よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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見上げた空は
雲ひとつなく
周囲を暗い紫に染めて
刻々と色を変えて
時は地に夜の帷をゆっくりとおろす

そして新月の夜
空には数多の星が瞬き
私は両手を伸ばして仰ぎ見る

遠いしるべ
闇に光る星々

何処までも遠く
手の届かない光を
捕まえるように
手を伸ばす


ただただ遥かな空の
ただただ届かない星を

掴めないそれを望む愚かな私を

どう思うのか
さざめく星達よ

私が見ているのか見られているのか
わからぬまま

静かに夜はふけてゆく
共に見たあなたはもういなくとも……

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