依存の魔法使い

豚骨

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第1章 奇跡の始まり

真相の話 1

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「じゃあクイース?何故あの状態に成ってしまって居たのか。本当の事を話してくれますね?」

クイースの目を見つめながら肩に手を置く。
嘘は許さないと言う意思表示だ。

クイースも緊張しているのか、若干目を潤ませ・・・
顔を赤らめ・・・あれ?クイース?何故目を瞑るの?そして唇を突き出すんじゃ無い。

顔面を手の平で押しのけ、もう一度質問、いや、命令をする。
奴隷の契約で強制的に話すような状態には成らない程度にまで感情を抑える、話を聞かない娘に諭す父親の様な抑揚で話す。

「クイース、私の話を聞きなさい。魔物にやられた時の事を嘘を交えずに話なさい。」

普段と違う抑揚での話し方にクイースは神妙な顔と成り、心を落ち着ける様にひと息吐き出してから、意を決して話し出した。

『はい、ご主人様。まずは、ご慧眼に感服いたします。奴隷商人の方はあの話を信用してましたのに。』

いや、怪しんでいたと思うぞと、クイースの話の腰を折る。

だけどおかしさが満載だったからな?
そんな状態からどうやって帰って来たんだって事くらいは誰でも思ってたと思うぞ。

クイースは、そうですか、解っていて世話をしてくれていたんですね。ポーションまで使ってくれましたし。

と、涙を目から溢れさせながら奴隷商人に感謝を呟いた後、少しの間を置いて話を続けた。

『あたし達がフレイムスネークを狩りに行ったのは事実です。それ以外が全て違いますけど』

その時の事を思い出しているんだろう。僅かな表情の変化からは、後悔、侮蔑、自嘲、様々な感情が見え隠れする。

『始まりは双子の弓使いでした。それぞれリーとラーって言う名前なんですけど。彼女達は結成当初からのメンバーで仲も良かった・・・と、私は思ってました』

何だか既に話が非常に怪しい雰囲気何だが?

『彼女達が突然フレイムスネークを狩りに行こうと言い出したんです。あたしはまだ実力的に無理だと言ったんですが。大丈夫、ミルカの魔法で切り裂いちゃうからって言われまして。あ、ミルカって言うのはパーティーメンバーの魔法使いです。実際魔法の威力は散々見てきましたから、行けるかもって、時間を稼ぐくらいならって納得してしまったんです。』

『でも実際に魔法が、風の刃が向かったのはあたしでした。フレイムスネークに対峙して時間を稼いでる時に後ろから狙われたんです。』

、そんな事をしやがったのかクソ野郎共が!!」

つい大声をだしてしまいましたが怒りに身体の震えが止まりません。噛み締めすぎて奥歯も割れてしまったみたいですね。血が出てきました。
前世の、それも若い頃の様に俺とか言っちゃいましたが、そんな事は気にしてられません。クソ野郎共め、絶対に報いは受けさせますよ?

『あ、あの、あたしは大丈夫ですよ?ご主人様に逢えましたから』

顔を真っ赤にしたクイースがそんな事を言う。

その姿に少しだけ冷静に成り、しかしクイースの言葉を否定する。

「クイースが大丈夫でも、私が愛する者を傷付けたんです。私の為に、その人達には必ず後悔をさせてあげます。これは決定事項です。」

私は、思っても見なかった。後悔程度では収まらない屑なクソ野郎共の所業はまだ序章だった事を。
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