よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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振り向いて

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あなたを見つめる
あなたは気づかない

あなたの視線は
あなたの隣へ

あなたの笑みは
私には向けられない

視界にすら入っていない

知っているそんなことは
歪む表情を押し隠して

思い切れない想い
忘れたくても忘れられない

あなたの後ろ姿を追いかける
私の視線
その先にいるあなたは
気づかずに隣の誰かと笑みを交わして

あなたは見ない
私を見ない
わかっているのに……

ひとり溜息

思い切れない想いが
口から漏れた



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