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「きゃっ!」
バランスを崩して倒れそうになったところをなんとか堪えることができたが、代わりにクレアの胸に顔を埋める形になってしまい余計にパニックに陥ってしまう。
(ど、どうしよう!このままじゃ窒息しちゃうかも……!!)
必死に離れようとするがびくともしないどころか逆に強く抱き締められてしまったことで身動きが取れなくなってしまった。このままではまずいと思った私は、最後の手段に出ることにした。
「んっ……」
私は、そっと手を伸ばしてクレアの唇に人差し指を押し当てた。すると、ピクリと反応したのがわかったがすぐに大人しくなったのでホッとした。
(よかった、これで助かったみたいね)
そう思って油断したのがいけなかったのだろう。突然、口の中に指を入れられて驚いた拍子に口を開けてしまったのだ。その結果、舌を入れる隙を与えてしまうことになり口内を蹂躙されてしまったのだ。
「んんっ!んぅう~!」
抵抗しようと試みるが力が入らずされるがままになってしまう。その間にも、どんどん激しくなっていく行為に耐えられず意識が遠のいていきそうになった時、ようやく解放された時には完全に息が上がってしまっていた。そんな私を見て満足そうな笑みを浮かべると、最後に軽くキスをしてから解放してくれた。
「はぁ……はぁ……」
乱れた呼吸を整えていると、不意に頭を撫でられた。驚いて見上げるとそこには優しい笑みを浮かべたクレアの姿があった。彼女は慈愛に満ちた目でこちらを見つめていたが、やがて口を開いた。
「おはようございます、お嬢様」
そう言って微笑んだ彼女の顔はとても綺麗で見惚れてしまいそうだった。思わず見惚れてしまっていた私だったが、ハッと我に返ると慌てて顔を逸らした。
「お、おはよう」
小さな声で挨拶を返すと、不意に背後から抱きつかれた。驚いて振り返るとそこにいたのはお母様で、いつの間にか目を覚ましていたようだった。
「あら、起きたのね。おはよう、マリアちゃん」
そう言って微笑むお母様の姿はまるで天使のように美しく見えたが、同時にどこか妖艶な雰囲気を漂わせており目が離せなかった。お母様はそのまま顔を近づけてくると、耳元で囁いた。
「昨日はよく眠れたかしら?」
甘く囁くような声音に背筋がゾクッとする感覚を覚える。恥ずかしくて顔を背けようとしたが顎を掴まれてしまい動かすことができない。その間もお母様はじっと私の顔を見つめていたが、しばらくすると満足したように微笑んで手を離してくれたのでホッと息を吐いた。
「ふふ、可愛い子ね」
そう言って笑うお母様の表情はとても艶っぽく見えてしまい心臓の音が早くなるのを感じた。それを誤魔化すように咳払いをすると話題を変えることにした。
「そ、そういえば、どうして二人がここにいらっしゃるのですか?」
そう尋ねると、二人は顔を見合わせてから答えた。
「だって、私達の娘に会いに来たんだもの」
「そうですよ。それ以外に理由なんてありません」
そう言って優しく微笑む二人の姿に胸が熱くなるのを感じた。それと同時に、目の奥が熱くなるのを感じたがグッと堪えることに成功した。ここで泣いたら二人に迷惑をかけちゃうからね。それに、これ以上情けない姿を見せたくないもの。だから、泣かないよ。絶対に泣くもんか! そんな決意を固めていると、ふとあることを思い出してハッとした。そうだ、思い出したぞ!私は、確か昨日の夜に二人に謝ろうとしてたんだった!
「あの、お二人にお話があるのですがよろしいでしょうか?」
私がそう言うと二人は不思議そうな顔をした。
「どうしたの?そんなに改まって」
「何か大事なお話ですか?」
二人が不思議そうに尋ねてくるのを見て私は意を決して言った。
「実は、お二人に謝りたいことがあるんです」
私がそう言うと、二人の顔が変わったような気がした。だが、気にせず話を続けることにする。
「私は、お二人のことを本当の両親だと思っていませんでした。それどころか、心のどこかで疑っていたと思います。だから、お二人の気持ちを考えずに酷いことを言ってしまいました。本当にごめんなさい!」
そう言って頭を下げると沈黙が流れた後、頭上から声が聞こえてきた。恐る恐る顔を上げるとそこには悲しそうな表情を浮かべた両親の姿が見えた。ああ、やっぱり傷つけてしまったんだなと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになったが後悔はなかった。何故ならこれは私がずっと抱えていた悩みだったからだ。
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