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六章
45話 決着
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「おっ! 見ろよ1号!! おでこにトレー乗せて10秒耐えたぞ!!」
「やるな!! 2号!! 次俺に挑戦させてくれ!」
両手を広げ細かい足踏み。そのおでこに木製の円形トレーを立たせて、落下しないようにバランスを取るメイド服。それを見て盛り上げているチャイナドレス。
その2人の変態の姿が、必死に戦闘をしている私の目の中に入った。
「へへへ、あ、ちょま、クソ!」
トレーが地面落下して、悔しがるメイド服を着た男。そのトレーをすぐに拾い、自分のおでこにセッティングするチャイナドレスを着た男。
その光景は、流石に性格が『女神』と言われる私でも耐えるに耐えれないものであった。
「まずは」
全身を包む紫の電撃と真っ赤なオーラが変化した。赤い電撃を放ち、黒赤いオーラが私を包んだ。
エンハンス4。
身体能力の100倍を出せる、エンハンスの4段回目だ。
「アンタらを」
拳を空中へ繰り出す。その方向、変態2人に向かって。
「ブチコロス!!!」
赤い電撃が一直線に彼らへと向かった。
「「へ??」」
2人の間をその電撃が抜け、奥にあった10メートルはある巨大な黒岩を一瞬で灰にした。
「「ガタガタガタギシギシhdbsjznsskaosnxso」」
その2人は恐怖に包まれたのか、歯をガタガタ鳴らし、言葉にない言葉を吐いてその場に膝から崩れ落ちた。
「え、エナさん?? こ、こ……これは?」
驚愕の声を上げるネネをよそに、私は死霊を見据える。
「なっ……すごい力ですね。流石に驚きましたよ。ですが……これでやっと土俵に立ったと言ったところですかね」
若干驚きを隠しきれてない死霊に向かって私は、
「まぁ、土俵に立った云々は今から証明してあげるわ!!」
一瞬でその死霊の前へと移動した。
チャイナドレス視点
なぁ、頼むからその言い方はやめてくれ。
エンハンス4に進化したエナは、その100倍の力を生かして死霊と戦闘を続けていた。放たれる気弾を全て空拳で封殺し、そのまま赤い雷を纏う蹴りを飛ばす。その度に爆発が起きる。
……これがエンハンス4と幹部級の戦闘か……。前回は◯×ゲームやってたからよく見てなかったんだよなぁ。
俺の隣に立つ2号がボソリと呟く。
「しかし感謝してもらいたいね。あの貧乳がエンハンス4になれたのは、俺たちのおかげだr」
電ッッ!! 戦闘中の方向から飛ばされた赤電撃が、2号の頭にあるカチューシャを吹き飛ばした。
「ギャァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 助けてくれ! 1号ざぁん!!!」
カチューシャが燃え、慌てる2号を横目に俺は驚く。
「エナの野郎、聴力まで上昇してるのかよ……戦闘中なのに、このアホの相手をするなんて余裕だな」
「流石はエナさんといったところですね」
いつの間にか、召喚獣を連れて俺たちのところまで後退してきたネネがそう言う。
当人のエナは爆発を生み出しながら、真剣な眼差しで死霊と対面していた。
俺はエンハンスを行使するエナを見ながら、あることを思い出す。
それは俺がまだこの世界に来て間もない時のことだ。
ある時、エンハンスを使ってモンスターを刈り取るエナに質問をした。
『なぁエナ』
『何よパンイチ、私は今エンハンス使って疲れてるのよ。セクハラ発言は後でにしてくれる?』
『……なんで俺がお前に好意を抱いている前提なんだよ。そんなことよりエンハンスって自身の身体能力を何倍にもする技だろ?』
『今疲れてる発言忘れちゃったのかな? まぁそれくらいは答えてあげる。そうよ、エンハンスは1で5倍、2で10倍、3で50倍、4で100倍、5で200倍よ』
『エンハンス5だとそこまで行くのか……。なぁエナ、これは興味の話だが、俺もエンハンスを使えば、身体能力をそこまで上げれるか?』
『アンタはホッントにバカね。0に何をかけても0じゃない』
俺はエナから貰ったその刺々しい言葉のせいで、そこから3日間は夜しか眠れなかった。
などと回想をしていると、エナのはぁはぁいう声が聞こえた。
「はぁはぁ、流石にエンハンス4を使ってると体力が……キツイわ」
その言葉に呼応するのは美人死霊。
「ふーふー、私も大変疲れましたわ。貴方のその脳筋ぷりには流石に私の対応力も限界が……」
「だ、誰が脳筋よ……」
エンハンス4での疲労が蓄積されているようで、エナのスピードが一気に落ちた。その一方で美人死霊もエナへの対応でへばっているようで、そちらのスピードも落ちた。
このままじゃジリ貧だな。何か決定打になることがないと……。
俺がそう思った時、ある方向からある声が聞こえた。
「うっほぉほーい、まーなーむすめーー!!!!」
ドタドタとこっちに跳ねるように走りながら、全裸のエナ父が来た。(なおモザイク加工済み)
「「「「「は」」」」」
その場にいる誰もがこの状況に混乱した。
「な、何……やって……るのよ……パパ」
「愛娘が心配になったから、パパ来ちゃった(てへ)」
エナの雰囲気が変わった。
「途中で悪戯かけられて服なくなっちゃったけど、そのまま来たぞぃ!!」
「…………………………………………」
エナを包んでいた黒赤いオーラが消えた。
そして。
神ッッ!! 神秘的な赤いオーラが彼女を包み込んだ。そこからは虹色の電撃が走っていた。
「ッッ??!! こ、このオーラは……」
美女幹部級死霊がそう呟く。
神秘感溢れるエナは地面に向かって、拳を振り下ろした。
刹那。
浄ッッッッ!!!!!!!
神秘的な光が俺たちを含む辺り一体に放たれた。
次の日
「もう帰っちゃうの? エナ」
最初に会った時の、胸をなんとか隠すくらいのパンイチ格好であるエレナが、いつもの冒険着に戻ったエナの手を取りそう言う。
「まぁね。元々ヒャロウイィーンのために帰省したから、長居する気はないわ」
「そうなのね、残念だわ」
微笑ましい2人の会話を見ながら、黄金パンツに戻った俺は、昨日起こったことに恐怖する。
神聖感あるエナから放たれた光によって、その場にいた美人幹部級親玉死霊は、無事討伐(?)されたようだ。またその光の発生で、そこにいた人物たち全員が気絶していたらしい。最もその話は、離れた場所から様子を観察していた、村の人からの情報だ。
つまり、神秘的オーラに包まれたエナは、幹部級の強さを持つ死霊さえ、その一つの拳で昇華できるということを証明したのだ。
ま、まとめると……。エナをキレさせてあのオーラを完全に纏った状態になると、俺たちの命は天国に行くということだ。
当の本人は昨日のことなど気にせずに、エレナや他数名と楽しそうにお話している。
「(おい2号……もうエナをキレさすような行為はやめないか?)」
小さな声で俺は何度目かになるか分からない『エナをキレさせない』宣言を刀パンイチの2号に提案する。
すると彼は頭部を押さえて言う。
「(悪いな1号……。俺はこれの借りを返さないといけないんだ)」
「(借りだと?)」
「(ああ。奴が俺のカチューシャを撃ち抜いたときに、俺の頭部が少し焦げてな。な、なんていうか……少し……は、ハゲに……)」
「ハゲ?」
小声にすることを忘れて、俺は2号の頭部を隠している手をどかしてそこを見る。
「ぷっっ、ぷはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
大きな声で俺は涙を流しながら、転がり、笑った。
「わ、笑うな!!」
「ヒャハハハ!!! む、無理だって、それを笑わないの!!!」
「き、貴様ァァ!!!」
叫ぶ2号に、犯人が声をかける。
「え? なになに? 何に笑ってr」
エナがそう言った刹那。
勢い良く刀を抜刀したテッペン一部ハゲの変態が叫ぶ。
「て、てめーのせいで!!! こ、この……ゴミクソ貧乳がァァ!!!!」
「誰がだ?!! ゴミクソ三下ァァ!!!」
エナが纏ったオーラは何色か。
「やるな!! 2号!! 次俺に挑戦させてくれ!」
両手を広げ細かい足踏み。そのおでこに木製の円形トレーを立たせて、落下しないようにバランスを取るメイド服。それを見て盛り上げているチャイナドレス。
その2人の変態の姿が、必死に戦闘をしている私の目の中に入った。
「へへへ、あ、ちょま、クソ!」
トレーが地面落下して、悔しがるメイド服を着た男。そのトレーをすぐに拾い、自分のおでこにセッティングするチャイナドレスを着た男。
その光景は、流石に性格が『女神』と言われる私でも耐えるに耐えれないものであった。
「まずは」
全身を包む紫の電撃と真っ赤なオーラが変化した。赤い電撃を放ち、黒赤いオーラが私を包んだ。
エンハンス4。
身体能力の100倍を出せる、エンハンスの4段回目だ。
「アンタらを」
拳を空中へ繰り出す。その方向、変態2人に向かって。
「ブチコロス!!!」
赤い電撃が一直線に彼らへと向かった。
「「へ??」」
2人の間をその電撃が抜け、奥にあった10メートルはある巨大な黒岩を一瞬で灰にした。
「「ガタガタガタギシギシhdbsjznsskaosnxso」」
その2人は恐怖に包まれたのか、歯をガタガタ鳴らし、言葉にない言葉を吐いてその場に膝から崩れ落ちた。
「え、エナさん?? こ、こ……これは?」
驚愕の声を上げるネネをよそに、私は死霊を見据える。
「なっ……すごい力ですね。流石に驚きましたよ。ですが……これでやっと土俵に立ったと言ったところですかね」
若干驚きを隠しきれてない死霊に向かって私は、
「まぁ、土俵に立った云々は今から証明してあげるわ!!」
一瞬でその死霊の前へと移動した。
チャイナドレス視点
なぁ、頼むからその言い方はやめてくれ。
エンハンス4に進化したエナは、その100倍の力を生かして死霊と戦闘を続けていた。放たれる気弾を全て空拳で封殺し、そのまま赤い雷を纏う蹴りを飛ばす。その度に爆発が起きる。
……これがエンハンス4と幹部級の戦闘か……。前回は◯×ゲームやってたからよく見てなかったんだよなぁ。
俺の隣に立つ2号がボソリと呟く。
「しかし感謝してもらいたいね。あの貧乳がエンハンス4になれたのは、俺たちのおかげだr」
電ッッ!! 戦闘中の方向から飛ばされた赤電撃が、2号の頭にあるカチューシャを吹き飛ばした。
「ギャァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 助けてくれ! 1号ざぁん!!!」
カチューシャが燃え、慌てる2号を横目に俺は驚く。
「エナの野郎、聴力まで上昇してるのかよ……戦闘中なのに、このアホの相手をするなんて余裕だな」
「流石はエナさんといったところですね」
いつの間にか、召喚獣を連れて俺たちのところまで後退してきたネネがそう言う。
当人のエナは爆発を生み出しながら、真剣な眼差しで死霊と対面していた。
俺はエンハンスを行使するエナを見ながら、あることを思い出す。
それは俺がまだこの世界に来て間もない時のことだ。
ある時、エンハンスを使ってモンスターを刈り取るエナに質問をした。
『なぁエナ』
『何よパンイチ、私は今エンハンス使って疲れてるのよ。セクハラ発言は後でにしてくれる?』
『……なんで俺がお前に好意を抱いている前提なんだよ。そんなことよりエンハンスって自身の身体能力を何倍にもする技だろ?』
『今疲れてる発言忘れちゃったのかな? まぁそれくらいは答えてあげる。そうよ、エンハンスは1で5倍、2で10倍、3で50倍、4で100倍、5で200倍よ』
『エンハンス5だとそこまで行くのか……。なぁエナ、これは興味の話だが、俺もエンハンスを使えば、身体能力をそこまで上げれるか?』
『アンタはホッントにバカね。0に何をかけても0じゃない』
俺はエナから貰ったその刺々しい言葉のせいで、そこから3日間は夜しか眠れなかった。
などと回想をしていると、エナのはぁはぁいう声が聞こえた。
「はぁはぁ、流石にエンハンス4を使ってると体力が……キツイわ」
その言葉に呼応するのは美人死霊。
「ふーふー、私も大変疲れましたわ。貴方のその脳筋ぷりには流石に私の対応力も限界が……」
「だ、誰が脳筋よ……」
エンハンス4での疲労が蓄積されているようで、エナのスピードが一気に落ちた。その一方で美人死霊もエナへの対応でへばっているようで、そちらのスピードも落ちた。
このままじゃジリ貧だな。何か決定打になることがないと……。
俺がそう思った時、ある方向からある声が聞こえた。
「うっほぉほーい、まーなーむすめーー!!!!」
ドタドタとこっちに跳ねるように走りながら、全裸のエナ父が来た。(なおモザイク加工済み)
「「「「「は」」」」」
その場にいる誰もがこの状況に混乱した。
「な、何……やって……るのよ……パパ」
「愛娘が心配になったから、パパ来ちゃった(てへ)」
エナの雰囲気が変わった。
「途中で悪戯かけられて服なくなっちゃったけど、そのまま来たぞぃ!!」
「…………………………………………」
エナを包んでいた黒赤いオーラが消えた。
そして。
神ッッ!! 神秘的な赤いオーラが彼女を包み込んだ。そこからは虹色の電撃が走っていた。
「ッッ??!! こ、このオーラは……」
美女幹部級死霊がそう呟く。
神秘感溢れるエナは地面に向かって、拳を振り下ろした。
刹那。
浄ッッッッ!!!!!!!
神秘的な光が俺たちを含む辺り一体に放たれた。
次の日
「もう帰っちゃうの? エナ」
最初に会った時の、胸をなんとか隠すくらいのパンイチ格好であるエレナが、いつもの冒険着に戻ったエナの手を取りそう言う。
「まぁね。元々ヒャロウイィーンのために帰省したから、長居する気はないわ」
「そうなのね、残念だわ」
微笑ましい2人の会話を見ながら、黄金パンツに戻った俺は、昨日起こったことに恐怖する。
神聖感あるエナから放たれた光によって、その場にいた美人幹部級親玉死霊は、無事討伐(?)されたようだ。またその光の発生で、そこにいた人物たち全員が気絶していたらしい。最もその話は、離れた場所から様子を観察していた、村の人からの情報だ。
つまり、神秘的オーラに包まれたエナは、幹部級の強さを持つ死霊さえ、その一つの拳で昇華できるということを証明したのだ。
ま、まとめると……。エナをキレさせてあのオーラを完全に纏った状態になると、俺たちの命は天国に行くということだ。
当の本人は昨日のことなど気にせずに、エレナや他数名と楽しそうにお話している。
「(おい2号……もうエナをキレさすような行為はやめないか?)」
小さな声で俺は何度目かになるか分からない『エナをキレさせない』宣言を刀パンイチの2号に提案する。
すると彼は頭部を押さえて言う。
「(悪いな1号……。俺はこれの借りを返さないといけないんだ)」
「(借りだと?)」
「(ああ。奴が俺のカチューシャを撃ち抜いたときに、俺の頭部が少し焦げてな。な、なんていうか……少し……は、ハゲに……)」
「ハゲ?」
小声にすることを忘れて、俺は2号の頭部を隠している手をどかしてそこを見る。
「ぷっっ、ぷはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
大きな声で俺は涙を流しながら、転がり、笑った。
「わ、笑うな!!」
「ヒャハハハ!!! む、無理だって、それを笑わないの!!!」
「き、貴様ァァ!!!」
叫ぶ2号に、犯人が声をかける。
「え? なになに? 何に笑ってr」
エナがそう言った刹那。
勢い良く刀を抜刀したテッペン一部ハゲの変態が叫ぶ。
「て、てめーのせいで!!! こ、この……ゴミクソ貧乳がァァ!!!!」
「誰がだ?!! ゴミクソ三下ァァ!!!」
エナが纏ったオーラは何色か。
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