よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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雨音

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篠突く雨
私の心のように
強く強く雨風が吹き荒れる

泣いてしまう訳にもいかず
荒れてしまう訳にもいかず
ただうずくまり
気持ちの高ぶりを逃しながら
心を治めようとしながらも
荒れたままの私の心
どうにもならなくて
どうにも出来なくて

作り笑い
強張る表情
隠しきれないまま

雨は強く飛沫を上げて
強く強く雨音を上げて

声を殺して
眉を寄せて
顔を顰めて

止めようとしても止めきれない
滴がしたしたと地にしたたり落ちる

堪えきれない嗚咽を隠してくれるように
強い雨音が強く強く響いた




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