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第二章 宿屋の経営改善
リーマンショックがありました
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もっとも、あてにしていた資産が「これぐらいは稼ぎ出すはず」という前提が崩れると、大損をすることもある。
いわゆる「リーマンショック」はこの証券化商品が産み出した悲劇だ。
リーマンショックを引き起こした証券化商品の大半は、アメリカの住宅ローン債権が資産となっていた。
つまり、家を買うためにお金を借りた人たちから返済されるお金を受け取る権利が販売されていたわけである。
しかし、実はこの住宅ローンを借りている人たちがあまり裕福ではないどころか、むしろ中流以下の階層が数多く混じっていた。
いわゆる「サブプライムローン」と呼ばれており、ニュースなどで耳にした人も多いのではないだろうか。
つまり、ちょっとしたことで返済できなくなるようなとんでもない不良債権も数多く紛れ込んでいたわけだ。
もっとも、返済できなくてもローンで建てた家を売り、そのお金でローンの残額を支払う契約になっていたから、本来は安全なはずだった。
これらの商品が登場したころは、アメリカの住宅市場は好景気で、年々家の価格は上がり続けていたのである。
こうした情勢も後押しし、本来であればローンの審査が通らないような人たちにも、ガンガン貸しつけてしまったのだ。
しかし、いったんほころびが生じれば、破綻はあっという間だった。
2006年ごろからローンの金利が上昇し、返済できなくなる人が少しずつ現れ始めると、契約に従って家がどんどこ売却されはじめた。
そうなると家の中古市場に大量の物件が流入し、結果として家の市場価格は暴落することになる。
なんであれ、大量に供給されてしまうと値段は下がるものだからだ。
ましてや車やパソコンと違って、中古の家はそう簡単に売れるものではない。
こうなると悪循環だ。
家が売れなくなれば、価格はますます下がる。
一刻も早く現金に換えたいと焦る売り手が、どんどん値下げしてしまうからである。
価格が下がると、当然ながら家の担保としての価値が下がるわけだから、ローンの金利はますます上がる。
そうして次々とローンが返済できない上に家を売っても借金を返し終わらないという人々が増えて行く。
そうなると、証券化商品はどうしようもない。
本来入ってくるはずのローンの返済金も家の売却代金も入ってこないのでは、証券を買った人に1円だって払うことはできない。
基本的に、証券化された資産が持つキャッシュフロー、つまり現金を獲得する手段以外には、お金の入り口がないのである。
こうして多くの証券化商品が紙くず同然となり、これを購入していた人々は大損を被ることになった。
大手の証券会社でさえも回復不能の大ダメージを受け、他者に合併されるなどして、歴史の波間に消えていった。
ちなみに「リーマンショック」の「リーマン」とは、かつて我が世の春を謳歌したアメリカを代表する投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の名前に由来している。
2008年に総額64兆円という空前絶後の巨大な負債を抱え、米連邦裁判所に倒産法申請を行い、結果として史上有数の金融危機を引き起こし、悪名を残すことになった。
とにかく、証券化するには裏付けとなる資産の安定性が第一だが、現時点の「ミストラル」にそれを求めることはかなり厳しいだろう。
「証券化」は現状安定稼働している資産を現金に換えるための手段であって、窮地に陥っている資産をどうこうはできないという弱点がある。
さらに言うと、証券化商品は多くの投資家に買ってもらうことが前提の仕組みなので、ファサド一人にお願いするのなら他にもっといい手法がありそうな気もする。
いわゆる「リーマンショック」はこの証券化商品が産み出した悲劇だ。
リーマンショックを引き起こした証券化商品の大半は、アメリカの住宅ローン債権が資産となっていた。
つまり、家を買うためにお金を借りた人たちから返済されるお金を受け取る権利が販売されていたわけである。
しかし、実はこの住宅ローンを借りている人たちがあまり裕福ではないどころか、むしろ中流以下の階層が数多く混じっていた。
いわゆる「サブプライムローン」と呼ばれており、ニュースなどで耳にした人も多いのではないだろうか。
つまり、ちょっとしたことで返済できなくなるようなとんでもない不良債権も数多く紛れ込んでいたわけだ。
もっとも、返済できなくてもローンで建てた家を売り、そのお金でローンの残額を支払う契約になっていたから、本来は安全なはずだった。
これらの商品が登場したころは、アメリカの住宅市場は好景気で、年々家の価格は上がり続けていたのである。
こうした情勢も後押しし、本来であればローンの審査が通らないような人たちにも、ガンガン貸しつけてしまったのだ。
しかし、いったんほころびが生じれば、破綻はあっという間だった。
2006年ごろからローンの金利が上昇し、返済できなくなる人が少しずつ現れ始めると、契約に従って家がどんどこ売却されはじめた。
そうなると家の中古市場に大量の物件が流入し、結果として家の市場価格は暴落することになる。
なんであれ、大量に供給されてしまうと値段は下がるものだからだ。
ましてや車やパソコンと違って、中古の家はそう簡単に売れるものではない。
こうなると悪循環だ。
家が売れなくなれば、価格はますます下がる。
一刻も早く現金に換えたいと焦る売り手が、どんどん値下げしてしまうからである。
価格が下がると、当然ながら家の担保としての価値が下がるわけだから、ローンの金利はますます上がる。
そうして次々とローンが返済できない上に家を売っても借金を返し終わらないという人々が増えて行く。
そうなると、証券化商品はどうしようもない。
本来入ってくるはずのローンの返済金も家の売却代金も入ってこないのでは、証券を買った人に1円だって払うことはできない。
基本的に、証券化された資産が持つキャッシュフロー、つまり現金を獲得する手段以外には、お金の入り口がないのである。
こうして多くの証券化商品が紙くず同然となり、これを購入していた人々は大損を被ることになった。
大手の証券会社でさえも回復不能の大ダメージを受け、他者に合併されるなどして、歴史の波間に消えていった。
ちなみに「リーマンショック」の「リーマン」とは、かつて我が世の春を謳歌したアメリカを代表する投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の名前に由来している。
2008年に総額64兆円という空前絶後の巨大な負債を抱え、米連邦裁判所に倒産法申請を行い、結果として史上有数の金融危機を引き起こし、悪名を残すことになった。
とにかく、証券化するには裏付けとなる資産の安定性が第一だが、現時点の「ミストラル」にそれを求めることはかなり厳しいだろう。
「証券化」は現状安定稼働している資産を現金に換えるための手段であって、窮地に陥っている資産をどうこうはできないという弱点がある。
さらに言うと、証券化商品は多くの投資家に買ってもらうことが前提の仕組みなので、ファサド一人にお願いするのなら他にもっといい手法がありそうな気もする。
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