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第一章
1話どうやら僕は転生しました
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気付くと僕は泣いていた。なぜ泣いているのか分からなかったが、涙がぶわぁっと溢れ出す。どこか、心の奥底から悲しみが沸き起こるんだ。大きな木の木陰の下で僕はただただ座って泣いていた。もう涙が止まらない。
両手で顔を覆って泣いている僕の両手は涙でとても濡れていて、酷い状態になっている。
すると、どこかしら涼やかな、優しい声が僕を呼んだ。
───「シェル、大丈夫?僕がいるから。おいで」
と呼ぶ声が聞こえた。名前は僕じゃないけれど、僕が呼ばれていると思った。その名前が僕だと思ったんだ。
僕の目の前で両手を広げている男の子に僕は飛びついた。そして、男の子は僕の頭を優しく撫で、よしよしと言う。
「シェル、僕がいるからね」
と囁き、僕の頬を撫で、涙を拭いとってくれる男の子。僕は心の奥からキュンとときめいた。
そして、男の子と手を繋いで、歩き出した。
歩き出した先には、大きな宮殿があった。そして、男の子と僕は、宮殿へと歩く。直感的に、ここは僕の家だと悟った。ここは僕がずっと住んでいたところ。小さい頃から。このフォリストワお兄様といつも二人でひっそりと遊んだりしていた家。
立派な黄金色の門に入って、フォリストワお兄様は大きなドアをガチャッと開ける。
中はとても豪華な色とりどりに光り輝く壁、シャンデリアな綺麗な電気が上にともっている。
フォリストワお兄様と僕はいつもの部屋へと歩き出した。初めての空間だと僕は思いもしなかった。もうとっくの前から知っている場所。知っている部屋だって僕は思った。
ある部屋に入る。ここの部屋は僕の部屋。ううん、私の部屋。
そして、私とフォリストワお兄様は綺麗なピンクの絨毯のひかれた上に二人で座り込む。そして、お兄様は奥の戸棚に手を伸ばし、小さな子が持つには大きな分厚い絵本を取り出す。その絵本の表紙はとてもお洒落な絵柄が描かれている。お姫さまと王子様。王子様がお姫さまの手を取り合っている絵柄だった。そして、フォリストワお兄様はその大きな絵本を伸ばしている膝の上に乗せて、絵本を広げる。適当に真ん中を開けたお兄様。開けたページの絵には、お姫さまが動物に囲まれているページだった。とても素敵な絵柄。
そして、僕はふと視線を横へと向けた。そこには白色の壁掛けミラーがあった。そこには
シェルミラン・シャーロットの姿が映っていた。綺麗な色白の肌に、艶やかに光り輝く、金髪の髪色。いつものピンク色のきらきらと光る、ドレスを着ている。9歳のシェルミラン・シャーロットだった。
僕は驚いて、自分の手のひらを広げて見た。小さな手のひらだった。17歳の僕の手のひらじゃなかった。
「どうしたの、シェル?」
「僕はシェルミラン・シャーロットなの?」
「シェル、何言っているの?僕だなんて、シェルがそんなこと言ったことなかったのに。シェル大丈夫?」
とフォリストワお兄様は眉を下げ、心配そうな顔して、僕のおでこに手を当てた。
「熱はないね。シェル…。シェルはシェルだからね。何か悩んでいることがあるならいつでも言ってね。大事な妹だから」
フォリストワお兄様はそう言って、心配げに僕の手のひらを握った。
僕は、今さら、ハッとして気付いた。僕は、どうやら、シェルミラン・シャーロットに転生したみたい。
この宮殿も、この部屋も…。アプリゲームで見た、空間だった。今はそれが目の前にある。シェルの兄のフォリストワも目の前に…。
この国を放ったらかし、出ていったお父様のいない9歳のシェルとフォリストワ。ナタリアと言うお母様と5人と言う少ない侍女がいるだけで育った。シェル。
そして、シェルが18になる時に、悪役と言われ、指名され、殺される運命。ただ、好きになったロレットを追いかけていただけなのに。可哀想なシェル。
そんな運命を辿りたくない。だから、僕は決心した。
殺される運命にならずに、幸せな運命を辿れるように、行動していくと。
両手で顔を覆って泣いている僕の両手は涙でとても濡れていて、酷い状態になっている。
すると、どこかしら涼やかな、優しい声が僕を呼んだ。
───「シェル、大丈夫?僕がいるから。おいで」
と呼ぶ声が聞こえた。名前は僕じゃないけれど、僕が呼ばれていると思った。その名前が僕だと思ったんだ。
僕の目の前で両手を広げている男の子に僕は飛びついた。そして、男の子は僕の頭を優しく撫で、よしよしと言う。
「シェル、僕がいるからね」
と囁き、僕の頬を撫で、涙を拭いとってくれる男の子。僕は心の奥からキュンとときめいた。
そして、男の子と手を繋いで、歩き出した。
歩き出した先には、大きな宮殿があった。そして、男の子と僕は、宮殿へと歩く。直感的に、ここは僕の家だと悟った。ここは僕がずっと住んでいたところ。小さい頃から。このフォリストワお兄様といつも二人でひっそりと遊んだりしていた家。
立派な黄金色の門に入って、フォリストワお兄様は大きなドアをガチャッと開ける。
中はとても豪華な色とりどりに光り輝く壁、シャンデリアな綺麗な電気が上にともっている。
フォリストワお兄様と僕はいつもの部屋へと歩き出した。初めての空間だと僕は思いもしなかった。もうとっくの前から知っている場所。知っている部屋だって僕は思った。
ある部屋に入る。ここの部屋は僕の部屋。ううん、私の部屋。
そして、私とフォリストワお兄様は綺麗なピンクの絨毯のひかれた上に二人で座り込む。そして、お兄様は奥の戸棚に手を伸ばし、小さな子が持つには大きな分厚い絵本を取り出す。その絵本の表紙はとてもお洒落な絵柄が描かれている。お姫さまと王子様。王子様がお姫さまの手を取り合っている絵柄だった。そして、フォリストワお兄様はその大きな絵本を伸ばしている膝の上に乗せて、絵本を広げる。適当に真ん中を開けたお兄様。開けたページの絵には、お姫さまが動物に囲まれているページだった。とても素敵な絵柄。
そして、僕はふと視線を横へと向けた。そこには白色の壁掛けミラーがあった。そこには
シェルミラン・シャーロットの姿が映っていた。綺麗な色白の肌に、艶やかに光り輝く、金髪の髪色。いつものピンク色のきらきらと光る、ドレスを着ている。9歳のシェルミラン・シャーロットだった。
僕は驚いて、自分の手のひらを広げて見た。小さな手のひらだった。17歳の僕の手のひらじゃなかった。
「どうしたの、シェル?」
「僕はシェルミラン・シャーロットなの?」
「シェル、何言っているの?僕だなんて、シェルがそんなこと言ったことなかったのに。シェル大丈夫?」
とフォリストワお兄様は眉を下げ、心配そうな顔して、僕のおでこに手を当てた。
「熱はないね。シェル…。シェルはシェルだからね。何か悩んでいることがあるならいつでも言ってね。大事な妹だから」
フォリストワお兄様はそう言って、心配げに僕の手のひらを握った。
僕は、今さら、ハッとして気付いた。僕は、どうやら、シェルミラン・シャーロットに転生したみたい。
この宮殿も、この部屋も…。アプリゲームで見た、空間だった。今はそれが目の前にある。シェルの兄のフォリストワも目の前に…。
この国を放ったらかし、出ていったお父様のいない9歳のシェルとフォリストワ。ナタリアと言うお母様と5人と言う少ない侍女がいるだけで育った。シェル。
そして、シェルが18になる時に、悪役と言われ、指名され、殺される運命。ただ、好きになったロレットを追いかけていただけなのに。可哀想なシェル。
そんな運命を辿りたくない。だから、僕は決心した。
殺される運命にならずに、幸せな運命を辿れるように、行動していくと。
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