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第一章

3話初めて知る街の風景

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「あう~」
僕は日本では有り得ないような不思議なたまごの形みたいなゆりかごの中にいる。服はカバーオール。当たり前か…。僕、赤ちゃんだもんな~。
体が思うように動かせなくて、ただ手足を上にじたばた出来るくらい。口から出る言葉は全然言葉になってない…。

うぅ、話せないなんて。不思議な形のゆりかごは何もしなくても前、後ろとゆっくり揺れる。

僕から見えるのは窓から日差しが指していることくらい。

お父さんとお母さんは今日の僕のお祝いごとで、忙しく動いているらしい。

はあぁ…。僕も早く動きたいな。赤ちゃんじゃあ動きたくても動けないよ~。うぅ。

…とぼんやり外を眺めていると、寝たはずなのにまた眠くなってきた。僕は暖かい日差しに当たりながらすっと眠りに落ちた。

.+*:゚+。.✩

「あの子がステファーノ家の次期継ぐ王子になるチーロ君か。すげー可愛い子じゃないか!オーウェンがロラ様に似てるって言っていたけど、本当に似ている。特に愛らしい顔立ちが…。
よし、チーロ君にはあいつを護衛につかせよう」

•*¨*•.¸¸☆*・゚

ーシュッ、タンッ

と外から音が聞こえた。僕は思わずパチッと目をまん丸くして外を見た。窓から見える景色は大きな木がある。
その大きな木からパラパラと葉が落ちてる。まるで木から誰か降りたあとみたいに葉が落ちる。

なんだろうと妙な気持ちになった。
ーガチャ
とドア開く音がした。僕はそっちの方を見ようと左に体ごと振り向こうとした。
「あっ!チーロ様ぁっ!チーロ様が落ちちゃう~!」

とアンジェロの声がして、僕はあの時を思い出して目をギュッとつむった。

ードテッと音がした。僕は痛みを感じなかった。何でだろうと目を開けると、僕はアンジェロの両腕の中にすっぽりとハマっていた。アンジェロは床に前から倒れたらしい。それも僕を助けるために。ふふ、アンジェロカッコイイ。僕の心がポカポカと温かくなって、僕は浮かれた。あぁ、妄想が……!だめだめ。僕は首を横に振って、アンジェロに向き合った。するとアンジェロは目に涙を溜めて僕の方を見て安堵あんどした。
「良かった~!チーロ様無事なのですね!」
と言って、僕は返事をしようとした。
「あうぅ~!」
と言葉が出た。ありがとって言ったはずなんだけど…。うぅーん。赤ちゃんはこんなにも喋れないんだな~。

アンジェロはニコニコと笑顔で僕を抱#だ#きかかえて立ち上がった。
「チーロ様、今日はお披露目おひろめ会ですよ~。街中の方々の前へと、あとは他国の王家の方々とお会いになりますよ~。
そーだ!チーロ様!お披露目会で町中の方々を目にする前に下見#したみ#をしましょうか!
その方がお披露目会で緊張しなくても大丈夫でしょう!」
と眩#まぶ#しい笑顔で言い放つ。そんなアンジェロに僕はまたうっとりしちゃった。

アンジェロの笑顔はすごく可愛い~。

アンジェロは僕を抱えて部屋から出た。廊下はとてもお洒落しゃれに飾られた風画が何個もつらなっていて、電気も大きなシャンデリアだった。…うぅ、ここは本当に日本じゃないんだ。でも、本当に素敵な家だな~。…金持ちなのかな。

ま、いっか。

僕はアンジェロに顔を見上げた。すると、アンジェロはニコッと微笑んで僕の背中を撫でる。あぁ~、アンジェロ好き…。

そんなことを思っていると外を出る大きなドアの前に来た。ドアもとても大きくて、天使の絵柄のドアだった。
そして、アンジェロは横にあるレバーを下げた。ドアはアンジェロが手動で開けた。すると、奥にある大きな門が開く瞬間だった。

ガチャッと門が綺麗に開いた。
僕は思わず、目を丸くしてキラキラと目を輝かせた。

「チーロ様、外ですよ~」

とアンジェロ。アンジェロは慣れてるかのように門を閉める小さなボタン式のリモコンを取り出して閉めた。

僕はわくわくが止まらなくなった。
そして、アンジェロは僕を前向きに変えて、抱えた。アンジェロ優しいなって思って僕はキュッと心が熱くなった。やばい、やばい。

そして、アンジェロは僕に街の店街を見せてくれた。街中は思った通り外国風な街並みだった。女の人はみんなプロンみたいなワンピースの服。男の人はタキシードみたいな服の人ばっかり。

街の人々は沢山で色んな人で溢れていた。そして、みんな僕に視線を向ける。なんだか恥ずかしい。

街の人々は口々に『チーロ様よ』とか『チーロ様だわ』、『可愛いらしいな』とかを言っている。

「おぉ!アンジェロじゃないか!今日は外に出ていいのか?」

とガタイのいい小麦色に焼けた男の人がアンジェロに声掛けた。細身のアンジェロの横に立つととてもガタイが大きい人なのがよく分かる。

「やぁ。ベン!今はチーロ様にお披露目会の前にチーロ様に初めて見る街を見せている所だよ」

「そうなのか。この子がステファーノ家の王子のチーロ様か!噂通うわさどおりとても綺麗で可愛いらしいお方ではないか!」

「だろ~」
とアンジェロが片手で僕を抱きかかえて、空いている左手で鼻下を人差し指で一回擦って言う。なんか自慢げだ。にしても、僕、王子?僕は王子になるの?

一時の間、アンジェロとベンと言う人が話しをした。その間、僕はずっと考え事した。

そして、お披露目会が始まる1時間半前へと差し掛かった。

「チーロ様、お戻りしましょうか。もうすぐですよ~」
とアンジェロがにこやかに言って、家へと歩いた。

僕はわくわくからまたドキドキに変わってしまった。僕、王子になるのー!?
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