よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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つんと冷えた空気
凍えるような寒さ
ひとりきり
隣にぬくもりはもうない

ひとつ白い溜息を吐く

夜の闇夜
白い雪が降る

そっと手を伸べて
落ちてきた雪
私の手の中で消えてゆく

私に触れて
とけてゆく雪
あなたの心のように
消えてゆく雪

残る水滴は私の未練か
あなたの記憶が胸を傷める

雪が降る
静かに

もういないあなたが
私のぬくもりに触れたら
消えてしまうあなたが降っていた
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