よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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浴衣

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少し歩きにくそうに
白い顔を俯き加減にしながら歩く
紺と白い花柄
清楚な浴衣姿のあなた

そっと目を細め
あなたを見つめる

ひとつにまとめたつややかな黒髪
白いうなじが眩しくて

夜の街明かり
灯された提灯の下

ふいに傾いた細い体
あなたの手に
この手を伸ばして

捕まえる
あなたの掌を
あなたの白い手を


礼を言う声

見上げる黒い瞳
赤らんだ頬

触れ合った手と手
柔らかな感触
あなたの体温を感じて
高揚する胸の内

離し難いあなたの手をそっと離して
大丈夫かと何事もないように問いかける

あなたへの想いを心に秘めながら
そっとあなたの横顔を見つめ続けた









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