よせあつめ ─詩集─

古部 鈴

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ちらりと花を見せ始める染井吉野
桜並木の下
見上げた先に開いた花

季節の動きを如実に感じる
つぼみの膨らみ

山の樹々の桜なのだろうか
うっすらと山が薄桃色に染まり
しばらくすれば見事に
咲き誇るのであろう

通年のように
別の花ではあるが同じ花が
違う花であり同じ桜が
何事もなければまた来年も
花が咲くのだろう

連綿と桜に花芽が付き
つぼみは開き
開花して散るのだろう

同じ花ではない違う花で
同じように見える違う花が

咲くのだろうか

数多に咲くような桜の花達
一輪一輪は同じ桜であり
同じ花ではない個別の花で

一輪一輪違う花である訳で
違う花であるはずで

咲いた花の一輪を見つめ
過ぎた過去に思いを馳せた

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