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第一章

13話君主剣術の特訓と赤色スカーフ少年

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窓からぽかぽかと暖かい日差しと共に僕は目を覚ました。

いつものようにクローゼットを開け、服に手を差し込む。ボタンを閉めて、お気に入りの短パンズボンを履く。

そして、手鏡のアムを飾りブーツから取り出す。

髪をチェック…。だけど、アムは嫌がってすぐに僕の手から出て行ってしまう。だから、ほんの一瞬で僕は髪チェックを終わらせなくちゃいけないから大変。

まったく、アムは…。それと、今日から僕は君主剣の特訓が始まる。

昨日の夜、僕はそっとお父さんとお母さんの寝室に行って、お父さんに言ったんだ。

「ねぇ、お父さん。僕もティモシー達みたいに出来るように…なりたいです。だから、教えてください!」

って。お父さんはもじもじしてて躊躇ためらいがちに言う僕の言葉を静かに優しく聞いてくれた。
その横でお母さんも優しく微笑んで、
「もう、チーロにも教えてあげてもいいんじゃないかしら。オーウェン」
とお母さんが言ってくれた。
お父さんはうーんと腕組みしてどうしようかな~と言葉を漏らしたけれど、僕のやる気を見定めるかのように見て言った。

「そうだな。チーロも出来るようなりたいよな」

と言われ、僕は目をキラキラと輝かせて『うん』とコクッと勢いよく頷いた。その時、嬉し過ぎて僕は、わぁあーと言って、廊下に駆け出し、部屋に寝転がったんだ。

やっと、僕もティモシーみたく手から君主剣を取り出せて、魔力も使いこなせる特訓が出来るんだな。

ふふっと僕は笑んで、枕にしがみついて寝た。

•*¨*•.¸¸☆*・゚

「よし、チーロ。今日から剣術の特訓するか~。チーロにもう教えてもいいだろうってお父さん、思ったから。これから、特訓の日々だぞ」

ってお父さんは言って僕の頭をわしわしと撫でる。

「はい!お父さん!」

と笑顔で言って僕は頭を撫でるお父さんの手を触って、お父さんと手を繋いだ。

そして、家から離れた丘の上へと歩いた。

そして、お父さんの手から離れ、2つの木がある木陰に走った。

僕はお父さんの方に体を振り返ったら、お父さんはティモシー達のようにやっぱり、右手から剣を取り出す。

お父さんの右手は青色の炎が弧を描くように広がり、剣がシュッバと出てきた。
かっこいい。僕は自分の右手を見つめ、グーパーグーパーしてみた。うーん、出てくるのかな。
僕はまだやってもないけれど、不安になって、目をうるうるさせてお父さんを見た。

すると、お父さんは僕の右手を取って、僕の右手に指で円になぞる。

くすぐったいと思って、目を閉じた。そしたら、なんだか、僕の手のひらが熱くなった。体温の熱さじゃないと思い、目を開けると、すごい眩しい色々な光が僕の手のひらからばっと広がった。

「チーロ、そのまま自分の剣を思い浮かべるんだ。君主剣は自分の身のひとつなんだ。だから、自分の手に出てくるんだ」

とお父さんは言い、僕は右手に自分の君主剣を浮かべ、願った。

すると、君主剣が出てきた。

「で、できた。僕もティモシーみたいにできました!」

と言って、お父さんに抱きついた。

「チーロ、できたな~!」

とお父さんは言って、僕の頭を撫でた。

そして、お父さんから剣の使い方の特訓へと移った。

•*¨*•.¸¸☆*・゚

「アロンツォはチーロ様の護衛騎士になられたのですよね」

「そうだ」

漆黒の赤色のスカーフを被った少年は、黒で飾られた薄気味悪い部屋の中で、水晶に写る白狐の獣人と思わしき人と話しをしていた。

「では、そのうち僕も行かなくては行けなくなるのですね」

「そうだな。我は君を頼もしく思っている。それと君にも私からの手紙が来たという事だな。我の部下は働きが良いな~。我はあの子を楽しみにしている。

君からも良き報告を待っているからな」

「はい、分かりました。手紙はあと数年したら届くでしょう。それまでは僕を待っていて下さい」

「良いぞ。我は待つ」

そして、少年は白狐の獣人との会話を終わらせ、水晶に両手を翳し、ボワッと赤のキラキラと輝く、煙を出し、水晶を消した。

少年はいくつも重なった、書類や本、そして、教材を持って、部屋から飛び出した。

「アロンツォは護衛か。僕はその上を行く。絶対に。そして、あの全部は僕の物だ」

と呟き、外で待っていたであろう、馬車に乗り込んだ。

「どこへですかね?」

「まずは西の方角の教会へ連れって行ってください」

「分かりました」

少年はいくつものの読み物、書き物を濃い茶色の大きめな肩からかけるカバンにほおりこんだ。

──────「まずは、もっと進級しなくちゃいけないな。あと習得するのはこれだけだ」



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