よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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さようならを言うこともなく

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さようならを言うこともなく
気がつけば消えていく──

いつだったか触れ合った
その時が想いが
ただ私の心の中に
積み重なったまま
形を変えることもなく
薄れていく……

さよならを言うこともなく
気がつけば

そこには誰もいない

私だけがそこにぽつりと座り込んだまま
誰もいないがらんどうの世界の片隅で
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