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プロローグ

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俺は光に包まれながら起き上がった。
ここはどこだろう。なぜここでねていたのだろうか。

そんなことを思いながら立ち上がり、歩きだしていた。

向こうの方で何か見える、と思った瞬間、急に視界が開け、俺は丘から街並みを見下ろしているところだった。

なんて、
なんて、

みすぼらしい街なのだろうか。

俺は、ふと頭の中で思った。

みすぼらしい?

今まで何度も見ている風景。
今までずっと育った街。
今まで、豊かでなくとも、それなりによいと思っていた街並みにも関わらず、急に色褪せて見えた。

みすぼらしい……。


「殿下、そろそろお時間になります。お戻りになりますように。」

俺はその声をどこか自分に向けて言われたことではないように聞いていた。

そう、「殿下」という呼び名にすら、違和感があったのだ。

俺は、どうしたんだ?

「今戻る」

俺は混乱しながらも、
短く答えた。



「陛下、成人のご挨拶に伺いました。」

謁見の間に通され、めずらしく王と王妃が揃っていた。
そこには、本来成人の挨拶には不要な第二王子の姿もあった。

嫌な予感がした。


「今日からおまえも15歳になる。ただ、おまえは王位継承権第一位にも関わらず、特段なにかに秀でているわけではない。本来であれば成人になったと同時に王太子に任命するところだが…」

ここで王が言葉を区切った。
その後を王妃が続けた。

「おまえには、文武知略に優れた第二王子がおる。このまま平凡なおまえが王太子になるより、第二王子が王太子になるほうがよいと思わないか。」

冷たい視線と共にそう王妃から告げられた。

「…………」

俺は別に王になりたいとは思っていない。この立場、この待遇にも未練はない。むしろ、この国から出たいとも思っている。

だが、ここで素直に頷いたら、
俺に待ち受けているのは
死、のみだろう。

これまで幾度も王妃は、自分の子供である第二王子に王位をつがせるため、俺を殺そうとしていた。

その度に俺は、第二王子に王位を継がれると困る勢力に守られてきた。
ただ、それも第一王子という立場あってこそだ。

俺はまだ死にたくない。

そう、ここを出ていくための理由づけが必要なのだ。
後々、暗殺されないように。


「マリアンネ様は、いつも直球にものをおっしゃいますね。」

穏やかに微笑みながら、俺は王妃に話しかけた。

「それも一つの案と考えておきましょう。本日は陛下にご挨拶に伺っただけですので、これで失礼します。」


ただ、陛下が呼び止めた。
「待て。おまえはこれから学園に入る。そこで何か成果をあげよ。」

俺は笑顔で頷き、頭を垂れて部屋をあとにした。
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