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第一章 Not Club, Committee, Charity, But We are
第五話 アイドルVS声優③
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秋葉原美夜は小学生の頃に芸能の道に進んだ。
きっかけは運動会でのダンスだ。他の子と混ざって踊る中で、一人だけ異彩を放っていた。彼女の踊りは、常に笑顔で一個人に向けてではないのに、見ている人は自分と目が合っていると錯覚させられるような特徴があった。
それは秋葉原自身が小さい頃からアイドルの動画を見てきたからだろう。
『君にはアイドルの才能がある』
スカウトされたのは小学3年生の運動会後。家族で団欒しているところに来たその男は、他のクラスの父親で芸能関係者であった。
縁があった。そこから秋葉原は芸能の道へと足を進めていった。
ダンススクールやボイストレーニングを行い、体力作りのためのランニングを自主的に行なった。
結果が出始めたのは中学生の時。中学生だけが資格のあるダンスと歌の大会に出場して、上位の成績を収め、某事務所のスカウトの目に止まる。
そのままの流れで所属を決めた彼女は、そこで女子中学生だけのグループの立ち上げに携わり、本格的なアイドル人生をスタートさせた。
初めてのグループ活動、アイドル人生。失敗は何度したか分からない。しかしそのような中でも彼女は諦めずに努力を続けて、中学2年生の冬にはセンターを獲得し、グループとしては音楽番組に出演するところまで成長することができた。
ここでも秋葉原は満足しなかった。アイドルノートを作り、何が良くてダメなのか、客やスタッフの反応、視聴者の感想、最近の流行やライバルの動向を分析して、まとめ続けた。
(もっと、もっと、もっと活躍するんだ!!)
転機が訪れたのは中学3年生の5月。ゴールデンウィークも終わり、ここから暑くなるという季節に降った大雨の日。その日、グループに新メンバーが入った。
一つ下の美人と呼べるような存在。
彼女は元からタレントを持っていた。それにもかかわらず彼女は雑用なことも文句ひとつ言わずにこなし、センターであった秋葉原にアドバイスを常に求め続けた。
秋葉原は自分を慕ってくれる後輩を妹のように思い、自分が経験してきた勉強してきたスキルを彼女に教えた。
その結果。
後輩がグループに入ってから、わずか3ヶ月後の8月終わりに、秋葉原は後輩にセンターを奪われることになる。そこから半年も経たない間に、後輩は世間から注目を浴びると、さらに大きな事務所へと引き抜かれていった。
秋葉原は、自分の技術や全てを奪われたような気持ちになった。
そして感じた。
あぁ、自分は踏み台に使われたのだと。
ここから彼女は思うようになった。
タレントがある奴に踏み台されてたまるかと。己の技術を与えてやるかと。
現在の秋葉原が所属しているグループは、人気はあるが表ではそこまで見ないという状況になっている。
間違いなく全盛期というものは過ぎ去った。
それでも競争の激しい業界で生き残っているのは、秋葉原が必死に努力して、それに他メンバーが追従しているからだろう。
でも怖い。またいつメンバーが自分の技術を盗み、踏み台にしてくるのかと思うと。
だからこそ彼女は一人思う。グループに依存せずに芸能界で生き残っていける力が必要だと。
もともと女子中学生で構成されたグループだった。高校生以上のメンバーが揃うアイドルはごまんとある。そのため中学生アイドルという稀有な存在がひとつの売りポイントだった。しかし、ほとんどのメンバーが高校生になった今、希少性は薄まった。
1人立ちするにもここが潮時かなとも思っていた。
しかし新しいグループに入っても、また同じように技術が盗まれるかもと怖い。
永遠に回り続けるサイクルに囚われているような気分。
出口の見えないサイクル。見えても自分で向かえるのか分からない重力に足を取られる。
そんな時だった。クラスの声優に嫉妬したのは。
タレントはある。知名度も鰻登り。1人でも戦えそうだなと思った。本当はそこに嫉妬した。
自分にないものを持っていたから。
そして耐えられなさそうだった。中学生三年生と思春期真っ只中で起こった踏み台。そこから今までずっとストレスは溜まり続けていた。
これをなんとか和らげるために、噂に聞いていた裏裏会に頼んだ。1年生最優秀生徒になった人がいれば解決してくれると思った。
だから今驚いている。
目の前にいるのは現役海軍大将でも、魔法使いでも、異世界人でもない。クラスにいた本当に何もない平凡な男。
だから今驚いている。
平凡から提案された内容に。
彼は言った。
「秋葉原。お前、雨野川とコンビ組め」
きっかけは運動会でのダンスだ。他の子と混ざって踊る中で、一人だけ異彩を放っていた。彼女の踊りは、常に笑顔で一個人に向けてではないのに、見ている人は自分と目が合っていると錯覚させられるような特徴があった。
それは秋葉原自身が小さい頃からアイドルの動画を見てきたからだろう。
『君にはアイドルの才能がある』
スカウトされたのは小学3年生の運動会後。家族で団欒しているところに来たその男は、他のクラスの父親で芸能関係者であった。
縁があった。そこから秋葉原は芸能の道へと足を進めていった。
ダンススクールやボイストレーニングを行い、体力作りのためのランニングを自主的に行なった。
結果が出始めたのは中学生の時。中学生だけが資格のあるダンスと歌の大会に出場して、上位の成績を収め、某事務所のスカウトの目に止まる。
そのままの流れで所属を決めた彼女は、そこで女子中学生だけのグループの立ち上げに携わり、本格的なアイドル人生をスタートさせた。
初めてのグループ活動、アイドル人生。失敗は何度したか分からない。しかしそのような中でも彼女は諦めずに努力を続けて、中学2年生の冬にはセンターを獲得し、グループとしては音楽番組に出演するところまで成長することができた。
ここでも秋葉原は満足しなかった。アイドルノートを作り、何が良くてダメなのか、客やスタッフの反応、視聴者の感想、最近の流行やライバルの動向を分析して、まとめ続けた。
(もっと、もっと、もっと活躍するんだ!!)
転機が訪れたのは中学3年生の5月。ゴールデンウィークも終わり、ここから暑くなるという季節に降った大雨の日。その日、グループに新メンバーが入った。
一つ下の美人と呼べるような存在。
彼女は元からタレントを持っていた。それにもかかわらず彼女は雑用なことも文句ひとつ言わずにこなし、センターであった秋葉原にアドバイスを常に求め続けた。
秋葉原は自分を慕ってくれる後輩を妹のように思い、自分が経験してきた勉強してきたスキルを彼女に教えた。
その結果。
後輩がグループに入ってから、わずか3ヶ月後の8月終わりに、秋葉原は後輩にセンターを奪われることになる。そこから半年も経たない間に、後輩は世間から注目を浴びると、さらに大きな事務所へと引き抜かれていった。
秋葉原は、自分の技術や全てを奪われたような気持ちになった。
そして感じた。
あぁ、自分は踏み台に使われたのだと。
ここから彼女は思うようになった。
タレントがある奴に踏み台されてたまるかと。己の技術を与えてやるかと。
現在の秋葉原が所属しているグループは、人気はあるが表ではそこまで見ないという状況になっている。
間違いなく全盛期というものは過ぎ去った。
それでも競争の激しい業界で生き残っているのは、秋葉原が必死に努力して、それに他メンバーが追従しているからだろう。
でも怖い。またいつメンバーが自分の技術を盗み、踏み台にしてくるのかと思うと。
だからこそ彼女は一人思う。グループに依存せずに芸能界で生き残っていける力が必要だと。
もともと女子中学生で構成されたグループだった。高校生以上のメンバーが揃うアイドルはごまんとある。そのため中学生アイドルという稀有な存在がひとつの売りポイントだった。しかし、ほとんどのメンバーが高校生になった今、希少性は薄まった。
1人立ちするにもここが潮時かなとも思っていた。
しかし新しいグループに入っても、また同じように技術が盗まれるかもと怖い。
永遠に回り続けるサイクルに囚われているような気分。
出口の見えないサイクル。見えても自分で向かえるのか分からない重力に足を取られる。
そんな時だった。クラスの声優に嫉妬したのは。
タレントはある。知名度も鰻登り。1人でも戦えそうだなと思った。本当はそこに嫉妬した。
自分にないものを持っていたから。
そして耐えられなさそうだった。中学生三年生と思春期真っ只中で起こった踏み台。そこから今までずっとストレスは溜まり続けていた。
これをなんとか和らげるために、噂に聞いていた裏裏会に頼んだ。1年生最優秀生徒になった人がいれば解決してくれると思った。
だから今驚いている。
目の前にいるのは現役海軍大将でも、魔法使いでも、異世界人でもない。クラスにいた本当に何もない平凡な男。
だから今驚いている。
平凡から提案された内容に。
彼は言った。
「秋葉原。お前、雨野川とコンビ組め」
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