8 / 34
8
しおりを挟む
不思議そうに聞いてくる彼女に答えることなく歩き続けると目的の場所に辿り着いた。そこは古い教会のような建物でかなり老朽化が進んでいるようだが、中に入れないほどではないようだった。
「入ってみましょう」
私が言うと、彼女も賛成してくれたので中に入ることにした。中に入ってみると意外と綺麗だったので驚いていると、どこからか声が聞こえてきたような気がしたので周囲を見回してみると部屋の隅にある箱のようなものが目についたので近づいてみることにした。その箱の中を覗き込むようにして見ると中には一冊の本が入っていた。表紙には『女神の祝福』と書かれているのが見えたがそれ以外は何も書かれていなかった。不思議に思って手に取って開いてみるとそこには見たこともない文字が書かれていたが何故か読むことができた。それはまるで最初から知っていたかのようにすらすらと頭の中に入ってくるような感覚を覚えた私は夢中になって読み進めていったのだった。しばらくすると、いつの間にか雨が止んでいたことに気づいた私は本を閉じて元の場所に戻すと外に出ようとしたところでふとあることを思いついて足を止めた。
(そうだ、せっかくだからこの教会の中を少し探索してみようかな)そう思い立った私は中を一通り見て回ることにしたのだった。
結論から言えば、この教会は廃墟などではなく今も使われていることがわかった。というのも、内部は非常に綺麗に保たれており目立った汚れも見当たらなかったからだ。さらに、地下室もあったのだがそこに置かれていた数々の書物を読んでいるうちにすっかり時間を忘れてしまっていたらしく気がつくと外はすっかり暗くなってしまっていたため急いで帰ることにした。
その日の夜、私は不思議な夢を見た。夢の中で私は真っ暗な空間に立っていた。辺りを見回していると、突然目の前に一人の女性が現れた。女性は真っ白なドレスを着ており、長い髪をなびかせていた。顔はベールに覆われていて見えなかったが口元だけは見えた。微笑んでいるようだということはわかったがそれ以上のことはわからなかった。やがて女性が口を開くと言った。
「ようこそいらっしゃいました、新たなる旅人よ」
その言葉を聞いた瞬間、私は確信した。この人は本物の神様なのだと。そう思うと自然と体が震え出したのがわかったがそれでも目を逸らさずに見つめ続けた。すると、彼女は微笑みながら言った。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。さあ、こちらへおいでなさい」
その言葉に導かれるように一歩ずつ前に進んでいくうちに不思議と心が落ち着いていくのを感じた。そして、目の前まで来るとそこで立ち止まった。すると、今度は逆に彼女が近づいてきて私の顔に触れるとそっと頬を撫でた後に耳元で囁いた。「あなたに力を授けましょう」
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れた感触がしたかと思うと口の中に何かが流れ込んでくるような感覚に襲われた。驚いて離れようとしたが身体が動かないうえに声も出せなかったためどうすることもできなかった。しばらくしてようやく解放された時には既に意識を失いかけていたためその場に倒れ込んでしまった。薄れゆく意識の中で最後に見たものは美しい微笑みを浮かべながらこちらを見つめている姿だった……
「入ってみましょう」
私が言うと、彼女も賛成してくれたので中に入ることにした。中に入ってみると意外と綺麗だったので驚いていると、どこからか声が聞こえてきたような気がしたので周囲を見回してみると部屋の隅にある箱のようなものが目についたので近づいてみることにした。その箱の中を覗き込むようにして見ると中には一冊の本が入っていた。表紙には『女神の祝福』と書かれているのが見えたがそれ以外は何も書かれていなかった。不思議に思って手に取って開いてみるとそこには見たこともない文字が書かれていたが何故か読むことができた。それはまるで最初から知っていたかのようにすらすらと頭の中に入ってくるような感覚を覚えた私は夢中になって読み進めていったのだった。しばらくすると、いつの間にか雨が止んでいたことに気づいた私は本を閉じて元の場所に戻すと外に出ようとしたところでふとあることを思いついて足を止めた。
(そうだ、せっかくだからこの教会の中を少し探索してみようかな)そう思い立った私は中を一通り見て回ることにしたのだった。
結論から言えば、この教会は廃墟などではなく今も使われていることがわかった。というのも、内部は非常に綺麗に保たれており目立った汚れも見当たらなかったからだ。さらに、地下室もあったのだがそこに置かれていた数々の書物を読んでいるうちにすっかり時間を忘れてしまっていたらしく気がつくと外はすっかり暗くなってしまっていたため急いで帰ることにした。
その日の夜、私は不思議な夢を見た。夢の中で私は真っ暗な空間に立っていた。辺りを見回していると、突然目の前に一人の女性が現れた。女性は真っ白なドレスを着ており、長い髪をなびかせていた。顔はベールに覆われていて見えなかったが口元だけは見えた。微笑んでいるようだということはわかったがそれ以上のことはわからなかった。やがて女性が口を開くと言った。
「ようこそいらっしゃいました、新たなる旅人よ」
その言葉を聞いた瞬間、私は確信した。この人は本物の神様なのだと。そう思うと自然と体が震え出したのがわかったがそれでも目を逸らさずに見つめ続けた。すると、彼女は微笑みながら言った。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。さあ、こちらへおいでなさい」
その言葉に導かれるように一歩ずつ前に進んでいくうちに不思議と心が落ち着いていくのを感じた。そして、目の前まで来るとそこで立ち止まった。すると、今度は逆に彼女が近づいてきて私の顔に触れるとそっと頬を撫でた後に耳元で囁いた。「あなたに力を授けましょう」
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れた感触がしたかと思うと口の中に何かが流れ込んでくるような感覚に襲われた。驚いて離れようとしたが身体が動かないうえに声も出せなかったためどうすることもできなかった。しばらくしてようやく解放された時には既に意識を失いかけていたためその場に倒れ込んでしまった。薄れゆく意識の中で最後に見たものは美しい微笑みを浮かべながらこちらを見つめている姿だった……
0
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる