よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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待ち続けて

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闇の中、消えてしまったあなた。手を伸ばして抱きしめて行かせなければよかった。


 振り払われてしまったとしても、それでもしがみついて、いっそついていけばよかった。


 何故あの時私はそうしてしまったのだろう? 何故行かせてしまったのだろう。


 後悔と未練と絶望で、気づけば彼がいなくなった場所に気づくと足を向けている。


 ――帰ってこない、か

 帰ってきて、私を見て欲しい訳でもない。そんな夢は見ていない。


 ただ――

 生きていて欲しかった。私を選ばなくてもいい。ただ笑っていて欲しかった。

 ――なのに……


 気づくとここで、私はあなたを待つ。待ち続けてしまう。


 あなたの帰る場所は私ではないと知りながら。それでも私はあなたを待つ。

 帰るはずもないあなたを、ただ項垂れ、ただひとり私はあなたをあなただけを――


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