よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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誰か

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伏せた顔をそっとあげても
そこには誰もいない

薄く笑う
どうにもならない
自分自身を嘲笑う

誰もいるはずはない
いるはずもない

望まない
望めるはずもない

誰もいない部屋の中
掌を開いて掴んでみても
そこには何もなくて
ただ空を掴むばかり

何も掴めない
掴めるわけもない

熱くなる目頭
眉をきつく寄せた後

嘲笑う
ただただ自分を嘲笑う

何もない
誰もいない

なのに

誰かを望む自分の心を嘲笑う
望みながら
拒む自分を
それでも誰かと望んでしまう
そんな自分を嘲笑う

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