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5年生5月
みかんちゃんのテトリちゃん(中)
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「わたしはみかんです。はじめまして」
わたしもそうあいさつをすると、響香ちゃんは驚いたようでした。
「えっ!?もしかして魔法使いのみかんちゃんですか?」
「うん、そうだよ」
名前を知られていたことにびっくりしたけれど、わたしはうなずきました。
すると響香ちゃんはわかるように教えてくれました。
「わたし、みかんちゃんと同じ雪湖小学校に通ってる、2年4組の時鳴響香です。
みかんちゃんは学校で人気あるし、有名だから、入学した時から知ってます。
今日はいつもと髪型が違うから、すぐにはわからなかったけど」
あ、そうだね。
今はリリーちゃんの言葉がわかるように、カチューシャにしているから。
こうやってカチューシャを付ける時以外は、わたしはいつもオレンジ色のボンボンで、上に小さく2つに結っています。動物の耳みたいにしているんだよ。
まだわたしが動物とお話ができない幼稚園の時に、お母さんがこの髪型を作ってくれました。
動物のみんなとお揃いみたいで、とってもお気に入りなんです。
ピッグテールというみたい。
それからボンボンはみかんの実みたいで、わたしがみかんだよってわかりやすいかなって思って。
2年生になった時からずっとこれを付けています。
「でもみかんちゃんは、髪の毛も瞳の色も薄いから、すぐにわかりそうなのになあ」
そう響香ちゃんは付け加えます。
そういわれるように、わたしの髪の毛はみんなより明るい茶色で、瞳はもっと明るいオレンジ色をしています。
だからわたしの名前は「みかん」なんだよ。
魔法使いは、この瞳の色で名前を付けられることが多いそうです。
お母さんはわたしと同じ色の髪の毛で、赤い瞳をしています。
不思議そうな顔をしている響香ちゃんに、わたしは答えます。
「リリーちゃんのことに一生懸命だったからだよ」
それにしてもリリーちゃんの時も今も、知らないうちに、わたしはたくさんの人に名前が知られているんだなあって実感しました。
そううなずいていると、響香ちゃんは後ろにいるお母さんのことを聞きました。
「一緒に来たのは、みかんちゃんのお母さん?」
「うん。そうだよ」
お母さんはそんなわたし達を見て、笑っています。
そんな時、この家におじさんが駆けてきました。
めがぬをかけている優しそうな人です。
響香ちゃんのお父さんの告さんかな。
その人は最初、わたしとお母さんがいることに少し驚いたみたいでした。
でも響香ちゃんに抱かれているリリーちゃんを見つけて、うれしそうな顔になりました。
ほっと一息をつきます。
「よかった!リリーは見つかったのか」
「お父さん、大丈夫?」
息をきらせているお父さんを、響香ちゃんは心配して聞きます。
「ああ。大丈夫だよ」
そう返事をしてから、告さんはわたし達に向き直って聞きました。
「あなた方がリリーを見つけてくださったんですか?」
そんなお父さんに、響香ちゃんは強く説明します。
「それだけじゃないよ。お父さん!
怪我をしていたリリーちゃんを、ずっと預かっていてくれたんだから」
そう聞くと、告さんは頭を下げていいました。
「リリーを本当にありがとうございました。
法事だったもので抜けるわけにはいかなくて、数日ならと、警察に届けを出していただけだったんです。
家の方にちゃんと帰ってきてくれていてよかった」
そう深く息をつきます。
リリーちゃんをすぐに捜せなかったことを、告さんは後悔しているみたいでした。
法事って何だかわたしにはわからないけど、とっても大切な用みたいだね。
そんな告さんに、お母さんがいいました。
「そういう用事なら仕方ないですよ。
リリーちゃんもこうして元気だし、そんなに気にしないでください」
リリーちゃんも響香ちゃんの手から降りて、告さんのところに行くといいました。
「そうよ、告さん。私が勝手にみんなから離れたのがいけなかったんだもの。
告さんが謝ることないわ。
それにおかげで、みかんちゃんやいちごさんに会えたし、私は楽しかったの」
そんなリリーちゃんの頭をなでて、告さんは謝りました。
「リリー、本当にごめんな」
それから家を振り返って、大きな声で呼びました。
「おーい、晴香!リリーが見つかったぞ!」
するとすぐに、家の中からおばさんが出てきました。
響香ちゃんのお母さんも優しそうな人です。
肩までの髪の毛はウェーブがかかっています。
わたしのお母さんは、まっすぐな髪の毛をいつも1つに結っているんだよ。
今度は告さんがわたし達のことを説明してくれました。
「晴香、こちらのお嬢さん達がリリーを預かっていてくれたんだそうだ」
すると晴香さんは安心して、そして喜びました。
「まあ!本当にありがとうございます。
響香が毎日捜しに行きたいっていうし、私達もこの4日とても気になっていたんです。無事でよかったわ。
リリーちゃんの様子から、とても親切にしてもらっていたのがわかります。
ぜひお礼をしたいのですが」
そうわたし達に笑っていう晴香さん。
でもお母さんは気を使っていいました。
「いえ。今は帰ってきたばかりで、疲れているんじゃないですか?」
そういわれてみると、確かに晴香さんも疲れているように見えます。
長い間お出掛けをしていた後に、リリーちゃんを捜していたんだもんね。
その言葉に、晴香さんはうなずきました。
「そうですね。
では今度改めてお茶会を開きたいので、ぜひ来て下さい。
準備ができたらご招待します。」
今度はお母さんも笑ってうなずきます。
「はい。みかんと一緒にぜひ伺います」
「じゃあみかんちゃん、待ってるね」
その話にうれしそうな響香ちゃんに、わたしも笑って答えました。
「うん。これからよろしくね。響香ちゃん」
「こちらこそよろしくお願いします」
そう響香ちゃんとお友達になれました。
お茶会の約束も楽しみです。
わたしもそうあいさつをすると、響香ちゃんは驚いたようでした。
「えっ!?もしかして魔法使いのみかんちゃんですか?」
「うん、そうだよ」
名前を知られていたことにびっくりしたけれど、わたしはうなずきました。
すると響香ちゃんはわかるように教えてくれました。
「わたし、みかんちゃんと同じ雪湖小学校に通ってる、2年4組の時鳴響香です。
みかんちゃんは学校で人気あるし、有名だから、入学した時から知ってます。
今日はいつもと髪型が違うから、すぐにはわからなかったけど」
あ、そうだね。
今はリリーちゃんの言葉がわかるように、カチューシャにしているから。
こうやってカチューシャを付ける時以外は、わたしはいつもオレンジ色のボンボンで、上に小さく2つに結っています。動物の耳みたいにしているんだよ。
まだわたしが動物とお話ができない幼稚園の時に、お母さんがこの髪型を作ってくれました。
動物のみんなとお揃いみたいで、とってもお気に入りなんです。
ピッグテールというみたい。
それからボンボンはみかんの実みたいで、わたしがみかんだよってわかりやすいかなって思って。
2年生になった時からずっとこれを付けています。
「でもみかんちゃんは、髪の毛も瞳の色も薄いから、すぐにわかりそうなのになあ」
そう響香ちゃんは付け加えます。
そういわれるように、わたしの髪の毛はみんなより明るい茶色で、瞳はもっと明るいオレンジ色をしています。
だからわたしの名前は「みかん」なんだよ。
魔法使いは、この瞳の色で名前を付けられることが多いそうです。
お母さんはわたしと同じ色の髪の毛で、赤い瞳をしています。
不思議そうな顔をしている響香ちゃんに、わたしは答えます。
「リリーちゃんのことに一生懸命だったからだよ」
それにしてもリリーちゃんの時も今も、知らないうちに、わたしはたくさんの人に名前が知られているんだなあって実感しました。
そううなずいていると、響香ちゃんは後ろにいるお母さんのことを聞きました。
「一緒に来たのは、みかんちゃんのお母さん?」
「うん。そうだよ」
お母さんはそんなわたし達を見て、笑っています。
そんな時、この家におじさんが駆けてきました。
めがぬをかけている優しそうな人です。
響香ちゃんのお父さんの告さんかな。
その人は最初、わたしとお母さんがいることに少し驚いたみたいでした。
でも響香ちゃんに抱かれているリリーちゃんを見つけて、うれしそうな顔になりました。
ほっと一息をつきます。
「よかった!リリーは見つかったのか」
「お父さん、大丈夫?」
息をきらせているお父さんを、響香ちゃんは心配して聞きます。
「ああ。大丈夫だよ」
そう返事をしてから、告さんはわたし達に向き直って聞きました。
「あなた方がリリーを見つけてくださったんですか?」
そんなお父さんに、響香ちゃんは強く説明します。
「それだけじゃないよ。お父さん!
怪我をしていたリリーちゃんを、ずっと預かっていてくれたんだから」
そう聞くと、告さんは頭を下げていいました。
「リリーを本当にありがとうございました。
法事だったもので抜けるわけにはいかなくて、数日ならと、警察に届けを出していただけだったんです。
家の方にちゃんと帰ってきてくれていてよかった」
そう深く息をつきます。
リリーちゃんをすぐに捜せなかったことを、告さんは後悔しているみたいでした。
法事って何だかわたしにはわからないけど、とっても大切な用みたいだね。
そんな告さんに、お母さんがいいました。
「そういう用事なら仕方ないですよ。
リリーちゃんもこうして元気だし、そんなに気にしないでください」
リリーちゃんも響香ちゃんの手から降りて、告さんのところに行くといいました。
「そうよ、告さん。私が勝手にみんなから離れたのがいけなかったんだもの。
告さんが謝ることないわ。
それにおかげで、みかんちゃんやいちごさんに会えたし、私は楽しかったの」
そんなリリーちゃんの頭をなでて、告さんは謝りました。
「リリー、本当にごめんな」
それから家を振り返って、大きな声で呼びました。
「おーい、晴香!リリーが見つかったぞ!」
するとすぐに、家の中からおばさんが出てきました。
響香ちゃんのお母さんも優しそうな人です。
肩までの髪の毛はウェーブがかかっています。
わたしのお母さんは、まっすぐな髪の毛をいつも1つに結っているんだよ。
今度は告さんがわたし達のことを説明してくれました。
「晴香、こちらのお嬢さん達がリリーを預かっていてくれたんだそうだ」
すると晴香さんは安心して、そして喜びました。
「まあ!本当にありがとうございます。
響香が毎日捜しに行きたいっていうし、私達もこの4日とても気になっていたんです。無事でよかったわ。
リリーちゃんの様子から、とても親切にしてもらっていたのがわかります。
ぜひお礼をしたいのですが」
そうわたし達に笑っていう晴香さん。
でもお母さんは気を使っていいました。
「いえ。今は帰ってきたばかりで、疲れているんじゃないですか?」
そういわれてみると、確かに晴香さんも疲れているように見えます。
長い間お出掛けをしていた後に、リリーちゃんを捜していたんだもんね。
その言葉に、晴香さんはうなずきました。
「そうですね。
では今度改めてお茶会を開きたいので、ぜひ来て下さい。
準備ができたらご招待します。」
今度はお母さんも笑ってうなずきます。
「はい。みかんと一緒にぜひ伺います」
「じゃあみかんちゃん、待ってるね」
その話にうれしそうな響香ちゃんに、わたしも笑って答えました。
「うん。これからよろしくね。響香ちゃん」
「こちらこそよろしくお願いします」
そう響香ちゃんとお友達になれました。
お茶会の約束も楽しみです。
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