僕は悪役令嬢に転生しましたが何か?

優木王

文字の大きさ
上 下
5 / 8
第一章

4話メイソンとのお茶会

しおりを挟む
ーガシャンッ

と馬車が止まる音がして、僕は部屋の窓から、顔を出して見た。すると、そこにはとても豪華な白色の馬車が来ていて、馬車から本から出てくるような格好した少年が出てきた。フォリストワよりかは上かな。

もしかして、あの子が………。

その少年は色白で太陽の光に照らされた頬がとても輝いて見えた。そして、少年は視線を感じ取ったのか僕の方を向いた。そして、僕はバチッと少年と目が合った。
少年はとても綺麗な歯で涼やかに笑顔を向けてきた。僕は、なんだかゾワッとした。イケメンはどいつもこいつも、あんな笑顔を見せるんだよな。僕の前世で、僕は誰かと目が合っても笑顔を向けたことがない。そう、僕は冷たいんだ。…きっと、だから僕はからかわれていたんだ。あぁ、嫌な前世を思い出しちゃった。…くそ、イケメンめ!

「シェル?窓からそんな形相な顔して何を見ているの?何かあった?」

「あぁ、フォリストワお兄様…、何もありませんわ。私はただ…、イケメンを……」

「イケメン?」

「その…、イケメンを睨んだだけですの」

「イケメンってなぁに?」

フォリストワはキョトンとした顔で僕を見つめる。どうやら、この世界にはイケメンと言う言葉は存在しないらしい。ま、その方がいいか。僕は、コホンと口元に手をやって咳払いをした。


•*¨*•.¸¸☆*・゚


ーコンコンッ

とドアがノックされ、勢いよく開かれた。

「シェルミラン様!メイソン様いらっしゃりましたよー!今、ハンナがお出迎えらしたところです!シェルミラン様、心のお準備をして下さい!ま、まずはヒュオーーーーッ!フゥーーーーッ………」

アラベラは急いで、そう言った。それと同時にとんでもなく息を吸って、吐いて、息を止めた。僕は驚いた。

「ちょっ、ちょっと…、アラベラ何やってるのよ!」

「シェルミラン様、ドキドキしているでしょ。ですので、まずはここで大きく深呼吸して下さい!」

何だ、そういう事か。僕はてっきり、アラベラが壊れたのかと思ったよ。でも、やっぱり、あの子はメイソンか…。

「え、えぇ。ドキドキしているけど…」

「それに、シェルミラン様!お気を付けて下さいよ!メイソン様はモルアロディエ国のマルロイダ家の一人息である、第一王子なのですから!あの手紙の文章も気を付けないと…。シェルミラン様のお身体が襲われでもしたら、わたくし心配でなりません!」

「わかったわ。お気遣いありがとう、アラベラ」

僕は、眉尻を下げて心配気な顔を浮かべて僕を見つめるアラベラにそう告げた。
僕は、一時止まって考えた。ゲーム内にやっぱり、メイソンは思い出せない。いたっけな…。モブだったっけ。モブでもあんなイケメン…。あぁ、覚えてない。僕は、顎に手をやってよくある考えるポーズをして唸った。

そして、僕は決意した。

「アラベラ……、私、行くわ。もう準備は整ったわ」


•*¨*•.¸¸☆*・゚


森の中にある密かなシャーロット後宮でのお広間が、とても明るいシャンデリアに照らされ、開いていた。

僕は、侍女達によって開かれたお広間を目にし、意を決して足を踏み出した。

そこには、年寄りのおじいさん執事と話しをして、ロココ調の椅子に座っている、あの少年がいた。

コツンコツンとサンダルの音を立てて歩く僕に気づいた少年は、とても気前のいい爽やかな笑顔を向けた。…うぅ、眩しい。イケメンだ…。

少年は椅子から勢いよく立ち上がり言った。

「待っていました!シェルミラン様!あぁ、会えてこんなにも私は嬉しいです」

「あら、そう」

と僕は、またもイケメンを睨むような目線を送りそうになりながらも、侍女に椅子を引かれ、キチンとマナーを守って座った。少年は座った僕を見て、スッと座った。

「あぁ、前、あんなことがあったのに、まさか、シェルミラン様は僕を受け入れてくれたなんて…。光栄すぎる……」

少年は、僕を見て、コソコソと何か言い出した。

「え?何て今おしゃったのかしら?聞こえなかったわ」

「あぁ!すみません。シェルミラン様。今のはお聞きになさならなくて良いですよ」

「……そう」

少年は何か隠すようにほくそ笑んで、僕に言う。僕はそんな少年の姿を見て、怪しんだ。何かある…。何か隠しているのかと。

「シェルミラン様、改めまして、私の名前はメイソン・マルロイダことメイソンです。私はシェルミラン様よりもお上の13歳です」

「えぇ、そうね」

得意気に言うメイソンに僕は、冷たく返事をした。

「ですから、シェルミラン様を私は擁護できるお年齢です。私の方で、書をお出ししてサインして頂ければ……、ですね、シェルミラン様は私のモノとなることが出来ます」

メイソンは、ニヤリと微笑んで僕をまじまじと見つめて言った。

「……え、何を言っているのよ。擁護できる年齢って…。私はちゃんとここと言う場所があるのよ!」

僕は、勢いよく反論した。ここからいなくなる…。そんなことはないとフォリストワに伝えたばかりなのに。

メイソンは、反論する僕を気にもとめず、冷静な口調で言う。

「そうですが、今はここをお守りする王はいないのでしょう?」

「お父様は……、いないわ。それが関係あると言うの?」

メイソンに問いだたされ、僕は冷や汗をかきながらも正直に応え、聞いた。

「王妃だけでは務めることはできないでしょう。シェルミラン様…。ですから、私の元に来た方が良いと思いますよ。それと、もっと素敵なドレスを用意致します」

メイソンの言葉を聞いて、僕はゴクッと唾を飲み込んだ。王妃だけでは務まらない…。お母様だけでは務まらないなんて…。そんな……。そんなこと、僕には知らなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

イケメンに愛されてみたかったので異世界転生させてもらうことにしました

時雨 雪
恋愛
トラックにはねられてあっけなく死んでしまったくるみ、くるみの死ぬ間際の願いは「少しでもいいから、イケメンに愛されてみたかった!!」そんな彼女の、皆も一度は願っただろう乙女の願いを叶えたのは、超イケメンの猫耳神様?!超イケメン猫耳神様は、ありがたいことにくるみが前世で大好きだったゲーム「桜散るころに」という乙女ゲームの世界に転生させてくれるという。くるみの乙女な願いは果たして叶うのだろうか?!

異世界の神は毎回思う。なんで悪役令嬢の身体に聖女級の良い子ちゃんの魂入れてんのに誰も気付かないの?

下菊みこと
恋愛
理不尽に身体を奪われた悪役令嬢が、その分他の身体をもらって好きにするお話。 異世界の神は思う。悪役令嬢に聖女級の魂入れたら普通に気づけよと。身体をなくした悪役令嬢は言う。貴族なんて相手のうわべしか見てないよと。よくある悪役令嬢転生モノで、ヒロインになるんだろう女の子に身体を奪われた(神が勝手に与えちゃった)悪役令嬢はその後他の身体をもらってなんだかんだ好きにする。 小説家になろう様でも投稿しています。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

モブはモブらしく生きたいのですっ!

このの
恋愛
公爵令嬢のローゼリアはある日前世の記憶を思い出す そして自分は友人が好きだった乙女ゲームのたった一文しか出てこないモブだと知る! 「私は死にたくない!そして、ヒロインちゃんの恋愛を影から見ていたい!」 死亡フラグを無事折って、身分、容姿を隠し、学園に行こう! そんなモブライフをするはずが…? 「あれ?攻略対象者の皆様、ナゼ私の所に?」 ご都合主義です。初めての投稿なので、修正バンバンします! 感想めっちゃ募集中です! 他の作品も是非見てね!

異世界転生したら幼女でした!?

@ナタデココ
恋愛
これは異世界に転生した幼女の話・・・

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました

市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。 ……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。 それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?! 上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる? このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!! ※小説家になろう様でも投稿しています

処理中です...