元銀行員の俺が異世界で経営コンサルタントに転職しました

きゅちゃん

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第一章 武器屋の経営改善

ダッチオークション式セールに挑むようです

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楽しく飲み食いした翌日、俺は少し早めに出勤して明日からのセールの宣伝を準備することにした。
街の大半の人から忘れてさられているであろうアレク武器店を、改めて記憶に残してもらえるような、そんな面白いセールにしたい。

ただ割り引くのでは面白くないし、安売り店という印象を与えかねない。
あくまでも新装開店の記念ということで、特別感のあるセールにする必要がある。

割引セールというものは本当に麻薬で、売上は作れるから、乱発してしまう経営者も多い。
例えば某有名ドーナツチェーンなんか、100円セールをやりすぎて、100円のときしか買わないというお客も多いはずだ。
売上増に釣られてセールを乱発すれば、お客さんも「定価で買うのは馬鹿馬鹿しい」と考えるようになる。
セールのときしか買わないお客が増えれば、セールをやるしかなくなり、そうなると普通の値段でますます売れなくなる…
そうして体力がすり減っていきジリ貧になる、という事例は銀行員時代の勉強で読んだビジネス本でも紹介されていた。
あくまでも切り札として、ここぞというときに使うカード、それがセールだと俺は思う。

で、実は、昨日帰宅途中で思いついたアイデアがあったので、それを試してみようと考えている。
まぁ思いついたというよりは、思い出したというのが正しいけど。
ずばり、「ダッチオークション式セール」だ。

ダッチオークションとは、徐々に値上がりする普通のオークションとは逆に、「徐々に値段が下がっていく」オークションのことだ。
これは通常のオークションよりも早く落札されると言われている。
もちろんオークションをやるのは大変なので、特定のセール品の値段を毎日下げていく、という形式にしてみる。

これによって「もっと下がるかも…でも売れちゃうかも…」というジレンマが発生し、お客さんが思い切って買いやすくなる。
ちょっとしたゲーム感覚で、「明日残っていたら買おうかな」というように、毎日足を運んでもらえる可能性も高くなるのだ。
元の世界で某有名衣料チェーンがやっているのをふと思い出し、この世界でも使えるんじゃないかと考えた。

じいさんに相談すると、すぐに大賛成してくれる。

「サコン、お主本当に面白いことをおもいつくな」

「まぁ、スキルというか…元の世界のおかげですから。それで、紙や木の板を何枚かもらってもいいですか?」

「紙はそこの棚にしまってあるし、木の板は裏の倉庫にたくさん転がっておるよ。好きなだけ使ってくれ」

「ありがとうございます」

セールを告知する看板や、ダッチオークション式セールを説明するPOPを作るのだ。
客商売において、何をするにしても事前の告知は必須である。

知らなければ、お客さんも来ようがない。
百貨店やショッピングセンターみたいに、ほっといてもたくさん人が来るなら話は別だけど。
アレク武器店のように開店休業状態だった店は、それこそほうっておくと通りすがりの人しか来ないだろう。
それじゃセールも盛り上がらないし、売上も増えないだろう。

まずはセールのお知らせ看板を作ることにする。
期間は…そうだな、まずは3日間ほどでいいだろう。
長すぎてもだれるだけだし、短いとダッチオークションで値下がりする面白さが減る。
異世界の文字はまだそれほど自信がないが、とりあえずは下書きだ。

「アレク武器店 新装開店記念感謝祭 明日より開催!
在庫一掃します。
掘り出し物が毎日安くなる!?

対象品:大剣、ポールアックス、トライデントなど多数、詳しくは店内へ!

1日目 2割5分引き
2日目 5割引き
3日目 7割5分引き

売り切れ御免!
その他多数お得な商品あり。」

内容はこんなもんだろうか。
本当はデザイナーに頼みたいところなんだが…
清書は、じいさんかリーシャに頼んでみることにしよう。
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