よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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残影

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遠く見えるあなたの姿
遠く遠すぎてまるで幻のよう

もう手の届かない場所に
あなたはいる

遠く見える光のように
夜空に瞬く星のように

遠すぎるあなたの姿
手を伸ばしても到底届かない

叫んでみたとしても
あなたにはもう届くこともない

共に歩いていたつもりが
別々の道をいつしか歩いていて

私はここに置き去りのまま
立ち止まったままで
あなたと離れた距離に気づけず
気づけばもう遠く遠い

行ってしまったあなたを
私をおいたまま

別の道を歩んで行ってしまったあなたの
後ろ姿が今もなお私の眼に映るまま

私の心にあなたが残した影
今もなおここに

遠く遥か遠いあなたの後ろ姿
私の中から消えることないあなたへの想い

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