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第36話
中学時代、親友だった子から久しぶりのLINE
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部屋の一室に入った私はすぐにソファーベットへバターンと倒れ込んだ。
私の体はもう限界だったのだろう……。
緊張の糸が解かれた瞬間、再び睡魔がやってきたのだ。
やっぱり自分の部屋が一番癒される、、、、、、
私の瞼はあっという間に落ちていった。
小さな寝息を立てて無意識に寝返りを打つ私の体は上手にソファーベットの端
ギリギリで止まり、次は逆方向へと寝返りを打つ。
寝ている時の私は自由人だ。何も知らないということは幸せなことである。
寝ている時は何も考えなくて済むから私はこの時間が結構好きだったりする。
こんな時でさえ時間はマイペースに一定速度を保ちながら稼働している。
チクタク…チクタク…秒針は刻々と右回りに回り続けている。
休むことなく永遠に……
もしも、時間が止まれば、それは電池が切れた時か故障した時だ。
例え時計が動かなくとも朝は必ずやって来る―――ーーー。
朝が来て、昼が来て、夜が来て、そしてまた朝が来る。
そうやって繰り返される日々を皆、色んな思いを抱えながら生きている。
何時間くらい、私は寝ていたのだろう……
わからないくらい私は無防備に爆睡していた。
そのうち3時間おきに鳴る柱時計の音楽が部屋中に響き渡った。
爆睡している時の私はこの音楽さえもスルーして起きない。
だけど、耳の奥に微かに聞こえた音楽は『そろそろ起きる時間だよ』と
教えてくれているみたいだった。
「ん―――--今、何時…?」
私は瞼をゆっくりと開けていく。
―――が、まだ眠そうに目をこすりながら私は片手間でサイドテーブルに
手を伸ばしスマホを探し出すと、その手に取る。
このスマホでさえ、いつサイドテーブルに置いたのかと、私はまったく見覚えが
なかったのだった。
多分、明け方、トイレに起きた時だろう。その時にバックからスマホを取り出し
時間を見ては「もう少し寝れる」と2度寝したのだと思う。
その証拠にカーペットに転がったバックから中身が散乱している。
これは無意識にバックの中身を出して、スマホを探したことを証明している。
私の親指が無造作にスマホの中央にあるボタンに触れた。
画面上が明るくなり上部に表示された時刻が一番最初に飛び込んできた。
12:30―――
「うそ!? もう、こんな時間?」
さっきまでの眠気が一気に覚め、私は勢いよく体を起こす。
「やばい、仕事…」
内心寝過ごして『どうしよう』と大パニックだった。
その反面、ふと脳裏に春陽社長の言葉が蘇る。
『お前…今日、仕事休め』
本当はお言葉に甘えて『それじゃ…』と、休んでもう一回、横になりたい
気分だったが、『今日の接待は3時からだ…まだ、間に合うかも…』と、
私はソファーベットを下り、〔仕事へ行く〕という選択肢に切り替え
即行動に移す。
そして、タンスから着替えを取り出し浴室へと向かったのだった。
昨日、いや…もう今日になっていた深夜、お風呂も入らずに眠ってしまって
いたことと、シャキッと目を覚ます為でもあった。
浴室に入った私はバスタブにお湯を溜めず、シャワーを浴びることにした。
ゆっくりとバスタブに浸かり癒されている時間などなかったからだ。
私は手早く髪と体を洗い流し15分程度で浴室を出た。
脱衣所に掛けられたドライヤーでサッと頭を乾かし、着替えを済ませて
ダイニングキッチン・リビングに戻ると急にお腹が空いてきた。
「作っている時間もなし、何か適当に食べれるものは…」
と、私は冷蔵庫を開けて覗いて見る。
「お、ちょうどいいものがあった」
食材は殆んどなかったが、隙間だらけの冷蔵庫の奥にポツリと
忘れられたように置かれたプリンに視線が釘付けになる。
「おお、プリンがある」
その手は脇目もふらずに真っすぐと伸びていった。
プリンを買ったのは5日前のこと。
〈賞味期限は大丈夫?〉
私は賞味期限の記載表示に視線を向ける。
「ホッ…よかった…今日までだ、、、ギリギリセーフ」
「おお、プリン様ー、愛しのプリン様、忘れててごめんよぉ」
私はプリンを頬にスリスリとすり寄せ、しみじみと愛着を感じていた。
本当に都合のいいように解釈する。
「もう少しで無駄になるとこだった……」
ダイニングテーブルの前に座った私は早速プリンの蓋を開ける。
結局、プリンは私の口の中に入るのに可哀想に…
でも、それもプリンの運命なのさ。
「それじゃ、味わって一口…いっただきまーす」
パクッ
「――ん、おいしいー。幸せー」
萌衣は満面の笑みを浮べてプリンを頬張っていく。
ブー、ブー (LINEメールの受信音)
「ん? メール?」
私はテーブルにさりげなく置かれたスマホから鳴る音に目を傾け、
片手間にスマホを操作しながらLINE画面を開ける。
【萌衣、久しぶり、元気してる? 急なんだけど、今週末予定開いてる?
中学のみんなで集まって同窓会しようって話になってさ。私が幹事することに
なって、、、】
そのメールは中学時代の親友、井野上恵衣子からだった。
恵衣子とは中学、高校と一緒だったが高校卒業後は会うことも少し減って
きたけど、ちょこちょこメールのやりとりはしていた。
恵衣子からメールが来てもメンドくさがり屋の私は既読するものの、いつも
返信は後回しにしている。それさえも忘れていることも暫しあり。
ひどい時は忘れた頃に「あっ」と思い出し、返信するから恵衣子も
戸惑うことがある。だが、そこは双方とも上手く聞き流している。
恵衣子は『それが萌衣やもんね』と私をいつも笑って許してくれる。
「同窓会かあ…。懐かしいなあ…」
谷野君も来るんだろうか……
え、谷野君!? 脳裏に蘇る谷野君と行った過去。
いったい、あれは何だったんだろう……
谷野君の卒業写真の顔が違っていたことも気になる、、、
もしかして、私は夢を見ていたの? 夢ならめちゃくちゃリアルな夢だ。
でも、夢じゃないと確信している。
だって現世に戻って来た時、春陽社長のことははっきりと覚えていた。
父や母、千恵子さんのことも覚えている。
母があまのじゃくなのは子供の頃からだった。
もう、何がなんだかわからない。
どうなってるの? 頭の中がごちゃごちゃに混乱していた。
谷野君とは高校は別々だったけど、中学の同窓会やもんな。
ひょっとしたら来るかもしれない……。
もしも、谷野君に会えば…何かがわかるかも……
谷野君には聞きたいことがいっぱいある。
―――同窓会は多分、夜からだろう…。
私はすぐに手帳を開け春陽社長のスケジュール確認をする。
〈よし、今の所は予定なし。定時刻で帰れる〉
【うん。わかった。じゃ参加でよろしく】
私は忘れないようにとりあえず返信だけ済ませる。
【了解♡】 ……既読
恵衣子からすぐに返信メールが届いた。
その後、私は残りのプリンを完食し、食べ終わった容器をゴミ箱に捨てると、
仕事に行く準備をする。歯磨きは念入りに磨き、顔も洗顔で洗う。
スーツに着替え、ビシッと髪を上の方にアップする。
化粧は春陽社長好みの薄化粧だ。
前に化粧を濃いめにしていったら『お前には似合わん。落としてこいと』と
言われたことがあった。確かに、朝、鏡を見て『似合わない』と思ったけど
テレビドラマで見る秘書達はキレイに厚化粧をしていたし、会社の女性社員も
濃い目の化粧をしている人もいた。
その後、麗花さんに聞いたら、どうやら春陽社長は薄化粧の女性が
好きらしく、それ以来、私は見栄を張るのをやめた。
麗花さんが秘書の時、濃い目に化粧をしてたのは仕事ができる女だとカッコよく
見せたかったんだとか……。実際、本当に仕事はバリバリできるが…。
そう言えば、母もあまり化粧をしていなかった気がする。
外を歩く時は薄く化粧をしていたみたいだが、殆どスッピンに近かった気がする。
『化粧をすると肌が荒れるからね…』
小学校入学式の時に母が言っていた。
その後、
『本当は化粧を塗ったり、落としたりするのがめんどくさいだけ
なんだけどね(笑)』と、母は私の耳元で囁いた。
帰り道、二人で手を繋いで笑ったことを思い出した。
大雑把なとこもあるけど、小まめに料理や掃除をする時もある。
自分のことはいつも後回しにして優しい母だった。
そんな母が私は大好きだった――――ーーー。
支度が整え終えると、私はスッキリした顔で部屋を出た。
今日は春陽社長の好きな女性に一歩近づけたかな?
ダメ出しの数が1つでも昨日より少なければ自分に〇をつけよう……。
取り合えず、今日は失敗しないように頑張ります。
私の体はもう限界だったのだろう……。
緊張の糸が解かれた瞬間、再び睡魔がやってきたのだ。
やっぱり自分の部屋が一番癒される、、、、、、
私の瞼はあっという間に落ちていった。
小さな寝息を立てて無意識に寝返りを打つ私の体は上手にソファーベットの端
ギリギリで止まり、次は逆方向へと寝返りを打つ。
寝ている時の私は自由人だ。何も知らないということは幸せなことである。
寝ている時は何も考えなくて済むから私はこの時間が結構好きだったりする。
こんな時でさえ時間はマイペースに一定速度を保ちながら稼働している。
チクタク…チクタク…秒針は刻々と右回りに回り続けている。
休むことなく永遠に……
もしも、時間が止まれば、それは電池が切れた時か故障した時だ。
例え時計が動かなくとも朝は必ずやって来る―――ーーー。
朝が来て、昼が来て、夜が来て、そしてまた朝が来る。
そうやって繰り返される日々を皆、色んな思いを抱えながら生きている。
何時間くらい、私は寝ていたのだろう……
わからないくらい私は無防備に爆睡していた。
そのうち3時間おきに鳴る柱時計の音楽が部屋中に響き渡った。
爆睡している時の私はこの音楽さえもスルーして起きない。
だけど、耳の奥に微かに聞こえた音楽は『そろそろ起きる時間だよ』と
教えてくれているみたいだった。
「ん―――--今、何時…?」
私は瞼をゆっくりと開けていく。
―――が、まだ眠そうに目をこすりながら私は片手間でサイドテーブルに
手を伸ばしスマホを探し出すと、その手に取る。
このスマホでさえ、いつサイドテーブルに置いたのかと、私はまったく見覚えが
なかったのだった。
多分、明け方、トイレに起きた時だろう。その時にバックからスマホを取り出し
時間を見ては「もう少し寝れる」と2度寝したのだと思う。
その証拠にカーペットに転がったバックから中身が散乱している。
これは無意識にバックの中身を出して、スマホを探したことを証明している。
私の親指が無造作にスマホの中央にあるボタンに触れた。
画面上が明るくなり上部に表示された時刻が一番最初に飛び込んできた。
12:30―――
「うそ!? もう、こんな時間?」
さっきまでの眠気が一気に覚め、私は勢いよく体を起こす。
「やばい、仕事…」
内心寝過ごして『どうしよう』と大パニックだった。
その反面、ふと脳裏に春陽社長の言葉が蘇る。
『お前…今日、仕事休め』
本当はお言葉に甘えて『それじゃ…』と、休んでもう一回、横になりたい
気分だったが、『今日の接待は3時からだ…まだ、間に合うかも…』と、
私はソファーベットを下り、〔仕事へ行く〕という選択肢に切り替え
即行動に移す。
そして、タンスから着替えを取り出し浴室へと向かったのだった。
昨日、いや…もう今日になっていた深夜、お風呂も入らずに眠ってしまって
いたことと、シャキッと目を覚ます為でもあった。
浴室に入った私はバスタブにお湯を溜めず、シャワーを浴びることにした。
ゆっくりとバスタブに浸かり癒されている時間などなかったからだ。
私は手早く髪と体を洗い流し15分程度で浴室を出た。
脱衣所に掛けられたドライヤーでサッと頭を乾かし、着替えを済ませて
ダイニングキッチン・リビングに戻ると急にお腹が空いてきた。
「作っている時間もなし、何か適当に食べれるものは…」
と、私は冷蔵庫を開けて覗いて見る。
「お、ちょうどいいものがあった」
食材は殆んどなかったが、隙間だらけの冷蔵庫の奥にポツリと
忘れられたように置かれたプリンに視線が釘付けになる。
「おお、プリンがある」
その手は脇目もふらずに真っすぐと伸びていった。
プリンを買ったのは5日前のこと。
〈賞味期限は大丈夫?〉
私は賞味期限の記載表示に視線を向ける。
「ホッ…よかった…今日までだ、、、ギリギリセーフ」
「おお、プリン様ー、愛しのプリン様、忘れててごめんよぉ」
私はプリンを頬にスリスリとすり寄せ、しみじみと愛着を感じていた。
本当に都合のいいように解釈する。
「もう少しで無駄になるとこだった……」
ダイニングテーブルの前に座った私は早速プリンの蓋を開ける。
結局、プリンは私の口の中に入るのに可哀想に…
でも、それもプリンの運命なのさ。
「それじゃ、味わって一口…いっただきまーす」
パクッ
「――ん、おいしいー。幸せー」
萌衣は満面の笑みを浮べてプリンを頬張っていく。
ブー、ブー (LINEメールの受信音)
「ん? メール?」
私はテーブルにさりげなく置かれたスマホから鳴る音に目を傾け、
片手間にスマホを操作しながらLINE画面を開ける。
【萌衣、久しぶり、元気してる? 急なんだけど、今週末予定開いてる?
中学のみんなで集まって同窓会しようって話になってさ。私が幹事することに
なって、、、】
そのメールは中学時代の親友、井野上恵衣子からだった。
恵衣子とは中学、高校と一緒だったが高校卒業後は会うことも少し減って
きたけど、ちょこちょこメールのやりとりはしていた。
恵衣子からメールが来てもメンドくさがり屋の私は既読するものの、いつも
返信は後回しにしている。それさえも忘れていることも暫しあり。
ひどい時は忘れた頃に「あっ」と思い出し、返信するから恵衣子も
戸惑うことがある。だが、そこは双方とも上手く聞き流している。
恵衣子は『それが萌衣やもんね』と私をいつも笑って許してくれる。
「同窓会かあ…。懐かしいなあ…」
谷野君も来るんだろうか……
え、谷野君!? 脳裏に蘇る谷野君と行った過去。
いったい、あれは何だったんだろう……
谷野君の卒業写真の顔が違っていたことも気になる、、、
もしかして、私は夢を見ていたの? 夢ならめちゃくちゃリアルな夢だ。
でも、夢じゃないと確信している。
だって現世に戻って来た時、春陽社長のことははっきりと覚えていた。
父や母、千恵子さんのことも覚えている。
母があまのじゃくなのは子供の頃からだった。
もう、何がなんだかわからない。
どうなってるの? 頭の中がごちゃごちゃに混乱していた。
谷野君とは高校は別々だったけど、中学の同窓会やもんな。
ひょっとしたら来るかもしれない……。
もしも、谷野君に会えば…何かがわかるかも……
谷野君には聞きたいことがいっぱいある。
―――同窓会は多分、夜からだろう…。
私はすぐに手帳を開け春陽社長のスケジュール確認をする。
〈よし、今の所は予定なし。定時刻で帰れる〉
【うん。わかった。じゃ参加でよろしく】
私は忘れないようにとりあえず返信だけ済ませる。
【了解♡】 ……既読
恵衣子からすぐに返信メールが届いた。
その後、私は残りのプリンを完食し、食べ終わった容器をゴミ箱に捨てると、
仕事に行く準備をする。歯磨きは念入りに磨き、顔も洗顔で洗う。
スーツに着替え、ビシッと髪を上の方にアップする。
化粧は春陽社長好みの薄化粧だ。
前に化粧を濃いめにしていったら『お前には似合わん。落としてこいと』と
言われたことがあった。確かに、朝、鏡を見て『似合わない』と思ったけど
テレビドラマで見る秘書達はキレイに厚化粧をしていたし、会社の女性社員も
濃い目の化粧をしている人もいた。
その後、麗花さんに聞いたら、どうやら春陽社長は薄化粧の女性が
好きらしく、それ以来、私は見栄を張るのをやめた。
麗花さんが秘書の時、濃い目に化粧をしてたのは仕事ができる女だとカッコよく
見せたかったんだとか……。実際、本当に仕事はバリバリできるが…。
そう言えば、母もあまり化粧をしていなかった気がする。
外を歩く時は薄く化粧をしていたみたいだが、殆どスッピンに近かった気がする。
『化粧をすると肌が荒れるからね…』
小学校入学式の時に母が言っていた。
その後、
『本当は化粧を塗ったり、落としたりするのがめんどくさいだけ
なんだけどね(笑)』と、母は私の耳元で囁いた。
帰り道、二人で手を繋いで笑ったことを思い出した。
大雑把なとこもあるけど、小まめに料理や掃除をする時もある。
自分のことはいつも後回しにして優しい母だった。
そんな母が私は大好きだった――――ーーー。
支度が整え終えると、私はスッキリした顔で部屋を出た。
今日は春陽社長の好きな女性に一歩近づけたかな?
ダメ出しの数が1つでも昨日より少なければ自分に〇をつけよう……。
取り合えず、今日は失敗しないように頑張ります。
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