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第一章

5話フォリストワの助けがとんでもない

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「フォリストワ様、大好きなローズの香りのティーをお持ちしました」

「ありがとう、アラベラ。ねぇ、アラベラ…、シェルはどこにいるの?何しているの?」

「あ!えっと、それはですね。シェルミラン様は今はある方とお会いしておりまして…」

「シェルに手紙が来たんでしょう。僕、ハンナから聞いたよ。それで今日、その手紙の主様とお話ししているのでしょう?」

まだ青色のルームウェアでベッドに座っているフォリストワは、真剣な面持ちでアラベラに言う。フォリストワの言葉に目を泳がせるアラベラ。フォリストワは何かを見透かしベッドの横に足を垂らして、戸惑っているアラベラを見つめる。

「ねぇ、アラベラ。僕に言えないことなの?教えてよ。僕の大事な妹と面会している者は誰?」

「フォリストワ様…」

「それと、何でアラベラはシェルの横で防衛の侍女として立っていないの?アラベラは僕たちの盾の務めでしょ」

フォリストワは今にも怒りたい気持ちを抑えて、アラベラをただ見つめ、落ち着いた口調で言う。
アラベラはそんなフォリストワを見て、もっと隠したい気持ちを持った。そして、口をつぐみがちに小声で言った。

「…そ、それは」

「ねぇ!」

それでも隠し通そうとするアラベラの様子を見たフォリストワは癇(かん)にさわり、感情的に声を荒げ、憤慨した気持ちを抱いた。
綺麗な色白のフォリストワの顔が朱に染まる。アラベラはフォリストワの感情を乱した姿を見て、意を決し言った。


•*¨*•.¸¸☆*・゚


「話し込み中に失礼します」

モルアロディレ国の一人息子であるメイソンと2人っきりで話し始めた時に、男の子が少し声を高めにしたような声がお広間に響いた。でも、その声はとても可愛く、綺麗な声だった。

僕を見つめていたメイソンが声がしたドアに目を向け、僕から目を離した。美女にしか目を向けないような口調をしていたメイソンが目を離したっていうことは、シェルよりも綺麗な女の子を見つけたと言うことか?

僕は少し、心の不安なことから和らぐことができた。そして、メイソンが見ている後ろに体を向かせ、見た。

すると、そこには青色に輝く、とても豪華なドレスを着た美人な少女がドレスの両端を上品につまんでお辞儀した。髪の毛はフォリストワと同じ色の胡桃色(くるみいろ)の長い髪を後ろに結ってある。ピンク色のドレスの僕より大人っぽさが漂っていた。

「だ、誰だ??少女はシェルミラン様だけなはずなんだが…。カーテシー挨拶する美人がもう1人いるなんて、僕は聞いたことないぞ」

やっぱり、あの少女は美人なんだな。メイソンは美人好きなキャラなはず。可愛いシェルより美人が好みだ。メイソンは美人な少女に気を取られていた。
美人な少女が僕たちの方へとコツンコツンとサンダルの音を立てて近づいてきた。

メイソンは僕を誘おうとしていた姿勢をやめ、さっきのことは何も無かったかのように緑色の蝶ネクタイを整え、背筋を伸ばした。

そして、美人な少女は僕たちの横の間に来て立ち止まり、メイソンを見た。
メイソンは顔を赤らめ、茶髪な髪の毛を整える。

「あの、姫が欲しいのならばわたくしをお選びにしたらいいのではないでしょうか。わたくしはシェルよりも歳が上なので、メイソン様のお年齢にも近いですよ」

「そ、そ、そうなのですか!」

美人な少女は、どこか澄ました顔で見つめる。メイソンは少女に見惚れ言葉を噛み、声が裏返りながらも応えた。

この女の子、僕のことシェルって呼んだよね?あれ、聞き違いかな。よく見たら、フォリストワにも見えなくもない気が…。あれ…。メイソンが言ったように、シェルには女兄弟なんていないし。僕は、シェル以外の女の子には心が揺さぶれない。僕はメイソンみたく心を乱さずに綺麗な少女を見た。

「こちらで話しは聞いております。メイソン様はシェルを取りに来たのでしょう?それはわたくしが許しません」

少女は、どこか敵視した目でガツンと言った。メイソンは少女の口から出る言葉をどんな言葉でも目がハートになるくらいときめかして聞き入っている。そして、スパッと応えた。

「許しません…。はい!」

メイソンは少女の言った言葉を噛み締めるかのように自分でも言って、笑顔で勢いよく返事をした。

「本当に許しませんよ」

そんなメイソンの様子を見た少女は心ここに在らずとした、鋭い目でメイソンに睨む。そんな目を向けてきた少女にメイソンはゾッとして、応えた。

「許さない…、ちょっと待って。どういうことだ!でも、貴方様は貰ってもいいってことですよね?」

メイソンは慌てて早口に聞き返した。

「はい、シェルを持っていくのは許しませんが、わたくしはいいです」

「ほうほう」

少女は聖霊的な潔白な顔つきでメイソンに言う。メイソンはその言葉を聞いて、胸を撫で下ろした気持ちで返事をした。

少女はどこか悲しげに目を伏せる。ポツリと涙を零しながら、僕に目を向けた。

「シェル…、逃げて……。僕のことはどうでもいいから」

と小声で言う。その声はフォリストワの声だった。

僕はえ!と困惑した顔を浮かべた。椅子から立ち上がろうとしない僕を少女は、僕の右手を引っ張り立ち上がらせられ、背中を押された。

ー「シェル、早く逃げて!早く…!」

フォリストワの声が耳元で囁かれ、僕はこの少女はフォリストワだと気付いた。

えぇ!でも、何で……!
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