よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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春の日の光景

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 白の花が咲き乱れる木の下
 あなたは私に微笑む

 私はあなたに手を伸ばし
 この腕の中へと俯くあなたを誘う

 白いはなびらが
 ふうわりと降りながら
 伏し目がちになった
 あなたを飾る中
 
 あなたは私のものだと

 そっとその額に
 口付けを落とす

 驚き見上げ
 頬を染めるあなたを

 私を見つめるその大きな美しい瞳の中に私を
 いつまでもこの私を住まわせ続けて……
 

 白の花は見守る
 春の日の光景――
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