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第一章 武器屋の経営改善
量販店を視察していたら美少女に怒られたようです
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「アスタロス」は、エンドラとは違い、間口の広い大型のお店だった。
所狭しと雑多に武器が並べられ、大勢の人で賑わっている。
「なるほど、量販店タイプか…」
エンドラより価格帯は低く、より大衆向けのお店という意味で、アレク武器店にとってはむしろこちらが脅威だ。
顧客層は冒険者や下級軍人らしい男性がほとんどで、女性や貴族の姿はまったく無い。
店員もそこそこの人数がいるが、全員が品出しや在庫の整理に追われており、とてもオススメを聞いたりできる雰囲気ではなかった。
「アスタロスは目的買いの男性客中心…と」
買い物には主として2つのタイプがあり、明確に目的が決まっていてそれを買う「目的買い」と、なんとなくその場の欲求で買ってしまう「衝動買い」がある。
「目的買い」の代表は日用品や食料品で、スーパーでの買い物なんかはまさにこれだ。
「衝動買い」は誰しも経験があると思うが、ウィンドウショッピングやネット通販サイトでなんとなく見ていたら、思わず買っていた…というアレだ。
買い物として楽しいのはもちろん後者なのは言うまでもない。
ま、後悔することも多いんだが…。
「アスタロス」は完全に目的買い系のお店で、自分で商品を探して自分で持っていき、ちゃちゃっと会計を済ませるのが流儀だろう。
その分価格も安いし、エンドラとは違って質実剛健、丈夫さが売りの商品がほとんどだ。
品揃えも、とにかく何でもあるという感じで、流行を追う様子はない。
長剣もあるし、大剣もあるし、モーニングスターやナックルといったややマイナーっぽい武器も一通り揃っているようだ。
ということは、アレク武器店の生き残るポイントはそこにあるかもしれない。
「目的買い」系の店として「アスタロス」との競争に巻き込まれるよりは、買い物好きの女性や一般市民をターゲットにする「衝動買い」系の店として勝負する。
「衝動買い」系と言ってしまうと言葉が悪いが、要は「楽しく買い物ができるお店」を目指すのがいいんではないか。
高級店のエンドラ、量販店のアスタロス、そして個性派専門店としてのアレク、という図式だ。
「…よし、構想は見えたぞ」
そう頷いて店を立ち去ろうとすると、鋭い声で呼び止められた。
「ちょっとそこのアンタ!待ちなさいよ」
「えっ…」
驚いて振り返ると、品の良い絹のドレスをさらりと着こなした美しい少女が俺を睨み据えていた。
後ろには武装した従者を2人も従えている。
どこぞの貴族か豪商の娘に見えるが…。
うーん、俺何か怒られるようなことしたっけな。
「アンタ、さっきうちの店でじろじろ見てたでしょ。…そんでこんどはアスタロスもご視察?」
「え、いや、武器が好きで…」
「ふん、ごまかされないわよ。武器が好きならなんで一度も商品を手に取らないの?」
「そ、それは」
痛いところを突かれる。
うちの店、ってことはエンドラの関係者だろうか。
「アンタは品揃えとか棚の配置とかお客さんとかそんなもんばっかりじろじろ見てるじゃない。どう考えてもどこかの武器屋のスパイね」
これは見事な洞察だ。
脱帽するしか無い。
俺は素直に頭を下げた。
「いや…別に悪意は無かったんだが、たしかにあんたの言うとおり、俺はアレク武器店の者だ。お店の参考になればと思って見ていただけなんだが、迷惑だったなら謝るよ」
所狭しと雑多に武器が並べられ、大勢の人で賑わっている。
「なるほど、量販店タイプか…」
エンドラより価格帯は低く、より大衆向けのお店という意味で、アレク武器店にとってはむしろこちらが脅威だ。
顧客層は冒険者や下級軍人らしい男性がほとんどで、女性や貴族の姿はまったく無い。
店員もそこそこの人数がいるが、全員が品出しや在庫の整理に追われており、とてもオススメを聞いたりできる雰囲気ではなかった。
「アスタロスは目的買いの男性客中心…と」
買い物には主として2つのタイプがあり、明確に目的が決まっていてそれを買う「目的買い」と、なんとなくその場の欲求で買ってしまう「衝動買い」がある。
「目的買い」の代表は日用品や食料品で、スーパーでの買い物なんかはまさにこれだ。
「衝動買い」は誰しも経験があると思うが、ウィンドウショッピングやネット通販サイトでなんとなく見ていたら、思わず買っていた…というアレだ。
買い物として楽しいのはもちろん後者なのは言うまでもない。
ま、後悔することも多いんだが…。
「アスタロス」は完全に目的買い系のお店で、自分で商品を探して自分で持っていき、ちゃちゃっと会計を済ませるのが流儀だろう。
その分価格も安いし、エンドラとは違って質実剛健、丈夫さが売りの商品がほとんどだ。
品揃えも、とにかく何でもあるという感じで、流行を追う様子はない。
長剣もあるし、大剣もあるし、モーニングスターやナックルといったややマイナーっぽい武器も一通り揃っているようだ。
ということは、アレク武器店の生き残るポイントはそこにあるかもしれない。
「目的買い」系の店として「アスタロス」との競争に巻き込まれるよりは、買い物好きの女性や一般市民をターゲットにする「衝動買い」系の店として勝負する。
「衝動買い」系と言ってしまうと言葉が悪いが、要は「楽しく買い物ができるお店」を目指すのがいいんではないか。
高級店のエンドラ、量販店のアスタロス、そして個性派専門店としてのアレク、という図式だ。
「…よし、構想は見えたぞ」
そう頷いて店を立ち去ろうとすると、鋭い声で呼び止められた。
「ちょっとそこのアンタ!待ちなさいよ」
「えっ…」
驚いて振り返ると、品の良い絹のドレスをさらりと着こなした美しい少女が俺を睨み据えていた。
後ろには武装した従者を2人も従えている。
どこぞの貴族か豪商の娘に見えるが…。
うーん、俺何か怒られるようなことしたっけな。
「アンタ、さっきうちの店でじろじろ見てたでしょ。…そんでこんどはアスタロスもご視察?」
「え、いや、武器が好きで…」
「ふん、ごまかされないわよ。武器が好きならなんで一度も商品を手に取らないの?」
「そ、それは」
痛いところを突かれる。
うちの店、ってことはエンドラの関係者だろうか。
「アンタは品揃えとか棚の配置とかお客さんとかそんなもんばっかりじろじろ見てるじゃない。どう考えてもどこかの武器屋のスパイね」
これは見事な洞察だ。
脱帽するしか無い。
俺は素直に頭を下げた。
「いや…別に悪意は無かったんだが、たしかにあんたの言うとおり、俺はアレク武器店の者だ。お店の参考になればと思って見ていただけなんだが、迷惑だったなら謝るよ」
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