よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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錆びついた心

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黄昏時 影は伸びて
茜に染まる空は闇色を帯びて

見上げればいつか見たあなたと見た空のような夕暮れ
ふたつの影が長く近く伸びていたあの頃……

──帰れない

もうあの頃には帰れない

きらめくような想いは遠い彼方

今私の影はひとつ黒く伸びて
あなたを慕った心は
暗く錆びついて

ただ暗闇の中
ひとり佇み
身も心も暗く錆びついたまま
動けない
ここから動くことが出来ない

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