よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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遥かな広大なる地平線
最後の光を放つ夕陽がゆっくりと暮れてゆく
何処までも赤い光が空に地に満ちる夕暮れ時

時折強く風が吹く
顔まで覆った暗色のマントを
吹く風にたなびかせ歩く足音がひとつ

かつりかつりとうつろに響く
草も生えない大地はかたく
そこに足跡を残すこともなく

暗く長い影だけが音もなく
追いかけるように歩いて行く

あてどない旅路の果てへ
求めるものはもうないというのに──

黄昏時
紫紺の混じる闇の色が降りてくる
地平線に微かに赤光を残して
迫り来る宵闇

立ち止まりひとつの影は空を仰ぐと
ひたひたと迫る深淵なる闇にのまれていった
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