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第二章

35話グイリオと僕で冒険してみた

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はぁ、いいな。僕も早く通える年になりたい。この世界では、8歳である教会に向かって、年相応としそうおうの魔力があることを認め、エクリプススパーダ学院に通える申請を貰う、儀式を行う。

僕は、ティモシーとルッカに会いたい気持ちが心の奥をくすぶる。ティモシーとルッカは仲が悪いかと思っていたけれど、そうじゃないみたい。仲がいいから、喧嘩する仲なんだろうな。そう思うと、憧れてならない。僕もそんな仲間が欲しい。友達が欲しい…。
もう、僕は逃げない…。あの頃みたいには絶対ならないって決めたから。早く実行していきたくてならない気持ちが沸き起こるようになった。

そんなことを考えている僕の元に、グイリオが僕の部屋へと遊びに来た。


「チーくん、遊びに来たよ!」

「…グイリオ、僕も会いたかった」

僕はグイリオの言葉に対して、グイリオに喜悦きえつな表情を向け、うるうると見つめた。

そんな僕を見た、グイリオはにこっと笑んで、僕の座っている隣りに座った。

「チーくん何見てるの?」

「魔法書だよ。僕も早く、ティモシーとルッカに追いつきたい。早く通いたい…」

「そうだね、僕も早く通いたいな…」

グイリオはそう言って、何か考え込む仕草をして、間を置いたから言った。

「チーくん、行ってみる?エクリプススパーダと教会に」

「え…、グイリオ何言ってるの…!?」

「少しだけ、行ってみよっか。本当に少しだけだから。バレないようにね」

え、僕は口を開けてポカーンとしてしまった。優しくて、穏やかなグイリオの口から、想像もしていなかった言葉を聞いたから、僕は、とんでもなく驚いた。それじゃあ、グイリオがアティロット国の一人息子の王子のイメージらしからぬことを言っているんだもの。ダメでしょ。

僕は、不安げに睨んだ。グイリオはそんな僕に気にもしないで、笑顔でいる。すると、開いているドア越しからニーノがじーとグイリオを邪魔と言いたそうな怖い視線を送っていることに気づいた。

そして、グイリオはドアに見やる僕に気付いて、後ろを振り返った。ニーノとバチと目が合った。ニーノはぷいとして、去ってしまった。

そして、グイリオは僕に振り返り、言った。

「行ってみよっか」

と。僕はうーんと唸った。グイリオは僕の右手を手に取って、行こと立ち上がった。僕は無理やり立つ感じになったけれど、グイリオの笑顔見たら、こばめなくて、立ち上がった。


•*¨*•.¸¸☆*・゚


僕とグイリオは親の目から離れて、外へと出た。もちろん、アンジェロにも気づかれないように。護衛のアロンツォにも、外にいる、近衛兵ロイヤルガードの人にも気づかれないように。

そのために、グイリオが魔力を使って外に出た。グイリオの出した、大きな綺麗な緑色の葉っぱに二人で乗って、窓から出ていった。

まるで、前世で見た、プリンセスになった気分。グイリオの後ろから僕は抱きついていた。グイリオから手を離すと絶対落ちゃうから。それに、グイリオが僕の両手をギュッと掴まれている。安心する。グイリオはハーヴィーのことが好きなのかと言う、あらぬことを空想してしまった。うーん、それにグイリオは普通に女の子が恋愛対象かもしれないのに、僕はグイリオのことを自分と同じ気持ちを抱いているのではないかと考えてしまっている。

そして、街中の外れに降りた。そして、僕はグイリオの歩く方向について行く。そして、グイリオは馬車に近づき、馭者きょしゃのおじさんに何か伝え、僕の手を引っ張って、馬車に乗り込んだ。僕はグイリオがどこに連れて行こうとしているのかは曖昧で分からずにいた。

馬車を何時間か走らせてから、馬車が止まり、「着きました」と言う馭者の人の声から、グイリオは「ありがとうございます」と言って、降りる。僕もそれに続いて、ぴょんと降りた。

どこに着いたんだろう。周りは森の中でもなくて、綺麗なレンガ状の道が奥へと続いていた。そして、その道の横には綺麗な花々が咲いている。

そして、突然、グイリオが止まった。僕はグイリオの背にトンッとぶつかった。

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