19 / 113
第2章
9
しおりを挟む
カイゼルは、自室のバルコニーから、眼下に広がる辺境領を眺めていた。
四方を森に囲まれた中心には、暗闇の中、そこだけ灯がともった辺境領の街並みが見える。
夜に吹く風は、だいぶひんやりとしてきた。
ノックの音に返事をすると、湯浴みを終えたセレンが、入ってくる。
「夕飯も美味かったし、湯浴みをして、だいぶすっきりしたよ。」
「それは、よかった。」
「やはり、ここは落ち着くな。」
「ここに来て、そんなことを言うのはお前ぐらいだ。」
「そうか?まあ、わたしにとっては、落ち着くのだよ。」
バルコニーに置かれた、丸い小さなテーブルの上には、セレンの好む葡萄酒が用意してある。
「ちょうど酒もあることだし、久しぶりの親友との再会に乾杯しようじゃないか。」
セレンは機嫌よく、2つのグラスに葡萄酒を注ぐと、その1つをカイゼルに渡す。
2人は静かに、酒を酌み交わし始めた。
四方を森に囲まれた中心には、暗闇の中、そこだけ灯がともった辺境領の街並みが見える。
夜に吹く風は、だいぶひんやりとしてきた。
ノックの音に返事をすると、湯浴みを終えたセレンが、入ってくる。
「夕飯も美味かったし、湯浴みをして、だいぶすっきりしたよ。」
「それは、よかった。」
「やはり、ここは落ち着くな。」
「ここに来て、そんなことを言うのはお前ぐらいだ。」
「そうか?まあ、わたしにとっては、落ち着くのだよ。」
バルコニーに置かれた、丸い小さなテーブルの上には、セレンの好む葡萄酒が用意してある。
「ちょうど酒もあることだし、久しぶりの親友との再会に乾杯しようじゃないか。」
セレンは機嫌よく、2つのグラスに葡萄酒を注ぐと、その1つをカイゼルに渡す。
2人は静かに、酒を酌み交わし始めた。
18
お気に入りに追加
746
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
記憶喪失の君と…
R(アール)
BL
陽は湊と恋人だった。
ひねくれて誰からも愛されないような陽を湊だけが可愛いと、好きだと言ってくれた。
順風満帆な生活を送っているなか、湊が記憶喪失になり、陽のことだけを忘れてしまって…!
ハッピーエンド保証
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる