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閑話

ルッカとアダン先生

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「ルッカ……、お前はティムのことが好きなのか」

「……っ!?アダン先生!ティムってティモシーですか?」

「あいつしかいないだろ」

ルッカはアダン先生からもらったブルーベリーの飲み物を1口含んで口に入ったまま大慌てで吐き出し喋った。

「俺は別に……好きとかじゃ…」

「先生もわかってるいよ。なんせ、先生は君らのお父さんとは知り合いだからね」







アダン先生は何を言いたいんだ。俺とティムは変わらずにいるつもりでいるのに……。

やっぱり、何か俺の魔力のことで噂でも広まっているのか…。どうせ、俺の魔力は雷の魔力なんてものは低いとでも言われているんだろうな。それでも俺はティムとは隣りに並んでいたい。

───────負けたくない。あいつなんかに。

決めたんだ。お父さんの仇を取るためにも。なのに何でだろう。変な感情が俺を襲う。あーーーー!違うんだよ!好きなんて…思ってなんかない。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ねぇねぇ、聞いた?ティム」

「何を?」

僕に声掛けてきたのはクラスが同じ女生徒。どこか嬉しげに声かけてくる。

「ルッカ、ティムのこと好きなんだって!アダン先生が言ってたよ」

「ルッカが?そんなこと……。うん、ある訳ない。まして男だなんて。ルッカが好きな子は女だよ」

と僕は返した。同じ寮の部屋でも茶化して声かけたら、ルッカは慌ててたし。きっと違う。小さい頃から、遊んでいるし、ルッカのことなら僕がすごく知っている。ルッカの仕草も…。全て知っている自信はある。

でも、なんだかそんなことを聞くと、心が疼く。あー、早くルッカとカミーユ引っ付かないかな。そんなことを思い馳せながら、窓から差し込む光を見つめた。

好き………か…。


難題なことなのかな。恋を本気でしようと思えない僕には無理なことだ。ルッカはちゃんと女の子に恋心を抱いている立派な男だと僕は思う。でもあの試合は譲れないからな。絶対に僕が勝つ。勝って、お父様のエンベルトの血をこれからも引き継ぐ男として、進んでいかなきゃいけないんだ。
ハー兄はやり遂げたところは見てない。きっとやり遂げたんだろう。

────────今度は僕の番だ……。


決めた瞬間、強い風の音がゴオッと鳴り、僕の髪が揺れる。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ルッカもティムも頑張ってきた。今回の試合は別に勝ち負けなんていらないものにしてはいかがではないでしょうか?」

「それはな、アダンくん。それはしたくないが、確かに次に入学してくるものの中にはこれまで待っていた人物がいるからな」

「そうですよ、サニーラ教授。だから、今回は赤の炎のドラゴンを新入生に叩かせてはどうでしょうか?」

薄暗い、教員たちの室内は慌ただしく動いていたが、隣の部屋ではアダンとサニーラ教授が何やら話をしていた。
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