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ラルフside
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「なんだ、あの小さいのは?」
初めてニアを見た時、ラルフは思わず呟いた。
「ああ、ニアのことか。最近配属になってきた子なんだ。」
第二騎士団の事務室長をしているエリックと第二騎士団団長のラルフは、学生時代からの親友だ。
「子どもじゃないのか?」
「あれでも、ニアはれっきとした成人なんだ。」
二人の視線に気がつく様子もなく、ニアという小さいのは、ぱたぱたと事務室内を動き回っている。
「小さすぎないか?」
「小さくてもよく気がつくし、みんなが嫌がる雑用なんかも率先してやってくれるから助かっている。」
見ていると、確かに他の事務官から頼まれごとをされるのも、呼び止められるのも、たいがいその小さいのだ。
「他にも新人が入ったと言っていなかったか?」
「ああ、ノエルのことか。ほら、今まさにお前に熱い視線を送っている、あれだ。」
エリックが顎で指し示す方を見ると、華やかな容姿をした人物と目が合う。なぜだか、仕事をしている感じには見えない。
ラルフに満面の笑みを向けている。
騎士達の間で、事務室に美人がいると噂されていた。
「まさか、騎士達が言っていたのは、あれか?」
「多分な。すごく綺麗な子だろ。仕事はしないし、できないが。」
「仕事をしなくてもいいのか?」
「親が侯爵様だ。縁故みたいなもんさ。」
ノエルはまだラルフに意味深な笑みを送っている。
「ラルフ、狙われてるなあ。」
エリックは面白そうに、くっくっと笑っている。
「やめろ。面白がるな。」
纏わりつくようなノエルの視線から目を逸らすと、相変わらず小さいのがぱたぱたと動いているのが目に入る。
向こうは逆にラルフのことなど、全く目に入っていないようだ。
小さいのに、本当によく働くんだな。
エリックと話している間、ラルフは無意識にニアの動き回る様子を目で追っていた。
「今日の担当誰だった?」
「…ノエル、最悪。」
「うわ、今日はノエルかあ。ニアは?」
「いたけど、違うことしてた。」
「うわあ、ニアが担当してくれるのが一番だよな。ノエルは一番最悪。」
騎士達の雑談がラルフにも聞こえてくる。
ノエルの噂で持ちきりだったのに、いつの間にか噂はニアが中心になっているようだ。
「ノエルさあ、めちゃくちゃ美人だけど、俺たちみたいな下っ端に対する態度と、団長たちに見せる態度違すぎるだろ。」
「わかる。すんげえ、あからさまだよな。」
「それに比べて、ニア、癒やされる…」
「癒されるよなあ。いつ行ってもにこにこ対応してくれるし、人によって態度変えたりしないもんな。」
「よく見ると可愛いくてさ。じわじわくるもんがある。」
「わかるわかる。あの小っさい身体が、なんていうか、ちょっとそそるんだわ。」
「結構狙ってる奴が増えてきたらしいぜ。」
「うわ、もう誰か手をつけたかな?」
ニアは昼になると一人でどこかに消え、帰りは早々に帰宅してしまうと、エリックから聞いている。
すでに、誰かに手をつけられたのか?
特定の人物がいるのか?
騎士はモテる。自分の若い時もそうだが、遊んでいる奴は多い。
純朴そうなニアがそんな奴らに騙されているのではないかと思うと、ラルフは心配になった。
「…おい、団長がこっちを睨んでるぞ。」
「うわ、なんでだ?なんかまずいことでも言ったか?」
騎士達はそそくさと、その場を後にした。
何度か事務室に行くたび、一番先に飛んでくるのはノエルだ。
ニアはラルフのことなど、見向きもしない。
まだニアと直接話したことすらない。
他の騎士とは話すのかと思うと、なんとなくラルフは面白くなかった。
もし本当に、すでに誰かとそうなっているのなら、一言注意しておきたい。
そうだ。これは、親心みたいなものだ。
どの騎士が相手なのか、確かめておいた方がいい。
昼の鐘の音が鳴る。
ラルフは立ち上がると事務室へ向かった。
ノエルに見つからないように、少し離れた所から見ていると、ニアが皆より遅れて事務室から出てきた。
何やら大きな袋を抱えている。
本当に昼間から逢引きでもしてるんじゃないだろうな?
なぜこんなに、イライラするんだ?
ラルフは、ニアの後を追った。
初めてニアを見た時、ラルフは思わず呟いた。
「ああ、ニアのことか。最近配属になってきた子なんだ。」
第二騎士団の事務室長をしているエリックと第二騎士団団長のラルフは、学生時代からの親友だ。
「子どもじゃないのか?」
「あれでも、ニアはれっきとした成人なんだ。」
二人の視線に気がつく様子もなく、ニアという小さいのは、ぱたぱたと事務室内を動き回っている。
「小さすぎないか?」
「小さくてもよく気がつくし、みんなが嫌がる雑用なんかも率先してやってくれるから助かっている。」
見ていると、確かに他の事務官から頼まれごとをされるのも、呼び止められるのも、たいがいその小さいのだ。
「他にも新人が入ったと言っていなかったか?」
「ああ、ノエルのことか。ほら、今まさにお前に熱い視線を送っている、あれだ。」
エリックが顎で指し示す方を見ると、華やかな容姿をした人物と目が合う。なぜだか、仕事をしている感じには見えない。
ラルフに満面の笑みを向けている。
騎士達の間で、事務室に美人がいると噂されていた。
「まさか、騎士達が言っていたのは、あれか?」
「多分な。すごく綺麗な子だろ。仕事はしないし、できないが。」
「仕事をしなくてもいいのか?」
「親が侯爵様だ。縁故みたいなもんさ。」
ノエルはまだラルフに意味深な笑みを送っている。
「ラルフ、狙われてるなあ。」
エリックは面白そうに、くっくっと笑っている。
「やめろ。面白がるな。」
纏わりつくようなノエルの視線から目を逸らすと、相変わらず小さいのがぱたぱたと動いているのが目に入る。
向こうは逆にラルフのことなど、全く目に入っていないようだ。
小さいのに、本当によく働くんだな。
エリックと話している間、ラルフは無意識にニアの動き回る様子を目で追っていた。
「今日の担当誰だった?」
「…ノエル、最悪。」
「うわ、今日はノエルかあ。ニアは?」
「いたけど、違うことしてた。」
「うわあ、ニアが担当してくれるのが一番だよな。ノエルは一番最悪。」
騎士達の雑談がラルフにも聞こえてくる。
ノエルの噂で持ちきりだったのに、いつの間にか噂はニアが中心になっているようだ。
「ノエルさあ、めちゃくちゃ美人だけど、俺たちみたいな下っ端に対する態度と、団長たちに見せる態度違すぎるだろ。」
「わかる。すんげえ、あからさまだよな。」
「それに比べて、ニア、癒やされる…」
「癒されるよなあ。いつ行ってもにこにこ対応してくれるし、人によって態度変えたりしないもんな。」
「よく見ると可愛いくてさ。じわじわくるもんがある。」
「わかるわかる。あの小っさい身体が、なんていうか、ちょっとそそるんだわ。」
「結構狙ってる奴が増えてきたらしいぜ。」
「うわ、もう誰か手をつけたかな?」
ニアは昼になると一人でどこかに消え、帰りは早々に帰宅してしまうと、エリックから聞いている。
すでに、誰かに手をつけられたのか?
特定の人物がいるのか?
騎士はモテる。自分の若い時もそうだが、遊んでいる奴は多い。
純朴そうなニアがそんな奴らに騙されているのではないかと思うと、ラルフは心配になった。
「…おい、団長がこっちを睨んでるぞ。」
「うわ、なんでだ?なんかまずいことでも言ったか?」
騎士達はそそくさと、その場を後にした。
何度か事務室に行くたび、一番先に飛んでくるのはノエルだ。
ニアはラルフのことなど、見向きもしない。
まだニアと直接話したことすらない。
他の騎士とは話すのかと思うと、なんとなくラルフは面白くなかった。
もし本当に、すでに誰かとそうなっているのなら、一言注意しておきたい。
そうだ。これは、親心みたいなものだ。
どの騎士が相手なのか、確かめておいた方がいい。
昼の鐘の音が鳴る。
ラルフは立ち上がると事務室へ向かった。
ノエルに見つからないように、少し離れた所から見ていると、ニアが皆より遅れて事務室から出てきた。
何やら大きな袋を抱えている。
本当に昼間から逢引きでもしてるんじゃないだろうな?
なぜこんなに、イライラするんだ?
ラルフは、ニアの後を追った。
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