袴を着たその男はゆっくりと俺たちに近づく。
男は一振り刀についた血を飛ばすと、俺と今にも吐きそうなサナの目の前に立つ。
「…………黒髪だと……」
目の前の男に俺は思わずそう呟いた。
「別に珍しいもんじゃねぇだろ。それよかそこで倒れてるのは魔王討伐にも参加したと噂の酒カスじゃねぇか。コイツまだ飲み癖治っていないのかよ」
「知り合いなのか? サナと」
「いや面識はない。ただコイツは冒険者界隈じゃ有名人だよ…………。しかしコイツ何カッコつけてまだ刀なんて使ってんだ」
「? それはどういう意味だ。確かサナは超パワーをもらったと言っていたから刀がメインじゃないかもしれないけど」
目の前の男は血を払った刀を自分の鞘に入れながら話す。
「…………この女はな、全く刀が使えねぇんだ。それなのに刀を振り続けている。そこがバカすぎて有名なのさ」
「はい?」
「コイツの剣術はそこら辺の子供以下だよ。刀じゃ雑魚モンスター1匹も狩ることはできやしねぇ」
そうなの? と俺は目の前で酔い潰れている黒髪短髪を見ると、彼女の髪の隙間から見える耳が真っ赤になっていた。
「…………なぁサナ。お前、剣術のセンス子供に負けるほどないの……?」
俺が笑いを堪えながら彼女に問いかけると、
「うっさいわね! 何? 剣を振れるのがそんなに偉いの? それで歌にでも刻まれるの? 賞でも作れるの? あーもこれだから男って性別hゲボボボボボボボ」
立ち上がり声を荒げた彼女の威勢とは反対に、情けない音とともにモザイクが虹を描いた。
そんな悲しいモンスターをよそに俺は尋ねる。
「それでアンタは誰だ」
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