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十章
76話 ハリハリネズミ
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次の日
昨日マサトとかいう同キャラが力をギルド中の人々に向けて披露した。
その力があまりにも凄かったらしく、実戦ではどこまで通用するのかという話になり、俺たちが試験的についていくことになった。らしい。
らしいというのは俺はその現象を見てないからだ。何せ昨日は、異世界に来て以来最大レベルの心の削られをしたからだ。いや訂正しよう。18年生きてきた中での最大レベルだ。
っていうか、あれは酷すぎるだろ!!! メンタル崩壊させに来てるって次元超えてるぞ!!
そんな感じでライトから少し歩いたところにある森に来ていた。
「いやー、オレ、久しぶりにクエストに参加できてる!!! 嬉しいぜ!!!」
首につけられていたロープからは解放された同キャラが、嬉しそうに飛び回っている。
「騒ぐなよ新人。こっちが恥ずかしくなるぜ」
2号が先輩ぶりながら言葉を放つ。
「お前は何様だよ2号」
「あ? いいだろ俺も先輩ぶってみたいんだよ」
「先輩ぶりたいってぷぷ、お前みたいな変態が先輩とか最悪だな」
「なんだと?! てかお前の方が変態じゃねぇか」
「はぁ? 前回も説明したが、俺は変態じゃねぇ!!!」
「いいや!! お前は変態だね!!」
「ショーコはあんのか? ショーコは!!!!!」
「ショーコはあるぜ!! むしろショーコしかないね!!」
「ほぉ? どんなもんだ言ってみやがれ」
「…………女性と話す時、かならず目線は胸に行ってるところ」
「ヴッ」
「…………女性と関わる時、なるべく体が当たるようにするところ」
「ヴッヴッ」
「他にもあるぜ。エナの風呂を聞き耳立てるところ」
ピキ。と音が。
「エナの胸の成長過程を楽しんでいるところ」
ピキピキ。
「エナの洗濯物を率先して片付けるところ」
ピキピキピキ。
「エナの」「エナの」「エナの」「エナの」
俺の性癖が2号によってどんどんと暴露され始めた。
「や、やめてくぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!! 2日連チャンで心を壊しに来るな!!! 何で貴様は俺の性癖そこまで知ってんだよ!!!!!!!!」
「てへ」
「てへじゃねぇ!!!!!」
可愛子ぶる2号にブチ切れていると、前を歩いていた例の人物が振り返ってきた。もちろんその顔には、ピキが何十と。
「へへへ、ねぇタオイチ?」
「ごくり」
唾を飲み込む音が露骨に出た。背中からは濁流のように汗が流れる。
「刀変態の言ったことは…………ホント?」
「………………………………………………………………………………………………………………………………はい」
「…………そう。それは残念ね」
彼女は呟き、手のひらを俺に向けてきた。
直後。
神々しい光がエナから放たれた。何度か見たことがある、エンハンス5だ。
そして。
無ッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
光が俺に放たれた。
草が生茂るフィールドで目の前に見えるのは、全長5メートルほどくらいの巨大なハリネズミである。
しかしそれがネズミであるかどうかは、凝視しないと理解なんてできなかった。なぜなら、その針の長さが全体のほとんどを占めているからだ。
「バランス悪いなぁ、あのネズミ」
「どの口が言ってんだ」
同キャラが俺にツッコミを入れてくる。
「あ?」
「だって1号さんあんたよぉ。顔…………3分の1くらいちっちゃくなってるぞ」
「……………………あらま」
「あらまじゃねぇぞ!!!! くそぺんたこが!!!!!!!!」
突っ込んできたエナにツッコミを入れ返し、俺は空気を吸い込む。すると縮んでいた顔が一瞬にしていつもの通りの顔に戻った。
そんなことをしていると、新品の黒ローブをなびかせるネネがモンスター名を呟く。
「あー、あれはハリハリネズミですね」
「「は」」
俺と同キャラは一斉にネネを見る。
「ハリが特徴的なんで、ハリハリネズミですよ。わりかし有名なモンスターで、確か市場価値が高かったような…………どうしたんです?」
「いや」
「なんでもない」
やっぱりこの世界のモンスター名はおかしい。しょーがくせーでももっとかっこいい名前つけるぞ作者!!
「…………まぁいいや。このモンスター相手にオレの力を見せてやるよ」
パンイチの同キャラ変態がそんな言葉を呟いた瞬間。
走ッッ!!!!!!
刀。杖。拳。それぞれの武器を持った野郎どもが勢いよく走り出した。
「ちょ、あれ? オレの実力を見るクエストじゃ…………」
いきなり走り出した3人にビックリする同キャラへ、俺は声をかける。
「諦めろ同キャラ。市場価値が高い時点で、お前の出番はない」
「え? そりゃお金になるから必死漕ぐのは分かるけど…………あくまでオレのためのクエスt」
「俺たちは貧乏だ」
「……………………………………………………は」
「大貧乏だ。だからな。金のためなら…………金と比べれば…………お前なんて…………うん◯と同レベルだ」
「すごいことを言うな」
「今の彼彼女らは、野生本能そのもので行動している。たとえ、お前のクエストであっても、それは構わない精神だ」
「……………………そんな奴らと生活しているお前も大変だな」
「……………………………………………………」
だけどさ。と同キャラは言葉を追加する。その目線はハリハリネズミに突っ込んでいっているエナたちに向いていた。
「あのハリ地獄に近接戦挑むのは…………どうかと思うが」
ネネはジャカール、2号は刀を、エナは素手で、4メートルほどあるハリに向かって攻撃を繰り出そうとしていた。
「あー、うん。アイツら、脳筋だからさ。遠距離から攻撃しようなんて…………考えてねぇんだわ」
俺が説明したと同時に、2人と1匹の攻撃が炸裂した。
だが。
叫ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
「「いっっっっっっっっっっっっっだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
鋭く刺々しいハリに触れたことで全員が痛みによる声を上げた。ちなみに刀を使っている2号は、振り下ろした時の肩にそのハリを喰らったようだ。
痛みに耐えながら彼女らが後退した時、
「チューーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
と叫ぶハリハリネズミから、その4メートルにもわたるハリが四方八方へとガトリングのように繰り出された。
チッと舌打ちをした2号は、
「如月 鎧 五の重」
ヤバイと声を漏らしたネネは、
「アルマジーロ!!!!」
あーも!! と声を上げるエナは、
「エンハンス3」
といいその拳から空拳を繰り出した。
三者三様の対策で、そのハリガトリングから逃げ延びる。
やっぱアイツらすげぇな。俺もせめて無職じゃなければ、活躍できたのに…………。
と、その時。四方八方に繰り出されたハリが俺と同キャラに向かって弾丸の如く飛来した。
「あ」
ヤッベぇ。これ避けれねぇ。え? ネズミに殺されるの俺?
「融合」
俺が死を感じていた時。隣で両手を合わせる同キャラがそんなことを呟いた。
その手からは雷ッッ!! 風ッッ!! と雷風が生み出されていた。
「なっ」
そして彼は一直線に飛んでくるそのハリ向けて、雷を帯びる風を穿つ。
激ッッ!!!! 雷風が暴れ回り、拡散されていたハリが雷に打たれ、その場に焦げ落ちる。
「お、お前…………ホントにチーターなんだな」
「…………あんたが何もないだけだろ」
俺がその冷たい言葉になんて答えようと困っていると、ハリを打ち落とした同キャラは自信満々にこう言う。
「あとは…………オレがやる」
彼は近くの木に刺さった無傷のハリを左手に取ると、右手に紫色の物質を出現させた。一目でそれが毒であることが分かった。
「融合」
4メートルもあるハリに彼はその毒を融合させる。光が出現して、毒々しい紫色のハリへと変化する。
「よし! こんなもんか」
そう言うと、ハリハリネズミの方向へと彼は走り出し、その勢いでハリを投げた。
「ッォワ!!!!!!!!」
槍投げの要領で投下されたそのハリは、ハリガトリングを耐え切ったパーティメンバーの横を通り抜けて、ハリハリネズミへと。
打ッッ!!!!!!
ハリに覆われているそのネズミの、唯一守られていない頭にその毒がぶつかった。
そしてそのモンスターは音もなくその場に倒れ込む。
「よっしゃ!!!!」
俺が喜びを口に出した刹那。
「伏せて!!!!!」
ネネが大声を上げた。
疑問に思いつつも、体を地面に伏せる。それと同時に、
乱ッッ!!!!!!!
倒れたはずのネズミから、その体を覆う全てのハリが四方八方乱発された。
「ッッ????!!!!!!」
これは後で聞いた話だが、ハリハリネズミは倒されると、そのハリを全て放つらしい。
なんて迷惑なモンスターだ!! と言ったところだが、高さ1メートル以下には飛ばないらしいので、倒れててさえいれば問題ないらしい。
なんやかんやで、そのハリをやり過ごしていると、
「キャャャャャッッ!!!!!!!」
甲高い女性の声が草原に響いた。
ウチのアホどもは、そんな悲鳴は出さねぇ。誰だ?! と思い、顔を後ろに向ける。
「なっ!! シャンデル!!!!!」
同キャラが叫んだ。
「知り合いか? 誰だアイツ」
「シャンデル。オレが前にいたパーティのメンバーで仲良かった奴だ!! クソ、なんでこんなところに!!」
同キャラが早口で言うと、そのシャンデルに向かってハリが向かっていた。
「ヤッベ」
俺が不安の声を出した直後。
蹴ッッ!!!!! 同キャラが嵐のように動くハリなどお構いなしに、シャンデル向かって走り出していた。
「ば、バカやろ」
シャンデルにそのハリが当たる寸前。貫ッッ!!!! 鈍い音がし、肩から真っ赤な血を流しつつハリからシャンデルを守るマサトがいた。
T分後
「——ってわけで、オレはこれからシャンデルと2人で旅するよ!!」
なははは! と肩に大きな包帯を巻いて笑う同キャラ。その横では、紫長髪の美女シャンデルがいる。
聞けば、シャンデルはパーティ外されて放浪する同キャラのことが気になって、そのパーティを抜けてきたらしい。なんとも心感動する話だ。
「まぁ私らとしても、アンタみたいな変態は増やしたくないけどね」
エナが呆れつつそんなことを言う。
「まぁ少しの間だけど、楽しかったぜ!!」
満面の笑顔でお別れの挨拶をしてくる同キャラ。
彼は最後に俺に向かって、
「頑張れよ!!!」
などと言ってきた。
余計なお世話だゴミ野郎。
昨日マサトとかいう同キャラが力をギルド中の人々に向けて披露した。
その力があまりにも凄かったらしく、実戦ではどこまで通用するのかという話になり、俺たちが試験的についていくことになった。らしい。
らしいというのは俺はその現象を見てないからだ。何せ昨日は、異世界に来て以来最大レベルの心の削られをしたからだ。いや訂正しよう。18年生きてきた中での最大レベルだ。
っていうか、あれは酷すぎるだろ!!! メンタル崩壊させに来てるって次元超えてるぞ!!
そんな感じでライトから少し歩いたところにある森に来ていた。
「いやー、オレ、久しぶりにクエストに参加できてる!!! 嬉しいぜ!!!」
首につけられていたロープからは解放された同キャラが、嬉しそうに飛び回っている。
「騒ぐなよ新人。こっちが恥ずかしくなるぜ」
2号が先輩ぶりながら言葉を放つ。
「お前は何様だよ2号」
「あ? いいだろ俺も先輩ぶってみたいんだよ」
「先輩ぶりたいってぷぷ、お前みたいな変態が先輩とか最悪だな」
「なんだと?! てかお前の方が変態じゃねぇか」
「はぁ? 前回も説明したが、俺は変態じゃねぇ!!!」
「いいや!! お前は変態だね!!」
「ショーコはあんのか? ショーコは!!!!!」
「ショーコはあるぜ!! むしろショーコしかないね!!」
「ほぉ? どんなもんだ言ってみやがれ」
「…………女性と話す時、かならず目線は胸に行ってるところ」
「ヴッ」
「…………女性と関わる時、なるべく体が当たるようにするところ」
「ヴッヴッ」
「他にもあるぜ。エナの風呂を聞き耳立てるところ」
ピキ。と音が。
「エナの胸の成長過程を楽しんでいるところ」
ピキピキ。
「エナの洗濯物を率先して片付けるところ」
ピキピキピキ。
「エナの」「エナの」「エナの」「エナの」
俺の性癖が2号によってどんどんと暴露され始めた。
「や、やめてくぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!! 2日連チャンで心を壊しに来るな!!! 何で貴様は俺の性癖そこまで知ってんだよ!!!!!!!!」
「てへ」
「てへじゃねぇ!!!!!」
可愛子ぶる2号にブチ切れていると、前を歩いていた例の人物が振り返ってきた。もちろんその顔には、ピキが何十と。
「へへへ、ねぇタオイチ?」
「ごくり」
唾を飲み込む音が露骨に出た。背中からは濁流のように汗が流れる。
「刀変態の言ったことは…………ホント?」
「………………………………………………………………………………………………………………………………はい」
「…………そう。それは残念ね」
彼女は呟き、手のひらを俺に向けてきた。
直後。
神々しい光がエナから放たれた。何度か見たことがある、エンハンス5だ。
そして。
無ッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
光が俺に放たれた。
草が生茂るフィールドで目の前に見えるのは、全長5メートルほどくらいの巨大なハリネズミである。
しかしそれがネズミであるかどうかは、凝視しないと理解なんてできなかった。なぜなら、その針の長さが全体のほとんどを占めているからだ。
「バランス悪いなぁ、あのネズミ」
「どの口が言ってんだ」
同キャラが俺にツッコミを入れてくる。
「あ?」
「だって1号さんあんたよぉ。顔…………3分の1くらいちっちゃくなってるぞ」
「……………………あらま」
「あらまじゃねぇぞ!!!! くそぺんたこが!!!!!!!!」
突っ込んできたエナにツッコミを入れ返し、俺は空気を吸い込む。すると縮んでいた顔が一瞬にしていつもの通りの顔に戻った。
そんなことをしていると、新品の黒ローブをなびかせるネネがモンスター名を呟く。
「あー、あれはハリハリネズミですね」
「「は」」
俺と同キャラは一斉にネネを見る。
「ハリが特徴的なんで、ハリハリネズミですよ。わりかし有名なモンスターで、確か市場価値が高かったような…………どうしたんです?」
「いや」
「なんでもない」
やっぱりこの世界のモンスター名はおかしい。しょーがくせーでももっとかっこいい名前つけるぞ作者!!
「…………まぁいいや。このモンスター相手にオレの力を見せてやるよ」
パンイチの同キャラ変態がそんな言葉を呟いた瞬間。
走ッッ!!!!!!
刀。杖。拳。それぞれの武器を持った野郎どもが勢いよく走り出した。
「ちょ、あれ? オレの実力を見るクエストじゃ…………」
いきなり走り出した3人にビックリする同キャラへ、俺は声をかける。
「諦めろ同キャラ。市場価値が高い時点で、お前の出番はない」
「え? そりゃお金になるから必死漕ぐのは分かるけど…………あくまでオレのためのクエスt」
「俺たちは貧乏だ」
「……………………………………………………は」
「大貧乏だ。だからな。金のためなら…………金と比べれば…………お前なんて…………うん◯と同レベルだ」
「すごいことを言うな」
「今の彼彼女らは、野生本能そのもので行動している。たとえ、お前のクエストであっても、それは構わない精神だ」
「……………………そんな奴らと生活しているお前も大変だな」
「……………………………………………………」
だけどさ。と同キャラは言葉を追加する。その目線はハリハリネズミに突っ込んでいっているエナたちに向いていた。
「あのハリ地獄に近接戦挑むのは…………どうかと思うが」
ネネはジャカール、2号は刀を、エナは素手で、4メートルほどあるハリに向かって攻撃を繰り出そうとしていた。
「あー、うん。アイツら、脳筋だからさ。遠距離から攻撃しようなんて…………考えてねぇんだわ」
俺が説明したと同時に、2人と1匹の攻撃が炸裂した。
だが。
叫ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
「「いっっっっっっっっっっっっっだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
鋭く刺々しいハリに触れたことで全員が痛みによる声を上げた。ちなみに刀を使っている2号は、振り下ろした時の肩にそのハリを喰らったようだ。
痛みに耐えながら彼女らが後退した時、
「チューーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
と叫ぶハリハリネズミから、その4メートルにもわたるハリが四方八方へとガトリングのように繰り出された。
チッと舌打ちをした2号は、
「如月 鎧 五の重」
ヤバイと声を漏らしたネネは、
「アルマジーロ!!!!」
あーも!! と声を上げるエナは、
「エンハンス3」
といいその拳から空拳を繰り出した。
三者三様の対策で、そのハリガトリングから逃げ延びる。
やっぱアイツらすげぇな。俺もせめて無職じゃなければ、活躍できたのに…………。
と、その時。四方八方に繰り出されたハリが俺と同キャラに向かって弾丸の如く飛来した。
「あ」
ヤッベぇ。これ避けれねぇ。え? ネズミに殺されるの俺?
「融合」
俺が死を感じていた時。隣で両手を合わせる同キャラがそんなことを呟いた。
その手からは雷ッッ!! 風ッッ!! と雷風が生み出されていた。
「なっ」
そして彼は一直線に飛んでくるそのハリ向けて、雷を帯びる風を穿つ。
激ッッ!!!! 雷風が暴れ回り、拡散されていたハリが雷に打たれ、その場に焦げ落ちる。
「お、お前…………ホントにチーターなんだな」
「…………あんたが何もないだけだろ」
俺がその冷たい言葉になんて答えようと困っていると、ハリを打ち落とした同キャラは自信満々にこう言う。
「あとは…………オレがやる」
彼は近くの木に刺さった無傷のハリを左手に取ると、右手に紫色の物質を出現させた。一目でそれが毒であることが分かった。
「融合」
4メートルもあるハリに彼はその毒を融合させる。光が出現して、毒々しい紫色のハリへと変化する。
「よし! こんなもんか」
そう言うと、ハリハリネズミの方向へと彼は走り出し、その勢いでハリを投げた。
「ッォワ!!!!!!!!」
槍投げの要領で投下されたそのハリは、ハリガトリングを耐え切ったパーティメンバーの横を通り抜けて、ハリハリネズミへと。
打ッッ!!!!!!
ハリに覆われているそのネズミの、唯一守られていない頭にその毒がぶつかった。
そしてそのモンスターは音もなくその場に倒れ込む。
「よっしゃ!!!!」
俺が喜びを口に出した刹那。
「伏せて!!!!!」
ネネが大声を上げた。
疑問に思いつつも、体を地面に伏せる。それと同時に、
乱ッッ!!!!!!!
倒れたはずのネズミから、その体を覆う全てのハリが四方八方乱発された。
「ッッ????!!!!!!」
これは後で聞いた話だが、ハリハリネズミは倒されると、そのハリを全て放つらしい。
なんて迷惑なモンスターだ!! と言ったところだが、高さ1メートル以下には飛ばないらしいので、倒れててさえいれば問題ないらしい。
なんやかんやで、そのハリをやり過ごしていると、
「キャャャャャッッ!!!!!!!」
甲高い女性の声が草原に響いた。
ウチのアホどもは、そんな悲鳴は出さねぇ。誰だ?! と思い、顔を後ろに向ける。
「なっ!! シャンデル!!!!!」
同キャラが叫んだ。
「知り合いか? 誰だアイツ」
「シャンデル。オレが前にいたパーティのメンバーで仲良かった奴だ!! クソ、なんでこんなところに!!」
同キャラが早口で言うと、そのシャンデルに向かってハリが向かっていた。
「ヤッベ」
俺が不安の声を出した直後。
蹴ッッ!!!!! 同キャラが嵐のように動くハリなどお構いなしに、シャンデル向かって走り出していた。
「ば、バカやろ」
シャンデルにそのハリが当たる寸前。貫ッッ!!!! 鈍い音がし、肩から真っ赤な血を流しつつハリからシャンデルを守るマサトがいた。
T分後
「——ってわけで、オレはこれからシャンデルと2人で旅するよ!!」
なははは! と肩に大きな包帯を巻いて笑う同キャラ。その横では、紫長髪の美女シャンデルがいる。
聞けば、シャンデルはパーティ外されて放浪する同キャラのことが気になって、そのパーティを抜けてきたらしい。なんとも心感動する話だ。
「まぁ私らとしても、アンタみたいな変態は増やしたくないけどね」
エナが呆れつつそんなことを言う。
「まぁ少しの間だけど、楽しかったぜ!!」
満面の笑顔でお別れの挨拶をしてくる同キャラ。
彼は最後に俺に向かって、
「頑張れよ!!!」
などと言ってきた。
余計なお世話だゴミ野郎。
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