よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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静かな触れ合い

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そこは緑豊かな庭園
楽しげに花を見ながら歩く眩いあなたの姿

色とりどりの花が咲き乱れる中
見惚れるのはただひとり

愛おしいあなたの視線の先の花に嫉妬し
この身はわざと足音をたてて歩く

近づく距離

花から目を離し振り返るあなた
こちらに気がつき
目が合い
あなたは微笑みを浮かべる

その顔が愛おしくて

あなたにもっと近づき
この手を伸ばして
そっとつかまえたあなたの左手
重ねた掌触れ合う感触

つかまったあなたは
俯いてはにかみ
その頬を赤らめる

そんなあなたに腕をまわして
ぎゅっと抱きしめて

あなたのぬくもり
香りに身を浸して

あなたの髪がさらりと流れて
混じり合って

互いの鼓動
ずっとこのまま感じていたい

このままあなたと
溶け合うことが出来たなら……

そっと寄り添うように
身を寄せるあなた
こみあげる愛おしさ

時よ止まれ──

ただ緑と花々が見つめる静かな触れ合い









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